File No.65-8 ディジタル・レコーディングの音質管理は難しい(8)  -ディジタル-

ディジタル・レコーディングの音質管理は難しいことについて解説しています。

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ディジタル・レコーディングの音質管理は難しい。

長々とパソコンを利用して高音質を追求することの難しさについては、いろいろと説明してきました。

その理由は、今回のテーマであるディジタル・レコーディングの音質管理が難しいことに大変関連しているからです。

アナログに比べてディジタルでは、音の劣化がないと言われています。

確かにディジタルというものはアナログのような音の劣化が明確には現れないのですが、劣化していないように見えても音が違うという現象が発生しています。

ディジタルの音の劣化(変化)は、アナログのように大きく変化することはないのですが、記録メディアの違いなどでも若干の再生音が変化します。

ディジタル音源をコピーを繰り返しても、アナログ音源をコピーを繰り返すよりも遥かに劣化が少ないのは間違いないことでしょう。

劣化が少ないと言うこと劣化がないと言うことは違います。

ディジタル音源であっても、コピーや伝送を繰り返すことで何らかの変化が生じて音が劣化していきます。

ディジタル音源の劣化する原因は、ジッターやC1エラーが増えるからといわれていますが、はっきりしたことは解明されていませんが、デジタルデータであっても、音楽データである限りコピーや伝送をすれば、何らかの劣化が生じているということです。

パソコンを利用して高音質を追求することの難しさについては、前章で詳しく述べました。

音声を扱うディジタル信号は、何らかの操作をするごとに音が変わり劣化していくと考えられます。

かし、プロ仕様の音響機器メーカー、音楽製作現場、コンシューマーオーディオを始め音楽データのコピーや伝送による劣化することに関しては、大変無頓着であるといわざるえません。

ディジタルデータであれば、音楽信号のデータであれ関係なくディジタルデータとして扱われており、データの中身さえ正確であれば問題ないという感じです。

コピーや伝送で起こりうる音の劣化には対処していない状況だと思います。

日進月歩のディジタル技術の中、データ伝送など技術の進歩が早く、その中でディジタルデータの音声信号のシビアな音の問題にはメスを入れれないのかも知れません。

また、人の感性の部分の音や音質に拘りすぎると、インターネットを通して何処にでも簡単にデータを転送するディジタルのメリットを有効に使えなくなる可能性もでてくるので、 音声信号の音質などのシビアな問題は、無視しざる得ない状況だともいえます。

せっかくディジタルになったのにアナログを扱うのと同じようなことをしていたら、無駄極まりないことになってしまいかねません。

アナログ音源であれば、僅かなことでも音の変化になって現れてしまうので、常に音源管理はシビアに神経を払い、慎重に扱うのが常識でした。

しかしディジタル音源では、同じデータであれば同じものとして扱われるために、音源管理は簡単になっています。

このディジタルの音源管理のし易さから、シビアに音の違いを管理することをしなくなっているのだと思います。

そのようなことから、ディジタル音源はデータで同じものなら、若干の音の違いがあっても同じものとして考えられるので、逆に真の意味でデジタルでの音質管理を難しいものにしているものだと思います。

ディジタル・レコーディングされた音源は、様々な方法でコピーされて様々な場所に移動して利用されます。

その中で、デジタルデータの状態だけが管理の対象となっているので、実際の再生したときの音の管理はできていないと考えられます。

そのような状況でデジタル音声の信号が様々な媒体(CDやSACD)になって、再利用されていきます。

例えば、オリジナルのディジタルデータに新たに高音質技術のSBM(Super Bit Mapping)を使用したり、新たにアナログ信号をハイスペックのSACDにデータ変換したりした場合、音源はどんどんと増えていき、どの音源を管理していけば良いか分からなくなっていきます。

次に新たにCDを発売する時に、どのディジタルデータからCDを制作するのかが曖昧になりかねません。

実際、現在発売されているCDは、どのような経由でCDマスターになっていったのかが全く分からない状況です。

余程、CD製作者側が、オリジナルアナログマスターテープからダイレクトにディジタル変換するなどの拘りがない限り、どのような経過があったのかは全く不明だと思います。

ディジタル・レコーディングの音質管理は、簡単のように見えて、実際には本当のところ難しいのではないかと考えます。

レコーディングがディジタルになって、複製が容易になった反面、本質的な音質管理ができなくなってきているという皮肉な出来事だと思います。

アナログレコードの音をCD-Rに録音する最良の方法 つづく


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