File No.49-4  新しく発売されたレコードプレーヤーについて考える。(4) -アナログ-

SL-1200GAEは、SL-1200LTDのグレードアップ仕様は否めないことについて解説しています。

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File No.49 / 04

トーンアームの形からSL-1200GAEを考える

復活したTブランドが、新しくレコードプレーヤーを製作にあたり、どのようなトーンアームが採用されるのか大変興味を持っていました。

Tブランドが新しく発売したSL-1200GAEのトーンアームの形状を見たとき、

 

『SL-1200のアームとほとんど同じか!』

 

『短期間の製作では仕方がないか!』

とい思いました。

Tブランドは、短期間で優秀なレコードプレイヤーを設計・製作しなければならない状況で、一からトーンアームの設計・製作するのは難しかったのだろうと思いました。

レコードプレーヤーの製作にはターンテーブルの性能も重要ですが、トーンアームの性能はレコードを再生音の音質に大きく左右する大変重要な部分でレコードプレーヤーの製作で最も難しい部分です。

Technics SL 1200GAEのトーンアーム部の写真(3)
Technics SL 1200GAEのトーンアーム

優秀なトーンアームの製作は、机上の設計やシュミレーションだけでは不十分といえるもので、試作したトーンアームを実際のレコードプレーヤーに設置して、レコードを再生することで音質や不都合な部分を丹念に調べていかなければなりません。

実際にトーンアームをレコードプレーヤーに設置して音質や性能を調べることは、大変な労力を必要になります。

何台かの試作品のトーンアームを設置して実際にレコードを再生することで、音質や性能など比較しながら調べていき、トーンアームの素材の変更やシェルの形状の変更、内部の線材の材質などの選定するなどしなければなりません。

トーンアームの性能や音質に拘れば拘るほどお金も時間も消費してしまいます。

このような地道な努力こそが、優秀なオーディオ機器を製作するのに重要な作業です。 その結果、長い間の研究の成果として、素晴らしい音質のオーディオ機器が誕生するというものです。

特にアナログ機器では、ディジタル機器とは異なり、音質に鍵をにぎる部分が非常に繊細なので地道な研究と努力が必要となってきます。

復活したばかりのTブランドに新しく設計したレコードプレーヤーの製作は、ダイレクトドライブのモーター部分の製作までは問題なく進んだようですが、トーンアーム部分までは研究・開発時間がなかったものだと考えられます。

もちろん復活したTブランド単独での新しいトーンアーム部分の設計は可能だったと思いますが、試作してから実験する時間が取れなかったのではないかと想像しています。

SL-1200GAEに採用されたトーンアームの形状からTブランドから新しいレコードプレーヤーの製作について考えると、復活したTブランドには現時点では新しくトーンアームの設計・製作までは至らなかったように思いました。

復活したTブランドは、1年以上前にダイレクトドライブのターンテーブルのプロトタイプを発表していましたが、プロトタイプのターンテーブルにはトーンアームが取り付けられていませんでした。

プロトタイプのターンテーブルのの写真
プロトタイプのターンテーブルにはトーンアームは、取り付けられていいなかった。

プロトタイプのダイレクトドライブのターンテーブルを発表した時点では、まだ取り付けるトーンアームの設計をしていなかったように思います。

新しく発表されたダイレクトドライブのターンテーブルに取り付けるトーンアームを多数検討したとは思いますが、開発時間や信頼性を考えていくと長い実績のあるSL-1200シリーズのトーンアームの形状を選定することが最良ということになったのではないかと思います。

旧SL-1200シリーズのユニバーサルトーンアームは、SL-1200が最初に発売されてから、何度もマイナーチェンジを繰り返し基本的に何十年も使用されてきたという実績をもっており、SL-1200シリーズのトーンアームであれば、信頼性があり使用中に突如発生するような異常などに心配する必要がなく、安定して動作することは間違いありません。

あくまでも推測になりますが、SL-1200GAEに採用されたトーンアームの形状からSL-1200GAEを考えると、復活したTブランドが以前のTブランドの培ったトーンアームのノウハウを引き継いでいないので、復活したTブランドが新しくトーンアームを開発してから安定した動作を確認できるまでには時間がかかり過ぎるので、以前の実績のあるSL-1200の形状をそのまま使用せざるえなかったのではないかと考えています。

トーンアームを以前のSL-1200シリーズの同じ形状を採用したことで、安定した動作を考えるとレコードプレーヤー全体の形状もSL-1200シリーズと同じ形状にする必要が出てきたのではないかと思います。

SL-1200GAEが、復活したTブランドが先に発表されたダイレクトドライブのターンテーブルのプロトタイプと形状が大きく異なる理由は、SL-1200のトーンアームの制限(最も最適な動作が保障されている)で以前のSL-1200シリーズと同じ形状にする必要がでてきたものだと思います。

つまり、トーンアームを選定からSL-1200GAEの形状が決まってしまったということです。

これらのことは、あくまでも私個人の推測になることをご了承お願いいたします。

高級レコードプレーヤーSL-1200GAEは、産声をあげたばかり。

高級レコードプレーヤーSL-1200GAEは、さまざまなところで、かつてのSL-1200を継承していると語られていますが、かつてのSL-1200シリーズの生産設備などは既に失っているので、SL-1200GAEは一から設計・生産されたものでレコードプレーヤーとしては産声をあげたばかりといえます。

これらのことは、オーディオ機器にとって大変重要なことなのです。

Tブランド復活前のレコードプレーヤーのSL-1200シリーズでは、何度もマイナーチェンジを繰り替えし、少しづづ改良を重ねて何世代もSL-1200シリーズを登場させてきました。

その間に技術的に不都合な部分や音質などのさまざまな改善がなされて、SL-1200シリーズの生産の為のノウハウを蓄積してきたものだと思われます。

SL-1200シリーズの長い間に蓄積されたさまざまなノウハウは、機器の動作の不都合をなくしたり音質の改善に貢献しています。

良い音の追求は、決して一朝一夜で出来るものではなく、長い間の地道な改善努力を繰り替えすことで成し遂げられ、その努力が実った暁に初めて多数のオーディオファンから支持されるオーディオ機器が誕生するというものです。

現在のP社Tブランドは、一度高級オーディオの開発を全て終了してしまった事実をしっかりと考えていく必要があります。

同じような形状のレコードプレーヤーを設計したとしても、製造する施設は全く別物で、新しくレコードプレーヤーを一から開発しなければならなかったという状況を考えなければなりません。

大変な意欲作で優秀で優れたレコードプレーヤーSL-1200GAEだと思いますが、オーディオ機器としての歴史は新しく産声をあげたばかりだと考える必要があります。

レコードプレーヤーSL-1200GAEは、これからさまざまな問題が発生し改善を余儀なくされることだと思います。

新しくレコードプレーヤーSL-1200GAEの登場してから、SL-1200シリーズの完全復活を成し遂げるまでは、まだまだ時間がかかるでしょう。

Tブランドは、レコードプレーヤーSL-1200GAEを最近のアナログの流行からスポット的に発売するのではなく、SL-1200というレコードプレーヤーを継続していくことが大変重要だと思います。

将来に向かい本格的なアナログサウンドの研究し続けていくことこそ、復活したTブランドのオーディオのノウハウ蓄積していくものです。

Tブランドは、SL-1200シリーズにこだわるだけでなく、以前のようにレコードプレーヤーとして新しいユニークアイデアを搭載したオーディオメーカーのTブランドとしての誇りとプライドをもったオーディオ製品を製作し、完全に復活して欲しいと思っています。

1972年に発売された初代のSL-1200のの写真(3)
1972年に発売された初代のSL-1200

DJ仕様のターンテーブルとしてSL-1200GAEを考える。  つづく

                       


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