File No.61-2 真空管オーディオアンプについて(2) -アンプ-

シングル真空管アンプとプッシュプル真空管アンプのどちらを選んだら良いかについて解説しています。

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File No.61 / 03

シングルとプッシュプルのどちらを選べば良いか?

シングル真空管アンプとプッシュプル真空管アンプのどちらを選んだら良いかという質問は、オーディオの質問では少し野暮かも知れません。

真空管アンプでは、どちらの方式にもメリットもありデメリットもあります。

それ上に重要なのは、どちらの方式でもメリットを生かしてどれだけ上手く設計・製作されているかが重要になってきます。

良く出来たシングル真空管アンプは、とにかく高音が繊細で大変美しく滑らかな音質を持ち、シングル独自の音場感を持っています。

シングル真空管アンプの特有の低域の音があり、ローエンドまで延びきった低音とはいえないのですが、もしかするとこの低域がシングル真空管アンプの音の独自の品位に繋がっているのかも知れません。

プッシュプル真空管アンプは、低域特性がシングルよりも良いのが多く、比較的切れの良い音を披露してくれます。

パワーに関しては、シングル真空管アンプよりもプッシュプル真空管アンプの方が遥かに有利です。

プッシュプル真空管は、AB級動作はパワーを稼ぐのが普通ですが、AB級動作の振幅の波形を綺麗に繋げるためには、真空管の特性が揃っていなければなりません。

真空管には特性の揃ったものはほとんどなく、その点がプッシュプル真空管アンプの泣き所で、綺麗な波形で動作させることが大変難しいように思います。

波形のつなぎ目の部分の動作の不安定さがプッシュプル真空管アンプの音の不満になり、シングル真空管アンプを好む真空管オーディオファンが多いのかも知れません。

最近では、プッシュプル真空管アンプの欠点を解消する方法として、プッシュプル真空管アンプの特徴であるパワーの大きさを犠牲にして、全段差動プッシュプル真空管アンプというものが登場するようになりました。

全段差動プッシュプル真空管アンプは、動作原理からA級動作しか出来ないのでパワーが取れないのですが、プッシュプル真空管アンプの欠点を見事に解消しています。

パワーをとるか綺麗な動作を求めるかで、プッシュプル真空管アンプが全段差動A級プッシュプル真空管アンプの選択になります。

シングルとプッシュプルのどちらを選べば良いか?の写真
シングルか?。プッシュプルか?

しかし、全段差動A級プッシュプル真空管アンプは、プッシュプル真空管アンプよりも歪みなどの面で有利なのですが、音の出かたや音の感じなどがプッシュプル真空管アンプの方が良い場合もあり、オーディオが奥が深く楽しく難しいところです。

自作の真空管オーディオアンプ

現在に至って真空管オーディオアンプというものを再評価させる機動力になったのは、上質な自作の真空管オーディオアンプが登場したことが要因であるのは間違いないでしょう。

上質な自作の真空管オーディオアンプが、本で公開されたり、手軽にインターネットで回覧できるようになりました。

オーディオは、長く研究・製作に従事しているオーディオメーカーの技術力が個人の趣味でオーディオを製作するオーディオファンよりも遥かに高いといえるのが普通なのですが、ことが真空管オーディオ・アンプになるど少し事情が異なります。

真空管オーディオアンプの優れた回路のアイデア・実際の製作のほとんどが、個人のオーディオファンから出てきたものも多く存在します。

自作真空管アンプの写真
自作真空管アンプがメーカーを上回る。

昔からある真空管オーディオアンプの回路をより工夫したり、電源周りを強化したり、様々なアイデアを真空管アンプを自作するオーディオファンからでてきました。

自作の真空管オーディオアンプで安価な部品を駆使して、様々なアイデアの真空管アンプを製作することは大変ユニークといえると思います。

真空管アンプの注意点

真空管が国内でまだ製造されていた時代、あるいは真空管の生産終了後10年ぐらいは、真空管の入手が容易でした。

真空管アンプが普通の時代では、真空管の酷使して性能を最大限に引き出し、真空管の調子が悪くなると直ぐに新しい真空管に取り替えるだけで良かったのです。

昔に設計された真空管アンプの多くは、真空管を酷使して性能を引き出しています。

現在、簡単に真空管が入手できない時代に昔に発売された真空管アンプを購入することは、自身で回路をいじれるオーディオファンであれば問題ありませんが、普通のオーディオファンには注意が必要です。

このようなことを知らずに昔の真空管アンプを購入すると、真空管の寿命が短かったり、思わぬトラブルで悩まされることになりかねません。

昔の真空管アンプは、真空管を酷使して性能を引き出していると考える方が良いでしょう。

この辺は、現在製作されている真空管アンプの多くは、真空管の定格ぎりぎりを使用しないようにして、真空管の寿命を少しでも延ばそうとしているので安心ができます。

しかし、現在発売されている真空管アンプが全てが真空管の寿命を少しでも延ばそうという良心的な設計がされているとはいえないのが、選定の難しいところになります。

高価な真空管アンプを購入する場合は、真空管の寿命を少しでも延ばそうという設計がされているかどうかを製造メーカーに問い合わせてみた方が確実です。

真空管ギターアンプ つづく


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