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高級なオーディオのノウハウがあって、初めて安価で良質なものが製作できる。
今回、1980年代に発売されたミニコンポのスピーカーを視聴して、本当に考えさせられました。
私は昔のミニコンポという廉価オーディオの音が良いと記憶していたのですが、今回、実際に視聴して、その音のレベルの高さに驚かされました。
自分の勘違いであれば、良かったのかも知れません。
しかし、1980年代に発売されたミニコンポのスピーカーの音は、現在の小型オーディオでは決して得られないぐらいの優れた音質をもっていました。
自分自身の記憶に確証をも持てたことは良かったと思いますが、現在の小型オーディオの音の散在さを改めて考えさせられてしまいました。
20年の経ているのにオーディオの音が、ほとんど進化していないことにに正直、漠然とさせられました。
なぜこのようなことがあるのか考えてみると、ここ20年間は真面目にオーディオの研究・製作してこなかったのが最もな原因だと思います。
かつての大手のオーディオメーカーが、1990年ぐらいを境に品質を求めず安価な製品を求めて海外に生産拠点をを移すことに躍起になったからだと思います。
その結果の先には、かつては国内で普通に生産していたオーディオ製品ですら、国内で生産することが難しくなりました。
国内で生産できなくなると外側だけ着飾った製品ばかりになり、本当の意味で良質な製品を製作することが出来ません。
国内で良質なオーディオ製品を製作することが出来ないのに、本当の意味での高品質なオーディオ製品を製作することなど不可能だと思います。
グローバル思想に取り付かれた人には、全く理解できないことかも知れませんが、良質な安価な製品は高級な製品のノウハウがあって、初めて実現できるものです。
20年前の1980年代に発売されたミニコンポのスピーカーは、中身がスカスカといえどもカーボンウーハーを採用するなど当時の最高級オーディオ・スピーカーに共通するものがあることが感じられます。
最高級のオーディオが製作できるノウハウがあってこそ、初めて良質な安価なオーディオ製品が製作できることが、1980年代に発売されたミニコンポのスピーカーの視聴するとひしひしと伝わってきます。

20年の間、日本は何をしてきたのだろう!
20年前の1980年代に発売されたミニコンポのスピーカーを視聴していると、20年の間、日本は何をしてきたのだろうと考えさせられます。
ここ20年のオーディオ機器だけを見ていても、品質の劣化の凄まじさを感じないではいられません。
かつてであれば、オーディオ機器に10万円つぎ込んだら、間違いなく10万円あるいはそれ以上の満足を約束されていたと思います。
しかし現在では、製品の内容の良し悪しより10万円をオーディオにつぎ込んだという自己満足しか得られないように思います。
現在でも高価な良いオーディオも発売されているかも知れませんが、1980年のオーディオの品質からすれば10分の1ぐらいの価値にしか見えてきません。
またどのような高価なオーディオを購入しても、最小部品のコンデンサーや抵抗などの良い品質の物が少なく、大変故障がしやすい製品がほとんどです。
また、ほとんどのオーディオメーカーが自社開発していないので、製品の入れ替わりが激しい上に製品のサポートが終了するのが大変早く、数十万円もする高価なオーディオ機器でも、直ぐにメーカー修理が終了してしまうので、何十万円もするオーディオ機器を購入しても数年でオブジェになってしまいます。
現在では品質が良くないものや故障のしやすいオーディオ器機が、普通にお店に並べられるようになりました。
今回のミニコンポのスピーカーは、製造から20年経った現在でも故障もなくスピカーエッジも全く異常もないことに驚かされたことだと思います。
安価なオーディオシステムでも安価なりに高品質を保つっているのが昔の日本製品で、これが日本の家電製品が世界一といわれた所以だと思います。
そのような日本製品イコール高品質という系図が、ここ20年で全くなくなってしまいました。
本当に残念に感じています。
現在のような日本のオーディオの状況でも、20年前の日本のオーディオの状況を知らなければ普通に思えるかも知れません。
しかし、20年前の日本のオーディオ器機、家電器機の状況を知っている私にとって現在の状況は苦痛でしかありません。
『ここ20年の間、日本は何をしてきたのだろう!』
と思ってしまいます。
おわり