File No.27 / 03
ノイズリダクションをかけると音が悪くなる。
近年ディジタル録音されたマスターテープにはヒスノイズは皆無ですが、アナログテープに録音された昔のマスターテープにはテープ録音特有のヒスノイズが記録されています。
この古いアナログ音源をリマスターしてCDを製作するときには、ヒスノイズを消すためににノイズリダクションやイコライジングが施されるようになりました。
ノイズリダクションやイコライジングが施されるようになったのは、オーディオでヒスノイズが大変嫌われるのと、ヒスノイズをディジタルで処理できるようになり音質が劣化しにくくなったことに要因があります。
アナログの方式でフィルターをかけて音源を操作すると、音が劣化するために音質が大きく損なわれましたが、ディジタル方式では音質劣化を抑えるて音源の操作が可能になり、古い音源を自由に新しい音に作り変えることができるようになりました。
そういう理由で現在発売される昔のアナログ音源は、現在のディジタル録音された音のようにつくり変えられてCDで発売されています。
しかし、ディジタルでもテープヒスノイズを消去してしまうと、ヒスノイズがなくなり音が聴きやすく奇麗にありますが、間違いなく音の鮮度を落としてしまいます。
音の鮮度を落としてしまうと、本来アナログ音源のもっている音の魅力が損なわれてしまいます。
このことを解りやすく説明するためにサンプルなる音源を用意しました。
音源サンプルによるノイズリダクションで音が悪くなる説明
これはあるマスタリング方式をアピールの宣伝用のサンプル盤からです。

DO-JAZZ 20bitK2マスタリングCDのサンプル盤
ここに入っているようなサンプル音源は、ヒスノイズが入っていますが音に鮮度があります。 しいていえば、CDでありながらアナログのような魅力のある音です。 音源は裁断されています。
DO-JAZZのサンプル盤からWaltz-for-Debbyを抜粋
比較しやすいようにDO-JAZZのサンプル盤からWaltz-for-Debbyだけを抜粋しています。 下記のCDの音と聞き比べてください。 特にピアノの音の透明感と鮮度が良いように思います。
私はこの音と同じ音を期待して、この新しいマスタリング方式のCDを購入しましたが、そのCDに入っていた音は、サンプル盤に比べノイズが減っていますが、音の鮮度が悪くなっているように思いました。

Waltz for Debby/Bill Evans 20bitK2マスタリング(take2とtake1) 音源は裁断されています。
このCDの音は、サンプル盤に音とは明らかに違い、サンプル盤になるような鮮度が得あられませんでした。
新しくCDを発売されるときに、何らかのノイズフィルターがかけられたように思います。
それからこのタイトルのいろいろなCDを購入して聞き比べましたが、サンプル盤のような音は得られませんでした。
この音源でアナログマスターを完全に再現したといわれるxrcdというものもも視聴したことがありますが、サンプル盤の中に入っている音と全く異なっていたので、アナログマスターを完全に再現したとは到底思えませでした。
xrcdは、重厚でたいへん奇麗な上品な音質ですが、それがかえって音の鮮度を悪くしているように思いました。
オーディオファンの中には、このアルバムのxrcdの音が最高と評価している人も多くいるようです。 その為にこのアルバムのxrcdは、現在ではプレミア価格で販売されています。 しかし、このアルバムのxrcdは、サンプルに入っていた音源の音より、はるかに音抜けも悪く感じられ、私にはこのxrcdの音が好きではありません。
ましてや、このxrcdの音がアナログマスターをそのまま再現したということは私には到底考えることはできません。
全くアナログの良い音からかけ離れているからです。
その後も、このタイトルのアルバムのCDを多数視聴してきましたが、未だにサンプル盤に入って音のようなCDには出会ったことがありません。
このタイトルのアルバムのCDのほとんどが、何らかのヒスノイズを処理しているように感じました。
ディジタルでもヒスノイズを軽減してしまうと、音の鮮度が大きく損なわれるように思いました。
アナログマスターテープから何も処理しないで、鮮度を損ないにくいADコンバータでディジタル変換する方法が、CDなどでアナログの音を再現する最も理想で方法だと考えています。