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ボジョレーヌーボーとオーディオ
毎年、ボジョレーヌーボーというワインが発売される度に、日本のお祭りごとのように発表されてマスコミや大手の百貨店、スーパーなどで大賑わいになります。
毎年、マスコミも大げさボジョレーヌーボーを発表したり、芸能人なども登場して新しく入荷したボジョレーヌーボーの到来にフィーバー状態です。
私は、ボジョレーヌーボーというワインが美味しくないとか悪いとは思いませんが、毎年ボジョレーヌーボーが発表されるごとに大騒ぎするのを日本の状況を見るのが、あまり好きではありません。
ボジョレーヌーボーというワインとオーディオに何の関係があるのだろうと思われますが、このようなボジョレーヌーボーというワインに日本人が大騒ぎすることとオーディオには深い関係があるように思えてなりません。
ボジョレーヌーボーというワインが美味しくないなどというつもりは毛頭ありません。
しかし、1つ言えることはボジョレーヌーボーというワインは、決してありがたく嬉しがるような高級ワインではないということがいいたいのです。
ボジョレーヌーボーというワインが良くないワインと言うのではなく、ぶどうを収穫してからワインを製造してから出荷するのが早い、熟成が浅い早出しワインのひとつでしかありません。
フランスでは俗に言うテーブルワイン、庶民のワインというものです。
早だしワインというのはカリフォルニアワインなど、世界ではかなり多く存在しています。
発酵が浅い早出しワインは、ジュースのようにフレッシュなので、普通の熟成ワインよりも早だしワインの味を好む人も多くいます。
ボジョレーヌーボーという早出しワインは、普通の早だしワインとして美味しいと思いますが決して高級ワインといわれるもものではありません。
ボジョレーヌーボーは、価格も安く庶民の懐には優しい、まあまあ美味しいワインだと思いますが、国民が総勢で大きく騒ぎ立てるようなワインとはいえません。
私からするとボジョレーヌーボーは、安物のテーブルワインに綺麗なラベルがついたような感じがしてなりません。
ボジョレーヌーボーは、普通の低価格な早出しワインにボジョレーヌーボーの綺麗なラベルが付いているだけで、1000円以上高く購入するということになります。
恐らくボジョレーヌーボーで日本人が大騒ぎしているのを見て、一番驚いているのはボジョレーヌーボー販売国の本場のフランスの人ではないかと思います。
本国のフランスの人は、ボジョレーヌーボーというワインを、どちらかというと安価なので毎日飲むようなテーブルワインぐらいしか考えていないでしょう。
そのテーブルワインを、非常に有難がってお祭り騒ぎをする日本の人たちを見ると、
『この人たちは、本当に良いワインの味がわからないのだろう』
と思うのではないかと思います。
日本人から見てカリフォルニア巻きというお寿司を最高といっている外国人の人たちの映像を見ると、本当のお寿司の美味しさを知らない人たちに見えるのと同じことだと思います。
ボジョレーヌーボーのような大騒ぎが起こると、高級なワインを販売している輸出会社は、安いワインを高く買ってくれる日本に対して、本物の高級ワインを用意する必要がなくなってきます。
もちろん価格だけ高いワインは販売するでしょうが、本当の意味でフランスの地元で認められている貴重な美味しい高級ワインは、後回しにしかねません。
良いワインを出荷するかどうかは、ワイン販売会社の誠意のみにかかってきます。
本国のフランスのワインの販売業者から、味の違いもわからない東洋人には高級そうなラベルだけで十分ということになります。
東洋人に品質の良い高級ワインを販売することは、
『豚に真珠』
『猫に小判』
と同じように思われかねません。
このようなことが起こらないには、販売する会社の誠意だけになりますが、現在のように 利益のみを最大限に追求してモラルというものを無視したグローバル企業には、目耳に水でしょう。
グローバルというものは、表面的には奇麗事を並べていますが、本質はお金だけであり、お金以外求めるものはありません。 利益のの為であれば、同義的なことは犠牲にされているように感じます。
企業に誠意というものがあれば、変なものを高く売りつけられることはないと思いますが、 現状では歴史的に見ても期待は薄いと思います。
また、それだけでなく日本で安物のテーブルワインを大騒ぎして大変ありがたく歓迎して 日本人の姿を見ると、本場のフランスの人から見ると貴重な高級ワインを販売したくなるというものです。
ボジョレーヌーボーというワインで馬鹿騒ぎが起こるのは原因は、日本側のワインの輸入企業やマスコミにあります。
ワインの輸入企業は、商売なのである程度オーバーなことを宣伝するのは仕方がないかも知れませんが、マスコミまでも騒ぎ立てると日本や日本人の品位を下げてしまいます。
真実を伝えないマスコミの責任は重大だと思います。
ボジョレーヌーボーのお話はさておき、ボジョレーヌーボーとオーディオに何が関係あるのかと思われます。
これらのことはオーディオには直接的には全く関係ないことなのですが、私はボジョレーヌーボーの大騒ぎからオーディオでも考えられる節があるように思いました。
このことを深く感じたのは、ビル・エヴァンスの『Waltz For Debby』のXRCDというものです。