File No.53-6  MDR-CD900STというヘッドホン(6) -ヘッドホン-

『made in Japan』としてのMDR-CD900STについて解説しています。

Home >headphones >File No.53-6

08 / 06
headphones_tag
File No.53 / 06

『made in Japan』としてのMDR-CD900ST

MDR-CD900STは、最近の日本のブランドのヘッドホンでは珍しく『made in Japan』の製品です。

1990年代より前の時代の日本を知らない人には信じられないことかも知れませんが、日本の家電製品の98%ぐらいは『made in Japan』でした。

当事の日本は、80万円もするレーザーディスクを発売するなど大変豊かでした。

よく経済評論家もどきの人たちが、当事の高級家電製品などをバブルの時代の日本製品などと成金製品のようなことをいいバカにしますが、バブルというのは株や不動産のことで、当時の日本の家電製品などは真面目に高品位を追求した結果であって、バブルとは関係ないものです。

MDR-CD900STの『made in Japan』というのは、当事の常識としては決して珍しいものではありませんでした。

MDR-CD900ST made in Japan(1)の写真
MDR-CD900ST made in Japan(1)の写真

現在では、『made in Japan』のヘッドホンをほとんど見かけなくなり、寂しい時代になってしまいました。

最近、日本の高級オーディオブランドの10万円もするヘッドホンの製造国を確認すると『made in China』になっていました。

その日本の高級オーディオブランドは、10万円もするヘッドホンを日本国内で製造しないで、『made in China』で製造するのか理解に苦しみます。

オーディオは、趣味性を高く高付加価値をもつ製品なので、日本の高級オーディオブランドが、わざわざ海外で生産する必要を必要を感じられません。

特に日本のハイエンドオーディオ製品を海外で生産することなど意味があるとも思えません。

そのような海外生産の製品には良いオーディオ製品を製作しようという日本のものづくリ魂が欠けているように思えてしまいます。

そのような海外で製作されたオーディオ製品に、どのように音質が優れているという説明が加えられていても信用することなどできません。

たとえ音質が良かったとしても、故障しやすかったり耐久性が足りなかったりするので必ず裏切られるのがオチです。

本来、オーディオのような趣味性の高い高付加価値製品はlなるべく手元に近い所で製作するのが理想です。

現在は、インターネット時代ので設計図などのデータのやり取りで、製品をを製作していこことが普通になりつつありますが、どのようにデータのやり取りが頻繁に行うことが可能になったとしても、実際の製品の距離を縮めることは出来ません。

実際の距離というのは、製品の肌触りなどを知るためには実際の製品の自身の手に取るまでは、その製品の本質を理解することができないということです。

優れた製品でを製作するには、実際に製品を手にとって、何度か細部を変更をしていく必要がありますが、製品の製作する場所との距離があると些細な変更を追求していくことが億劫になってしまい、直ぐに妥協してしまいがちになります。

オーディオというものは、理想を追求する上での妥協の産物といえますが、十分に吟味しないで直ぐに妥協する精神では決して優れた製品を作ることはできないと思います。

これはオーディオ限らず、全てのモノつくりにいえることです。

このオーディオメーカーの10万円のヘッドホンからは、モノつくり精神というものが全く感じとることが出来ませんでした。

そのようなオーディオは、見せ掛けだけの優れたように見える製品であって、オーディオ魂が入った製品とは到底いうことはできません。

そのようなオーディオ精神のはいっていない製品は、少し時間が経過すると不満や飽きが生じ、次から次えと新たな製品を求めることになるでしょう。

もし10万円もするヘッドホンが、日本国内で設計・生産が不可能であるなら、日本の工業を技術力というものに大変不安を持ってしまいます。

MDR-CD900STの写真(9)の写真
MDR-CD900STの写真(9)の写真

お話をMDR-CD900STに戻しますが、MDR-CD900STのプロユース仕様のヘッドホンが『made in Japan』というのは、大きな意味があるように思います。

『made in Japan』でしかMDR-CD900STを誕生させることは、決して出来なかったでしょう。

MDR-CD900STの形状など偽かけるだけなら海外生産でも十分可能だと思いますが、MDR-CD900STという優秀なモニターヘッドホンは決して誕生させることは不可能だったと思います。

MDR-CD900STに『made in Japan』のものづくり魂があったからこそ、プロから絶大の信頼を獲得し、ヘッドホンで20年以上もロングランという驚異的な実績をもつようなMDR-CD900STという優れたモニターヘッドホンを誕生させることができたように考えます。

オーディオは、良い設計だけでは、優れたオーディオ製品というものを製作することは決してできないでしょう。

プロトタイプとして出来上がったオーディオ製品を、製品の品質や音質を何度も何度も吟味して修正部分を修正していき優れた製品が出来上がってきます。

優れたオーディオをつくるには、大変な時間と労力を要するもので、決してインスタントでは優れたオーディオはつくることはできません。

オーディオ製品を遠くの海外で製作しているようでは、製品の品質や音質を何度も何度も吟味して製品に仕上げていくことは不可能になります。

仮に海外で製品の品質や音質を何度も何度も吟味して、以前のような日本の高品質の製品のように製作すると、距離がある分国内生産以上にコストがかかるので海外で生産すること自体意味がなくなってしまいます。

本当の意味で良い製品を製作するには、近くで考えを理解できる人たちと直接やり取りをしなければなりません。

MDR-CD900STというスタジオ・モニターヘッドホンには、『made in Japan』という昔の日本のものづくり精神が入っている貴重な遺産だともいえます。

MDR-CD900STというヘッドホンをとり、頭につけて音楽をモニタリングすると、なぜこのヘットホンが他に例のないロングラン製品になったのか実感できると思います。

MDR-CD900STというモニターヘッドホンが、多くのエンジニア達が時間をかけて非常に丁寧に調整してMDR-CD900STの音を決めて生産されているということを肌で感じ取ることができるでしょう。

MDR-CD900STというスタジオ・モニターヘッドホンの『made in Japan』の刻印には、大変深い意味を持っていると思います。

SONY MDR-CD900STにおけるオーディオ精神 つづく


headphones_tag
 
Site Search
 
全てのオーディオ・マスターファイルへ
▲このページのトップへ

Home >headphones >File No.53-6