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24Bitレコーディング
24Bitレコーディングは、CDの16BitのレコーディングよりダイナミックレンジやFレンジに余裕のあるスペックの24Bitでレコーディングしてから元のCDの16Bitに変換するという方法です。
この方法は、録音する側にスペックに余裕があるマスターを先に製作して、スペックの低いCDにダウンコンバートした方が良いクオリティを得られると考えです。
他に24Bitレコーディングもう1つ大きなメリットは、製作者があらかじめスペックの良い24Bitでマスターを製作していればCDが製作しやすくなるという特徴があります。
CDと同じスペックで録音したマスターテープを編集してCDを制作する方法は、ダイナミックレンジに余裕がなく大変な神経質な作業を強いられましたが、ダイナミックレンジに余裕のある24Bitでマスターでは作業がたいへん楽になりました。
このことを考えると24Bitレコーディングは、製作側には作業が楽になる大きなメリットがあるので、リマスターのクオリティを求める以上に16Bitから24Bitレコーディングに移行していったことは間違いないでしょう。
しかし24Bitレコーディング編集が楽になったとしても最終メディアが16BitのCDである場合は、この方法がクオリティの面で有利なるということはないと思います。
24Bitで録音したマスターテープを編集するなどの一定のクオリティを保つには良い方法ですが、24Bitで録音したものをCDの規格に変換すると音質を損なってしまうからです。
ディジタルで音のクオリティを最高に維持する方法は、他のフォーマットに変換しないでそのまま出力することです。
これはある程度のクオリティを保ち編集が楽になるという製作者側の便利さなどの考えではなく、オーディオで再生される音のクオリティについてだけを問題にした考えです。
音のクオリティだけを最優先に考えると
『16Bitで録音したものは、無変換で16Bitで出力する』
のが最も音のクオリティが良く、鮮度が高い方法です。
これは24BitレコーディングだけでなくDSDレコーディングにもいえることで、どんな優れた録音方法でも他のフォーマット変換することで音の劣化を避けることはできません。
この他のフォーマットに変換するこで音のクオリティの劣化は、市販のオーディオ・ソフトによって簡単に証明できると思います。
オーディオ・ソフトで変換によるクオリティ低下の証明
オーディオの編集を目的としたもので24Bitで録音・編集できるオーディオ・ソフトは、かつてはプロ仕様のオーディオ・ソフトだけで大変高価で一般に入手が困難でしたが、現在ではハイレゾ音源が普及したので24Bitレコーディングして編集できるオーディオ・ソフトは一般でも安価で簡単に入手できるようになっています。
それらのオーディオ・ソフトを使用して、オーディオ変換についての実験が簡単できるようになっています。

オーディオ・ソフトによる実験方法
まずお気に入りのCDの曲をパソコンに無変換の16Bitで(リッピング)取り込みます。
それをオーディオ・ソフトで再生して視聴します。 この時点でもCDと同じ音のクオリティを維持することは難しいですが、今回はこれを無視します。
このパソコンに16Bitで(リッピング)取り込んだ音源を、オーディオ・ソフトで24Bitに変換します。 ここでも16Bitの時と音が変わりますが、とりあえず無視します。
24Bitに変換した音源を、もう一度16Bitに変換します。
元のリッピングした16Bitの音源と24Bit音源から再度16Bitに変換した音を聴き比べてみると良いでしょう。
これは16Bitの音源を24Bitにして再び16Bitに戻すという作業ですが、間違いなく同じ音のものはできません。
また、再び16Bitに戻した音質が元の16Bitの音源より良くなることもないでしょう。
これは、何を意味しているのでしょうか?
一度他のフォーマットに変換した音源は、二度と同じものは製作できないということです。
これは、ベリファイやコンベアなどによるデータが同じであるとかをいっているのではありません。 変換しない音源と変換した音源を実際の音を再生し、視聴して聴き比べた結果での結論になります。
音のクオリティは、変換しない音源が一番良く変換の回数が多くなるほど音が劣化するように思います。
変換する際に、いろいろなディザー操作をしてみても結果は、変換する前より良くなることはありませんでした。
少なくとも私がいろいろ実験した結果、変換をすると音の鮮度が損なわれていくように感じました。
結論は、
『変換するより変換しない方が、音のクオリティ的に良い』
ということになります。
ということは、
『16BitのCDは16Bitで録音・再生した方が断然音が良い』
ということです。
オーディオ・クオリティから考えると、なるべく変換しないようにすることが、音のクオリティが最大に保てるといえます。
この結論に不満のある方は、一度上記の方法でいろいろと変換して実験されることオススメいたします。
オーディオでいわれる一般の常識が、大きく覆されることになると筆者は考えています。