File No.28-3 ハイレゾ音源の音質以前の問題(3) -ディジタル-

ハイレゾ音源は機器メーカーにメリットでも、オーディオファンにはメリットはないことについて解説しています。

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機器メーカーにメリットでも、オーディオファンにはメリットはない。

このようなオーディオ機器メーカーの状況は、オーディオファンにとって決して良い状況だとはいえません。

本当に良いオーディオ機器を入手するのが難しくなるからです。 高価なオーディオ機器を求めても、良いオーディオ機器を手に入れることは大変難しい状況です。

普通はもてないような高価なオーディオ製品を所有することが、オーディオの醍醐味と考えているなら問題はありませんが、普通のオーディオファンには大変な問題です。

現在のこの状況を理解するには、過去のに存在したオーディオを検証して見ると良くわかると思います。

かつての日本のオーディオ機器メーカーは、良いスピーカーを開発するのに多大な努力と時間、コストを有していましたが、現在では海外のユニットメーカーからユニットを購入して適当な箱に入れるだけでスピーカーは完成しているように見えます。

かつての日本のオーディオ機器メーカーは、良いスピーカーを開発するのに多大な努力と時間、コストを有していましたが、現在では海外のユニットメーカーからユニットを購入して適当な箱に入れるだけでスピーカーは完成しているように見えます。 後は、カタログ等で良さそうに宣伝すれば、信用され評価されるようです。

オーディオ機器メーカーからすれば長年スピーカーに研究開発に携わった技術者や開発するための広い場所も必要もないので大きなコストの削減になり、開発が容易になるでしょう。

オーディオで最も音に影響するスピーカーを自社開発する必要もなくなってしまいました。

オーディオ機器メーカーは、SACDやハイレゾの音が良いというスペック的なアピールだけで評価されるので開発コストは少なく良くなります。

現在のオーディオ機器メーカーは、中身のクオリティを重視するよりも外面を良く見せてどれだけ高い価格をつけるかが勝負になってきているように思います。

SACDやハイレゾ時代の不思議

SACDやハイレゾ音源が主流になってきているのに、現在の主流なスピーカーを見て不思議に思ったことはないのでしょうか?

CDが発売されて当初は、これまでのアナログ時代のように心地良い音のキャラクターでスピーカーで製作するのではなく、

 

『CDに入っている音をすべて再生することが理想として』

 

新しくスピーカーを見直しにかかりました。

CDの音をすべて再生するために製作されたスピーカーの写真
CDの音をすべて再生するために製作されたスピーカー

その時代には、高解像度スピーカーを求めウーハーにカーボンなどの新素材や、ツイーターは高音をより伸ばすために新しい素材の金属ツイーターも開発されていました。

それだけでなく、スピーカー全体の見直し、ネットワークの改良、内部配線の改良などして限りなくフラットなレスポンスを得るように努力もしていました。

スピーカーに高忠実・高解像度を目指していたときのスピーカーユニットの数は、3つの3ウェイスピーカーが主流となり、最高級品では4ウェイスピーカーも多く存在しました。

しかし、現在のオーディオではCD以上に高密度の音源のSACDやハイレゾ音源というような存在が主流となってきているのに、オーディオの主流なスピーカーは2ウェイスピーカーであり、それらを良く再生する為に新しく高忠実・高解像度のスピーカーを対応して開発しているようには少しも感じられません。

現在のSACDやハイレゾ音源の周りのオーディオ機器の発展を見ていると、ネット接続や伝送方法などの便利さのみが追求されている感じがします。

SACDやハイレゾ音源の主流なスピーカーの写真
SACDやハイレゾ音源時代のの主流なスピーカーの不思議

オーディオの便利さを良くすることは否定するつもりはありませんが、オーディオの基本をなすスピーカーやアンプをもう少し真面目に追及して欲しいものです。

SACDやハイレゾ音源が世の中に普及したことが、かえってオーディオというものを衰退させてしまったように思います。

現在のSACDやハイレゾ音の特徴が、実際のようなリアルな音からだんだんとかけ離れた存在になり、仮想的な高音質になっていっているように思います。

仮想的な高音質であれば、良いアンプも良いスピーカーの追求も必要でなくなってしまいます。

高音質だけで何が良い音か?理解しなくても良いからです。

このまま、SACDやハイレゾ音の仮想的な音を求めていけば、本当に良いオーディオに出会うことは不可能になり、現在のオーディオ機器メーカーの専門性も必要なくなり、衰退していくことは間違いありません。

オーディオ機器メーカーであれば、SACDやハイレゾ音源のスペックの良さだけでなく、音というものについて真剣に考える必要があると思います。

SACDやハイレゾ音源の問題は音像の大きさにある。

SACDやハイレゾ音源は、女性ボーカルの音でいえば声が美しく奇麗に空間に広がるように再生されるので、女性ボーカルの口が大きくなっているように見えます。

ハイレゾ音源のエレキベースの音は、低音に迫力があるのは良いと思いますが、やはり音が広がっているために楽器のサイズが大きく感じてしまいます。

オーディオ視聴会のオーケストラの音源では、ピアノやバイオリンのソロの音が巨人が大きな楽器を弾いているように聴こえてしまいます。

BGMや映画のサウンドであれば、音像が大きくても迫力という効果があるのであまり問題を感じませんが、オーディオでは音のリアルさを悪くしてしまいます。

高音質だから音が良いのではない。 つづく


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