File No.31-3 ダブルウーハー型スピーカーは、たいへん難しい(3) -スピーカー-

プロ仕様のダブルウーハー型のスピーカーについて説明しています。

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例外的なダブルウーハー型のスピーカー

ダブルウーハー型のスピーカーの中で例外的なものは、プロ仕様のダブルウーハー型のスピーカーです。

このタイプのPA・SRスピーカーといわれるスピーカーは、ホームユースのオーディオと使用用途が全く異なります。

ダブルウーハータイプのPA・SRスピーカーの画像
ダブルウーハータイプのPA・SRスピーカー

明瞭度の高い迫力のある音をなるべく遠くへ飛ばすことが、PA・SRスピーカーの役割です。

その為、PA・SRスピーカーは、ホームユースのスピーカーのようにCDやSACDの音を自然な音質で再生するようには出来ていません。

この手のスピーカーで部屋の中でCDやSACDを再生しても、音質はそれほど悪く感じることはありませんが、スピーカーの性格上、低音が多く再生されるので、どうしても音のバランスは悪くなってしまいます。

家庭で、PA・SRスピーカーを使用することは十分に可能ですが、PA・SRスピーカー特有の音の癖があるので、長期視聴していると落ち着かなかったり、聴き疲れをしてしまいます。

これはスピーカーの目的自体が違うので、仕方がありません。

しかし近年のオーディオファンの中に、PA・SRスピーカーの癖のある音をたいへん好んでいいる方も少なからずいるようです。

確かにPA・SRスピーカーの小型ダブルウーハー型のスピーカーの音は、民生用の小型ダブルウーハー型のスピーカーの音よりも、中高域にかけての明瞭度が高く音抜けが良いのでクリアーな音が楽しめるので民生用より意外に使えるかもしれません。

大型ホーン型スピーカーのダブルウーハーは、高音質でづが問題もあります。

ホーン型スピーカーのダブルウーハーは、現在オーディオファンに最高級スピーカーと支持されているJ社の大型ホーン型ダブルウーハーのスピーカーがあります。

J社の最高級ダブルウーハー型ホーンスピーカー画像
J社の最高級ダブルウーハー型ホーンスピーカー

このスピーカーは、中高域用に大型ホーンを使用して、下部に低音域用に大型ウーハーを2本配置するという、たいへん贅沢な造りのスピーカーです。

これだけ大型のスピーカーになれば、再生される音は家庭ではなかなか得られない迫力のあるすばらしい音です。

音質もたいへん良く、大型ホーン特有のクリアーで鮮度の高い中高音と体に響く迫力のある低音が楽しめます。

たいへん高音質といえるのですが、大型のウーハーを2つ(ダブルウーハー)でドライブしているので、やはりバランス的に低音が多くなってしまいます。

このスピーカーは、大型ホーンが力強い中高域をカバーしているので、低音が過多になっていても、音が中高音にかぶり濁ってしまうことがありません。

普通のスピーカーでダブルウーハーを使用すると、低音が中高域に被り音が不鮮明になってしまうのですが、J社のスピーカーは中高域に大型のホーンを使用しているので、音の明瞭度を失うことなく中高域がたいへんクリアーに再生することができます。

これらの理由からJ社の最高級ホーン型のダブルウーハーのスピーカーは、ハイエンドのオーディオファンから支持されているものだと思います。

しかし、ダブルウーハー型ゆえに音のバランスが低音過多になっているのは間違いありません。 普通なら低音過多で音のバランス大きく崩してしまうのですが、大型中高域のホーンでこれらの低音を押さえているので、音質を損なうことはありません。

私は、このJ社の最高級スピーカーを視聴すると、音質の良さは間違いないと思いますが、どうしても低音が押し付けがましい音ように感じてしまいます。

このことを言葉で説明が難しいので、オーディオショウで録音した音サンプルで説明させていただきます。

J社の大型ホーン型ダブルウーハースピーカーの音(Tascam DR-40使用)

J社の大型ホーン型ダブルウーハースピーカーの音で再生される歌手の声は鮮度が高くたいへんクリアーで、さすがJ社の最高級の音と理解できます。

歌手の声クリアーに流れながら低音楽器が追加されていくのですが、低音楽器が追加されてから物凄く力強い低音が再生されるので、歌全体が落ち着きがなくなってしまいます。 音質はたいへん良いのですが、押し付けがましい低音が歌の流れを邪魔しているように感じます。

この特徴は、J社の最高級大型ホーン型ダブルウーハースピーカーだけにいえるのではなく、J社の大型スピーカー全体にいえることです。 J社は優れたウーハーを開発・製造しており、そのユニットの良さを誇示するかのように、低音が物凄く力強く再生される特徴があります。

J社の最高級ダブルウーハースピーカーは、その力強い低音がより強調された感じに聴こえてしまいます。

この低音をもう少し抑えるようにバランス良く調整できれば、見違えるぐらい素晴らしい音が再生されるように思います。

J社のスピーカーには、まだ未開の底力が備わっているように感じます。

こちらは普通のスピーカーで再生した音になります。

普通のスピーカーで再生した音(Tascam DR-40使用)

音源が同じではないので、正確には判断することはできませんが、ご説明することの意図の補助になると思います。

J社の最高級ホーンスピーカーに比べると中高音のクリアーさは劣りますが、低音が押し付けがましくない分、全体のバランスよく再生されていると思います。

歌が上手く中に溶け込んでいけるように思います。

音の好き嫌いはあると思いますが、大体説明したいことが理解できたのではないでしょうか?

これらのことから考えるとダブルウーハー・スピーカーで低音を上手く調整することは、、たいへん難しい作業になると思います。

ダブルウーハーを例外的に上手く使用できるスピーカー つづく


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