File No.5-2 良いオーディオを考える -コラム-

良いオーディオとは(2)

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良くないオーディオを考える

『良いオーディオを考える』前に、まず『良くないオーディオを考える』から考えたいと思います。

『良くないオーディオ』について、ある例をあげて説明していきます。

インターネットで話題になったSACDプレーヤーのお話です。

『あるスイスの高級オーディオメーカーの中身の基盤が、日本のメーカー(中国製)の安物DVDプレーヤーに入っている基盤とほとんど同じだった。』 がという内容が話題になりました。

比較した内部写真
(上)高価なCDプレーヤーと(下)安価なDVDプレーヤーの内部写真

スイスの高級オーディオメーカーの機器の価格は140万円ぐらいで、日本のDVDプレーヤーは、1万円以下ぐらいの製品だったと思います。

140万円のSACDプレーヤーの外観はアルミ装飾パネル仕様で、見た目は高級オーディオ製品そのものです。

1万円のSACDの再生できるDVDプレーヤーの外観は、プラスチックパネルで安物のDVDプレーヤーという感じでオーディオ製品には見えないものです。 

この140万円のSACDプレーヤーを製作した高級オーディオメーカーは、新生のメーカーでなく、長い歴史をもつオーディオメーカーです。

もし、

『音が良いもの』=『良いオーディオ』

にしてしまうと『音が良い』という感覚が人それぞれ異なるので、このスイスの高級オーディオメーカーは、オーディオにとって最良になるようにチューニングしたということで良いオーディオということになります。

このスイスの高級オーディオメーカーには、この事実についていろいろな言い訳があると思います。

しかし私は、このスイスの高級オーディオメーカーの製品を良いオーディオとは絶対に思いません。

音以前に、この140万円のSACDプレーヤーを製作した人のオーディオに対しての気持ち(情熱)が全く伝わらく、140万円と高価なオーディオなのに採用した基盤が、オーディオファンを完全に馬鹿にしているように見えるからです。

このメーカーが本当にオーディオが好きだったりオーディオを信じているなら、こんなオーディオファンを愚弄した製品は販売できないと思います。

私は、この高価な製品が他のメーカーと基盤が同じだったからということで批判しているのではありません。

この製品に使われた基盤は、SACDが再生できる最低ランクの基盤です。 安物のDVDプレーヤーに、少し価値をつけるためにSACDも再生できるようにしただけのもので、決して音質にこだわって製作された基盤ではありません。

この安物のDVDプレーヤーを製作している日本のメーカーは、高級オーディオも製作しているメーカーです。

もし、この基盤でなく高級オーディオの使用している基盤同様のものを採用して高級SACDを製作していたなら、価格が高くても批判はなかっつたと思います。

高級オーディオを製作しているメーカーの基盤を使用するこが出来たかもしれないのに、わざわざ安物のDVDプレーヤーの基盤を使用したことに問題があります。

恐らくこのスイスの高級オーディオメーカーは高価なオーディオを求める人の気持ちなど関係なく、オーディオはただ金儲けの道具しか考えてないものだと思います。

スイスの高級オーディオメーカーの考え

恐らくこのスイスのは、

『オーディオファンは、音など分からないだろう』

『豪華なパネルさえつけていれば、馬鹿なオーディオファンは喜んで買うだろう』

『最も高い製品こそが、オーディオファンが喜ぶ高級オーディオだ!』

『おっと、オーディオ雑誌で万一中身の公開されることに備えて、電源をトロイダル・トランスにしておこう!馬鹿なオーディオファンはトロイダル・トランスだけで高級と勘違いしてくれるしね』

『ついでに安物のドライヴを使用しているのがばれないよいに、ドライヴの上に圧手のプレートを付けて高級そうに見せよう! 俺って天才!』

『オーディオ雑誌には、製品を貸し出しているから悪くは書かないだろう! なんなら適当なオーディオ評論家に1つ製品を提供しても良いだろう』

『日本のオーディオファンはぼろいぜ、自国なら袋叩きだぜ!日本なら大丈夫さ』

おおよそこんなところでしょう。

これらは私の推測ですが、製品を見る限り反論はないと思います。

私は、このような製品の存在はオーディオファンにとって

   

『百害あって一利なし』

だと考えています。

この様なオーディオが日本で販売された原因

スイスの高級オーディオメーカー140万円のSACDプレーヤーが日本国内で販売されたの問題は、このメーカーメーカーだけにあるものではありません。

もちろん、このメーカーが日本のオーディオファンに誠実がなかった理由が一番の原因であるのは間違いないことですが、それ以上に私たちオーディオファンあるいは日本のオーディオメーカーにに隙があったのが大きな原因といえます。

私たちの無意識の心の中に、

  

『高価な製品は良いもの』

    

という考えがあります。

このオーディオ機器にはこんなに高い値段が付いているから、

『このオーディオ機器には何か音の良い工夫がされているのだろう!』

『中の部品は、クオリティの高い高級な物がが使われているに違いない!』

と勝手に想像してしまいます。

特に機器が高級になればなるほど自身の想像が膨らみ、このような気持ちでオーディオ機器を聴くと『音が良く』聴こえてきます。

また、それらの高級なオーディオ機器を購入してしまいますと、

『こんな高価なオーディオを購入できた私は、たいへん幸福だ!』

『高価なオーディオだけであって、さすが音質が素晴らしい!』

心の中に思い込んでしまいます。

『高価なオーディオが、最も良い音である』

と一度心の中に壁をつくってしまうと、他の音の良いオーディオを聴いても音が悪く聴こえてしまいます。

『心理の壁が出来る』とでもいったら良いでしょうか。

人の心は弱いもので心理の壁が出来てしまうと、他が見えなくなってしまいます。

『誠実さ』をもたないオーディオメーカーは、人の心の隙に入りこみ価値のないものを、さぞ価値のあるように装います。

スイスの高級オーディオメーカーは、この人の心の隙を巧みに利用して商売を展開したものだと思います。

怪しいオーディオ機器を販売したスイスの高級オーディオメーカーに最も責任はありますが、私たちの心の隙があったことに反省しなければなりません。

オーディオファンは、賢くならなければなりません。 つづく


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