File No.43-7 SACD・ハイレゾ音源は、本当なのだろうか?(7) -ディジタル-

SACDには音質的に問題が存在したのかも知れないことについて解説しています。

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SACDには音質的に問題が存在したのかも知れない。

SACDは、DSDの高速1bit信号データを再生時にも間引きせずに直接D/A変換できることで24bitPCM方式よりも音質が優れているということでした。

DSDデータを直接D/A変換してしまうと、視聴帯域外の量子化ノイズが再生されて超高音再生用スーパーツィーターを壊してしまうということでDSDデータを直接D/A変換は出来なくなったそうです。 説得力のあるような説明ですが、実際の本当のことは分かりません。

SACDはCD以上の高音質を目指して規格され商品化されたものですが、当初は単純なローパスフィルターだけ通すだけで高音質再生できるシンプルなものでした。

SACDの録音から再生の構成のシンプルさが、SACDの特徴で24bitPCM音源よりも高音質再生が可能であるように考えられていました。

しかし、SACDを商品化して販売していくうちに、いろいろと不都合な部分が見えてきたのではないかと考えられます。

その問題の一つが、SACDの量子化ノイズが音質に与える問題だったと思います。 SACDの発売当初は、SACDの量子化ノイズは視聴帯域の遥かに上の方に存在するので、ローパスフィルターを使用するだけで問題ないと考えられましたが、その帯域外の量子化ノイズが超高音再生のスーパーツィーターに影響し破損させるということが分かったようです。

量子化ノイズがスーパーツィーターに影響して破損させてしまうので、そこで量子化ノイズをディジタルフィルターで除去する回路を新たに追加するようになったようです。

しかし、スーパーツィーターの故障が原因であるという理由にも少し疑問が残ります。

なぜなら、スーパーツィーターまで使用して音楽を再生しているよううなハイエンドオーディオユーザーといわれる人たちは大変少ないといえるからです。

普通一般のオーディオファンたちは、スーパーツィーターなどを使用して音楽を聴くことなどほとんどなく、一部のオーディオファンで超ハイエンドクラスのオーディオマニアと言われる方しか以外はスーパーツィーターというものは使用していません。

SACDの開発メーカーが、僅かに存在するハイエンドのオーディオファンの方のためにSACDの再生方法を変更するとは考えられません。

私は、SACDに存在する視聴帯域外の量子化ノイズが、再生音質にかなりの影響があったのではないかと考えています。

SACDが発売された当初では、CDよりも遥かに上にある視聴帯域外の量子化ノイズは音質に影響しないと考えられていましたが、商品化して販売しているうちにSACDに入っている視聴帯域外の量子化ノイズが視聴帯域の音質に大きな影響しているのではないかという事実が判明してきたのではないかと思います。

しかし、すでにSACDは世界統一規格になっており、SACDの音質の問題についてSACDの開発メーカーは発表できない状況にあるものだと思います。

現在の状況から一部のオーディオ機器メーカーや真剣に音質を追及するプロの録音エンジニアの人などはSACDの音質の問題について、かなり深い部分まで解ってきているように思います。

プロの録音エンジニアの方は、結局、SACDもPCMと同じようにディジタルフィルターで量子化ノイズを除去しなければならないなら、必ずしもすべての工程をDSDで維持する必要がないと考えているのように思います。

また、SACDの開発メーカーは、SACDの製造の独占を維持するためか各自でSACDを製作するための機器を安価に提供していないもの原因があるかもしれません。

そのようなこともあってプロの録音エンジニアはDSDで録音はしても、途中の編集は24bitPCM音源に変換して作業することも仕方がないと思っているように感じられます。

SACDを製作する上で最も効率よく作業が出来る方法は、

DSDで録音するときと同時に24bitPCMデータに変換しまい、その後の編集などを24bitPCMデータで行なってプレスマスター前の2チャンネルソースまで仕上げてしまうことです。

この24bitPCMデータのプレスマスター前の2チャンネルソースをSACDを製作する会社へ持ち込んでDSDデータに変換してもらいSACDを製作すれば完成です。

現在のSACDを製作は、SACDを編集できるプロの音楽編集機材が大変少ないという状況から、恐らく途中の編集は24bitPCM方式を使用して最終のSACDが製作されていることが多いのではないかと思います。

SACDの最高の音質ということを考えると、この方法が良いとは思えませんが、音質以上に販売数の方が重要だと考えられるので、現状ではこの方法で妥協していると考えられます。

SACDの音質に問題があるなら、24bitPCMデータを利用したDVD-AUDIOを製作すればオーディオ的には解決できると思いますが、現状のDVD-AUDIOの普及の状況を考えればDVD-AUDIOで製作することは出来ないことなのでしょう。

ハイレゾ音源の販売には誠実性が必要

誰でも簡単に24bit音源にフォーマット変換できることは大変良いことなのですが、その反面に困った問題も発生してしまいます。

現在ハイレゾ音源や24bitといえば、

    

『高音質である』     

というイメージがあるので多数のCDを製作する企業は、ハイレゾ音源や24bitマスタリングという高音質音源というものを売りに販売しています。

多くのメーカーが『ハイレゾ=高音質』というような宣伝した効果もあって一般のオーディオファンは、ハイレゾ音源や24bitマスタリングと聞くだけで、なんとなく音が良いと思い込んでくれるます。

また、数々の音楽メーカーやオーディオ雑誌が、ハイレゾ音源や24bitマスタリングの音質が良いことを大きく取り上げることで一般のオーディオファンは、ハイレゾや24bit音源、SACDというだけで無意識に高音質のイメージがついてしまっているようです。

これは、ハイレゾ音源の音の技術的な優劣のことをいっているのではありません。

 

『単に、ハイレゾ音源であれば高音質である』

とイメージを無意識にもってしまうことに問題があります。

オーディオファンがハイレゾ音源に良いイメージをもっているこのような状況を各音楽メーカーが、最終の形だけなら簡単に製作できる24bitハイレゾ音源というものを利用しないとは考えられないことです。

つまり、最終の状態が24bitの状態であればハイレゾ音源であるということになるので、途中の経過は重視されていないのではないかということです。

たとえ途中の音楽データが16ビットの状態で作業していたとしても、簡単にフォーマット変換することができるので最終的には24bitのハイレゾ音源が得れることになります。

また最初の録音マスターの状態が16bitの状態であっても、フォーマット変換して24bitの音楽データの状態にすれば、オリジナルの24bitマスターテープを使用ということにもなりかねません。

音楽を製作するメーカーや音楽を配信する企業に誠実さがあればオーディオファン個人が、このような問題を考える必要はないのですが、最近新しく製作されるオーディオ製品を観察していると誠実さというものに疑問を持たざる得ません。

その影には企業のグローバル化が影響しているのかもしれません。

そのような理由から、どのようにハイレゾ音源が音質がすばらしいと言われたとしても、実際に音を視聴して確認しない限りなんともいえないと思います。

メーカーやオーディオ雑誌の誇大な広告の効果により、ハイレゾ音源や24bitマスタリングであるだけで音質が良いという思い込みが発生しているのかも知れないからです。

ハイレゾ音源を製作・販売しているメーカーは、全ての製作工程をハイレゾのデータで維持するようにハイレゾ音源というものに誠実性を持って欲しいものです。

                          おわり

                         



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