File No.65-3 ディジタル・レコーディングの音質管理は難しい(3)  -ディジタル-

アナログレコードの音源の編集に凝れば凝るほど鮮度が失われることについて解説しています。

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File No.65 / 03

アナログレコードの音源の編集に凝れば凝るほど鮮度が失われる。

オーディオでDAT(Digital Audio Tape)が販売されている時代からパソコンでアナログレコード音をを完全にCD-Rに再現しようと様々な実験をしてきましたが、一度として成功したことがありませんでした。

その理由として、パソコンで編集に凝れば凝るほど音の鮮度は失われてしまうからです。

ノイズリダクションなどのエフェクトやクリップした部分を波形を潰していくような細かな編集すればするほど、アナログレコード本来にある音の鮮度が失われていきます。

ヒスノイズを消すためにノイズリダクションをかけると簡単にアナログレコードの鮮度は失われます。

高度にノイズリダクションの閾値などを細かく調整しても、少しは良くなる可能性はありますが、音の鮮度は必ず損なわれます。

また、CDのクオリティ以上の24bitで録音しても、問題は全く解決することはできません。

24bitで録音したデータをCDにするためには、必ずCDのフォーマットの16bitに変換(ダウンコンバート)しなければならなく、24bitを16bitに変換すると元の音の鮮度は必ず失われています。

たとえ柔らかく滑らかな音で上手く変換が出来たとしても、元のアナログレコードにあった鮮度は確実になくなっています。

その他にも、録音レベルを上げるノーマラズやディザリング調整など、安易に音源を操作することは音の鮮度を保つ上で禁物です。

劣化しないといわれるディジタルデータといえども、別のフォーマットに変換すると必ず音が劣化してしまいます。

この変換の問題は、ディジタルのデータ的に正確であるかどうかというのではなく、視聴上の音が劣化すると言う意味で、たいがいはオリジナルに比べて音の鮮度が悪くなっているということです。

録音機材が安価なコンシューマー機材であるから、パソコンの録音の音質が良くないと考えられるかも知れませんが、一概に使用機材だけの問題たとはいえません。

パソコンで高価なプロ仕様機材を使用しても、問題は解決しない。

プロの音楽製作する人たちとアマチュアのオーディオファンがパソコンを使用して録音することの違いは、録音テクニックの違いもありますが、もっとも大きな違いはプロ仕様の機材を使用しているかどうかの違いがあります。

プロ仕様の機材は、ソフトウエアからハードウエアに至るまで何から何まで高価であるのが普通です。

高価なプロ仕様のソフトウエアやサウンドカードは、安価なパソコン録音よりも音質が良いものが多いのも事実だと思います。

音質が良いというのは少し難しく、音楽データ上のでの正確さということではありません。実際の視聴上、音が良いかといった方が良いかも知れません。

特にパソコンを使用して市販のCDをCD-Rに焼きなおしたときに顕著に表れます。

このパソコンで音が悪くなる問題を、高価なプロ仕様のソフトウェアやパソコン機器類を使用すると、確かにコンシューマー製品に比べ音質向上は望めるのですが、根本的な解決には至りません。

音の良いCDドライブなどを使用することで音が改善することは間違いないことですが、全くといっても良いぐらい市販のCDと同じ音のCDを制作することはできません。

パソコンで音楽を制作すると、市販に販売されているCDなどに比べ音の重心が上がってしまい力のない音になるようなことです。

音の重心が上がる以外にも音像の大きさ、音の線の太さ、奥行き感、と様々な要因で音が劣化していきます。

非常に不思議なことに、パソコンを使用して音楽を製作すると音が悪くなる問題を追及している情報をあまり見かけません。

プロ仕様のソフトウエアやハードウエアのあるメーカーでは、パソコンのサウンドカードをバスの場所を指定してるものもあり、パソコンで音楽を制作することが、どれほどシビアであるかが伺われます。

パソコンで録音することは、パソコンの計算性能に関係のないところのパソコン個体差による音の差が存在します。

つまり、パソコンの機種によって音の良いものと悪いものがあると言うことです。

同じサウンドカード、オーディオカードを繋いでも、パソコンによって音が変わります。

また、パソコンだけでなく、パソコンのサウンドカードを刺す場所によっても音が変わるという厄介な問題も発生します。

一部のプロ仕様機器では、パソコンの機種を指定してサウンドカードを刺す場所を指定しているようなのでパソコンの録音のシビアな問題を考慮しているようです。

しかし、このようなパソコンを使用することで様々な音質の変化するというシビアな問題を解決する方法は、プロの現場でも全く確立されていません。

パソコンを使用することでのシビアな音質の問題は、各自の経験とノウハウからでしか得られないのが現状です。

それらの理由からパソコンで高価なプロ仕様機材を使用しても、問題は全く解決しないということになります。

パソコンでは満足のできる複製を制作することが大変難しい。  つづく



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