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フラットレスポンスの音だけが、音が良いのではない。
ホーン・スピーカーをじっくりと視聴する前の私は、広い周波数帯域を限りなく平坦に再生するフラットレスポンスのスピーカーこそがオーディオの大道だと考えていました。
私の考えるオーディオで究極のスピーカーの形は、ホーン型でない周波数特性をフラットに再生できるコーンユニットとドームユニットで構成された4ウェイスピーカーではないかと思っていました。
優れた4ウェイスピーカーというものは製作することが最も難しく、現時点であまり発売されていませんが、オーディオで最終的に最高のスピーカーというのはホーン型ではない4ウェイスピーカーになるのではないかと考えていました。
しかし、ホーン・スピーカーの音を実際に聴いてみると、声の帯域や楽器の音が明瞭でクリアーに飛び出してくるようなリアルな音があり魅力があります。
このような魅力的な音は、他の周波数帯域をフラットに再現しようとするスピーカーにはなかなか再現することはできません。
それでも優秀な4ウェイスピーカーでは、全体の解像度が高いのと同時に中高音もクリアーで抜けが素晴らしく明瞭度のある音なのですが、中音のボーカルの声の再現性・説得力のある音は、ホーン・スピーカーの方が一歩先を進んでいるように思われます。

前にもお話いたしましたがホーン・スピーカーの特徴は、ホーン・スピーカーは全体の周波数帯域をフラットに再生するスピーカーではありません。
しかし、ホーン・スピーカーの音を視聴すると、大変素晴らしく魅力的な音がします。
これはオーディオにとっては、たいへん不思議なことですが事実は事実です。 フラットレスポンスのスピーカーが最高だと思っていた私にとっては、ある意味ショックな結果でした。
それでも、ホーン・スピーカーの説得力のある音は、事実として認めざるけえません。
オーディオは、周波数帯域をフラットに再生することが理想としているのですが
ホーン・スピーカーを視聴して
『フラットレスポンスの音だけが、音が良いのではない。』
ということがわかりました。
ホーン・スピーカーの視聴で解ったこと
前章のオーディオは、『フラットレスポンスの音だけが、音が良いのではない。』ことの続きになりますが、J社のホーン・スピーカーの視聴で解ったことを掲載いたします。
J社のホーン・スピーカーは、高音に小型のホーンと中音のスコーカー帯域に大型ホーン、低音に大型コーン・スピーカーで構成されたスピーカーです。
J社のホーン・スピーカーには、大型のウーハーを採用しており低音に馬力のある音に特徴があります。
J社のホーン・スピーカー音は、バランスが低音が盛り上がった感じで、再生周波数特性を限りなくフラットに再生するようには設計されていません。 このことは、J社のホーン・スピーカーの周波数特性が公表されていないことを考えるとほぼ間違いないでしょう。
中高音用コンプレッション・ドライバーの大型ホーンは、ホーン開口のところの反射が影響するので周波数をフラットに再生することはできません。
また、38cm径の大型ウーファーと中高音用の大型ホーンは、中音と低音の繋がりが決して良いとはいえません。 また、ホーンと大型コーンは、素材的に音色が大きく異なってします。
J社のホーン・スピーカーは、決してフラットレスポンスで再生するスピーカーでなく、中音と低音の音色も合っていないのですが、それでも中高音がクリアーで鮮度の高い大変良い音が楽しめます。
この中高音の大型ホーンが、鮮度の高い中音が鮮やかに再生されることで、視聴した人に音を良く感じさせることができホーン・スピーカーの音の魅力に繋がっているいるものだと考えられます。

ホーン・スピーカーを視聴して理解できたことは、オーディオで中音が鮮やかに再生されると、その他の周波数帯域の特性が少々乱れていても良い音に感じるということです。
このことは名機といわれるフルレンジ・タイプのスピーカーが、中音が鮮やかな音が多いということから理解できるではないかと思います。
オーディオで再生帯域を限りなくフラットに再生するフラットレスポンスは、理想で再現できれば下から上の音も詳細に再生でき細かいニュアンスの繊細に聴こえるので間違いなく良い音になると思いますが、フラットでもない音でも中音域が鮮やかであれば良い音に聞こえるというオーディオの不思議なことです。
ホーン・スピーカーの視聴から、
『オーディオで中音の音質が、どれだけ重要であるか』
理解することが出来ました。
それらのことから、スピーカーを選びには中音の音質は、良い音の基礎になるので中音の良い音質のスピーカーを選ぶことが重要ということになります。