File No.42-2 ボジョレーヌーボーとマスターテープ(2) -コラム-

ビル・エヴァンスの『Waltz For Debby』のXRCDについて解説しています。

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File No.42 / 02

ビル・エヴァンスの『Waltz For Debby』のXRCD

ビル・エヴァンスの『Waltz For Debby』のXRCDは、すでに廃盤になっており現在でプレミア価格が付くぐらいに人気のあるCDです。

このXRCDは、日本ビクターのK2マスタリングという高音質技術が使われて製作されたCDで、マスターテープから厳密に管理されて製作されて製作されたCDです。

XRCDが製造される工程は、XRCDのジャケットの内側に記載されており、音質に非常に拘ったCDだといえます。

このビル・エヴァンスの『Waltz For Debby』のXRCDは、ビル・エヴァンスのファンなどから、最高音質であるとされ、ビル・エヴァンスのファンのコレクターズアイテムとなっています。

『Waltz For Debby』のXRCDの写真
『Waltz For Debby』のXRCD -Bill Evans-

『Waltz For Debby』のXRCDの音質への拘り

インターネットによる記事を参考にすると、XRCDを製作するために特に元のアナログマスターテープを追求したとかかれています。

『Waltz For Debby』のXRCDは、『Waltz For Debby』の著作権をもっている米国Fantasy社からマスターテープを借り受けて製作されたと言われています。

そのテープのホコリや、切り貼りした後のテープの接着剤などを注意深く除去し、きれいにするのに4日もかけられたそうです。

その他の製作工程は、CDジャケットの内側に説明されているようにマスターテープの音質を維持するために細部の工程に気を使って製作された模様です。

『Waltz For Debby』のXRCDの製作工程

XRCD(Extended Resolution Compact Disc)の内ジャケットにXRCDの製作工程の図と説明文が掲載されています。

『Waltz For Debby』のXRCDの製作工程の図
XRCD(Extended Resolution Compact Disc)の製作工程の図

説明文で記載されているように、すべての工程を見直し、音質を落とさないよう慎重にK2マスタリングされプレスマスターが製造されてきた様子が想像できます。 XRCD以上に音質に気を使って製造されたCDは、世界でもほとんどないと思います。

XRCD(Extended Resolution Compact Disc)の説明(1)
XRCD(Extended Resolution Compact Disc)の説明(1)
XRCD(Extended Resolution Compact Disc)の説明(2)
XRCD(Extended Resolution Compact Disc)の説明(2)

最高の音質クオリティを求めてXRCDが製作されていることは間違いないことでしょう。

しかし、これだけ良い音に拘ったXRCDなのに、私はこのXRCDの音がマスターテープの音に近い感じがしませんでした。

『Waltz For Debby』のXRCDの音の疑問

初めて『Waltz For Debby』のXRCDの音を視聴して思うことは、これだけのすごい工程から製作されたCDなのに音が冴えないなと率直に思いました。

実は、昔に友人の『Waltz For Debby』のXRCDを視聴した時の記憶なので、この記事を書く前に友人に『Waltz For Debby』のXRCDを借りるつもりでしたが、友人はXRCDの音が気に入らなかったので当の昔に売ってしまったと言うことでした。

今回、もう一度XRCDの音の確認の為に新たに中古の『Waltz For Debby』のXRCDを、以前に音が気に入らなかったので『Waltz For Debby』のXRCDを買うのは気が進みませんでしたが購入することにしました。

XRCDの音を支持している多くのオーディオファンに角が立ってしまうかも知れませんが、この『Waltz For Debby』のXRCDの音を私は何度聴いても音が好きにはなれませんでした。

高音のヒスノイズをほとんど感じさせない音で、低音が柔らかく全体に滑らかで温かみのある音です。

綺麗で上品な音質であるのは間違いないと思いますが、全体に音の鮮度が悪いように感じます。

全体に音像が大きくピアノの音などの高音部の繊細さに欠けているように思います。

ヒスノイズをとるためにノイズリダクションで処理されているのか?全体に音の鮮度を落としてしまっているように感じるからです。

ピアノの高音部の音の鮮度が足りないので、ビル・エヴァンスのピアノの音の切れが悪くなっているように思います。

音が全体に丸くなってしまっているので、音にリアルさが感じられません。

『Waltz For Debby』のXRCDの音については

    

File No.39 『ビル・エヴァンス-『WALTZ FOR DEBBY』CDの研究』

に掲載していますので、こちらをご覧ください。

日本では、『Waltz For Debby』のXRCDを最高のの音をするオーディオファンも多いのですが、海外ではこのXRCDを低く評価しているサイトがあることを考えると、私と同じようにに考えている人もいうようです。

高音質のCDを目指して完全な工程の取ったこのXRCDが、音がもう一つ冴えない理由として考えられることは、やはりマスターテープからの一世代のコピーされたというワークパーツに問題があるのではないかと思います。

『Waltz For Debby』のXRCD製作のワークパーツと使用されたマスターテープ つづく


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