File No.60-3  音・音質の判断の難しさ(3) -コラム-

プロの演奏家が好むオーディオは、音・音質が良いのは間違いないだろうか?について解説しています。

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File No.60 / 03

プロの演奏家が好むオーディオは、音・音質が良いのは間違いないだろうか?

プロの耳は信頼できるだろうか?

楽器を演奏するプロの人やプロの歌手であれば、常に良い音を追及して演奏や歌を歌っているので良い音に対しての択一した耳をもっていると考えられ、プロのの歌手や演奏家が好むオーディオ機器であれば、音・音質は間違いなく良いと考えられています。

このことは。ある意味において間違いないことだと思います。

音を専門にして仕事をするプロの音楽家にとって、普通の人に比べると遥かに音に対して常にシビアに接していることで、良い音に対しての感性が進んでいることでしょう。

そのようなプロの音楽家、特にオーケストラなどの生楽器を演奏する人が好むオーディオ機器は、最も音が良いというオーディオ機器という考えがあります。

私自身の考えでは、このようにプロの求めるオーディオ機器こそがオーディ的に最も優れているという考えは、半分は当たっているが半分は間違っているのではないかと考えています。

音の感性の優れたプロの人が選ぶオーディオ機器の音が、極端な変な音のするオーディオがないことは間違いないことでしょう。

しかし、そのようなオーディオ機器の音が最も音が良く優れているという考えには少し疑問を持たざる得ません。

なぜならば楽器を演奏するようなプロの演奏家は、自身の音の理想を頭の中に構成してオーディオの音を視聴するからです。

楽器であれば柔らかく滑らかな美しい音を求めてしまう可能性が、耳が良いのがうえに十分に考えられます。

プロの演奏家の理想の音をオーディオの音に求めることから、プロの演奏家の使用しているオーディオは、2wayスピーカーと真空管アンプなどのシンプルな組み合わせをしているのを多く見かけます。

プロの演奏家は、オーディオ的な性能の良いワイドレンジのスピーカーなどを聴くと、いかにもオーディオ的で音で音が全く良くないというような意見も多くあります。

このようなことを考慮すると楽器を演奏するプロの人やプロの歌手の求める良い音とオーディオリスナーが求める良い音には大きな違いあり、求める音・音質にギャップがあるように思われます。

このプロの演奏家と一般のオーディオ・リスナーのギャップの問題は、簡単に説明できるものではありませんが、なぜ、このような音の対してのギャップが存在するのかを例をあげて説明したいと思います。

例えば大変美しい顔の女優がいたと考えます。

高解像度のカメラでテレビ画面に女優の顔の毛穴までも大変リアルに映し出されることを、はたして女優が求めるでしょうか。

恐らく女優であれば、自身の顔をリアルに映し出されるよりも、スクリーンにより美しく健康的な肌を映すことを望んでしまうのではないかと思います。

また、女優が画質が良い優れた性能のカメラという考えたとき、自身の顔の毛穴までリアルに映し出すカメラよりも、自身を最も美しく映し出すカメラが最も画質の良い性能の良いカメラだと考えるでしょう。

このようなことは楽器を演奏するプロの人やプロの歌手にも言えるのではないかと思います。

プロの演奏家であれば、演奏された音の理想の良い音を求めてしまうためにオーディオ的なリアルで良い音よりも、自身にとって魅力のある音を良い音と考えてしまうのではないかと思います。

もちろん音に精通しているプロの人のオーディオが、一般の人が求めるオーディオとは異なり良くないと言っているのでは決してありませんので誤解のないようにお願いします。

プロの耳は大変信頼できるものでプロが選んだオーディオ機器には、悪い音がするものは考えらませんが、一般のオーディオ・リスナーと良い音、音質に対しての捕らえ方が異なることも多くあると思います。

また、生楽器を演奏するプロになればなるほど、音を頭の中で補間して聴く癖が付き、どのようなオーディオ装置でも十分に音楽を聞くことができてしまうようです。

その為に現実に近いようなリアリティのある音・音質で音楽を聴くと、演奏の些細な粗などが大変気になり、気持ちが悪くなるのかも知れません。

楽器を演奏するプロの中には、オーディオの音を全く信用しない人がいます。

このような考えは生楽器を演奏するクラッシックの演奏家に多いように思います。

生演奏と電気的・機械的変換されたオーディオの音には大きな差があるので、オーディオの音を全く信用しないというプロの音楽家の考えも全く理解出来ないことはありませんが、生演奏でない記録した音の芸術というものに、もう少し寛容であっても良いと思います。

なぜなら演奏とういうような芸術を記録して残していくことも、芸術を語る上で大変重要と思われるからです。

偉大な指揮者の演奏などを現在でも簡単に聴けるのは、SPやアナログレコードなどの記録装置があったからです。

生演奏が素晴らしい芸術であるのはわかりますが、生演奏だけでは不特定多数の人に優れた作品を披露するのに限界があります。

素晴らしい演奏を披露するプロの芸術家こそ、音楽を記録して作品をつくり芸術を後世にの残すことに真剣に向き合ってほしいと思います。

記録された芸術作品を最高に披露するオーディオというものに、偽物や別物というように軽蔑するのではなく、プロの演奏家であればあるほどオーディオエンジニアと協力しあって優れたオーディオを目指すことを望みます。

プロの音楽家の好むオーディオ機器

音楽に精通しているプロの音楽家の音の対してのシビアな感性は、大変鋭く耳も良く音を聞き分ける能力も大変良いと思います。

しかし、プロの音楽家は、音を頭の中で補間してオーディオを聴いてしまう感じがあります。

リアリティの高いオーディオの音を聴くと素人にはわからない演奏などの粗が大変気になり、純粋にオーディオを楽しめないのかも知れません。

高密度・高解像度のオーディオシステムより、自身の演奏の最高に聴けるオーディオを好む傾向があるように思います。

よって、プロの演奏家が好むオーディオ機器を知ると、プロの演奏家だから絶対に音が良いのは間違いないものと決め付けてしまうのではなく、この演奏家はこのような音が好きなんだなと自分で頭で想像することが重要だと思います。

ひとつだけ言えることは、プロの演奏家が好んで使用しているオーディオ機器は、その演奏家の作品が最も魅力的に聴けることだと思います。

シンプルな組み合わせのオーディオの写真
シンプルな組み合わせのオーディオ

しかし、ここで十分に注意しなければならないことはプロの演奏家が大変音質が優れている謳っているオーディオ製品の中にはプロの演奏家がオーディオ・メーカーにお金をもらって(契約して)広告塔になっている場合があります。

そのようなオーディオは、実際にプロの演奏家が好んでいるかどうかは本当のところは分からないので注意する必要があります。

もしかすると、ほとんどのプロの演奏家たちは、仕事で毎日、毎日、音に携わらなければならない仕事なので、オーディオファンのように家の中でオーディオで音楽を楽しむことはないのかも知れません。

音を仕事にするプロの演奏家たちの仕事病というところでしょうか

オーディオで良い音についての考え方 つづく


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