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なぜSACDやハイレゾ音源の音がダメなのか
SACDやハイレゾ音源の音は、音場が広く、音が滑らかで奇麗でひずみも少なく高音質であることは間違いありません。
しかし、SACDやハイレゾ音源の高音質には、SACDやハイレゾ音源の特有の問題があるように思います。
これらの音の問題は、SACDやハイレゾ音源の音が耳あたりの良い高音質なのですが、リアリティのある音から離れてしまうように感じてしまいます。
SACDやハイレゾ音源の高音質というものについて考えていきたいと思います。
SACDやハイレゾ音源の音の特徴
音場が広い
音が美しく滑らか
ひずみが少ない
音像が大きい
■ 音場が広い
録音された音源の自然な音場を再現することは、オーディオでリアリティのある音を再現する上で重要な要素です。
しかし、SACDやハイレゾ音源では、自然な音場以上なものが再現されているように思います。
自然な音場以上なものが再現されるという問題は、非常に厄介でアーティストなどの製作者側からすると、自然なリアリティのあるそのままの音よりも、音場以上なものが追加されていた方が音が良く聴こえるために好まれているということです。
■ 音が美しく滑らか
音が美しく滑らかであるのは高音質の条件ですが、それは録音された音が再現されるのに 限ることです。 SACDやハイレゾ音源の音は、録音されてたものとの音よりも音が美しく滑らかになっているように感じます。
自然界の音にはきれいで滑らかな音でなく、耳に突き刺さるような鋭い衝撃音も存在します。 それらの耳に突き刺さるような鋭い衝撃音を再現しないで、すべての音が美しく滑らかであると音のリアリティが損なわれてしまうことになってしまします。
SACDやハイレゾ音源の音は、突き刺さるような鋭い衝撃音でも、特有の美しく滑らかに再現されているように思います。
特に低音域の音が常に付きまとう感じがあり、それが音の潤いなどに貢献しているのですが、特有の空気感ができてしまうので、何を聴いてもその空気感の中に音が存在しているように聴こえてしまいます。
このSACDやハイレゾ音源の独自の空気感が、暖かい音の雰囲気がでる良いところなのですが、実際の音からするとリアリティを損ねてしまっているように思います。
実際の空間の音が乾いた感じの音であっても、SACDやハイレゾ音源ではしっとりした音になっているからです。
しっとりした音はリッチな雰囲気があり上品な音に聴こえますが、その上品さが実際の音と明らかに違うのでリアリティが感じられなくなってしまいます。
■ ひずみが少ない
CDなどに比べSACDやハイレゾ音源は、ひずみが少なく静けさをもっており、SACDやハイレゾ音源のひずみの少なさはたいへん評価できます。
ひずみの少ない部分は、CDやアナログレコードより上だと思います。
■ 音像が大きい
音像の問題は、重要なことなので次の見出しで解説しています。
SACDやハイレゾ音源の音像の問題
SACDやハイレゾ音源を視聴すると、いつも感じるのが音像の大きさが気になります。
音像というものは、大きくても小さくても不自然に感じてしまいます。

これは普通の音像のイメージです。 音の大きさにより音像がシャープになり、実際の楽器のサイズを想像させる音で、ある意味理想的な音(リアリティのある音)です。

こちらはSACDやハイレゾ音源でよくある音で、音像が大きく実際の楽器のサイズより大きく感じてしまいます。
大きなピアノやバイオリンの楽器を巨人が弾いているように感じさせる音です。
ここで、誤解がないように申しますと、音自体はきわめて高音質です。
音像が大きい音は、ボーカルの声には広がりを感じさせ普通より良く聴こえるので良いところのもありますが、音像の大きさが高音質でもリアリティが薄れてしまうように思います。
また、音像が大きければ、音がレンズで拡大された状態になるので解像度が上がる傾向があります。
これは、小さなものを見るときレンズで大きくした方が細部良く見えるのと同じことで、音も大きくすれば音の細部が見渡すことができるのと同じ原理です。
音像が大きければ、解像度が高くても声や楽器のフォーカスが大きくなってしまうので不自然に聴こえてしまいます。

音像が大きくなって細部の表現が見えて解像度が上がるよりも、楽器などは実際の音を想像させる大きさのである方が音にリアリティを感じさせると考えています。
楽器などは実際の音を想像させる大きさで、解像度のある音が最も良いのは間違いありません。
私が現在のSACDやハイレゾ音源の音を好まないのは、SACDやハイレゾ音源の音が全体にアナログレコードなどに比べ音像が大きく感じることで、高音質といえどもリアリティを感じさせないからです。
これらが解決すればSACDやハイレゾ音源は、オーディオにとって素晴らしいものになると思っています。