File No.44-6 20年前の日本製おもちゃのスピーカーの実力を検証する! -スピーカー-

20年前の日本製ミニコンポのおもちゃのスピーカーを現在に換算するとどれぐらいの価値があるだろうかを解説しています。

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File No.44 / 06

おもちゃのスピーカーを、現在に換算するとどれぐらいの価値があるだろうか?

これは私の想像になりますが、もし現在この昔のミニコンポのスピーカーを生産するとどれぐらいの価格になるのだろうかということを考えてみました。

スピーカーユニットは、品質はさておき全て日本製のスピーカーユニットを使用しています。

この日本製のスピーカーユニットは、最高級とは程遠い存在ですが精度などは申し分なく、 出来は悪くありません。 このユニットにフレームやマグネットなどをアップしていけば高級品のスピカーユニットが出来そうです。

このような低レベルのおもちゃのスピーカーでも、スピーカーユニットの金型を1から起こして製作するには大きなお金がかかり、現在の日本オーディオメーカーには製作できないのではないかと考えられます。

20年以上前であれば、日本の中小の町工場で低価格でスピーカーの金型を簡単に製作することができたのですが、現在で大企業のグローバル化の推進によりスピーカーの金型を低価格で製作できる日本の工場はほとんどなくなってしまいました。

現在の日本で販売されているスピーカーのユニットは、ほとんどが台湾製のユニットメーカーの製品になります。

たとえばこの台湾のユニットメーカーのスピーカーユニットを使用して製作することを考えると、

■ ウーハー 10,000円

■ スコーカー 8000円

■ ツイーター 5000円

■ ネットワーク 2000円

■ エンクロージャー 10,000円

ぐらいだろうと思われますが、販売価格は1本10万円ぐらいではないかと思います。 もちろん実際に1本10万円で販売できるようにするには、スピーカー端子やエンクロージャーをもう少し高級にする必要がありますが、現在、国内で昔のミニコンポ用スピーカーを実現するためには、これぐらいの価格が必要だと考えられます。

昔のミニコンポのスピーカーを現在に再現すると、それぐらい価値があるようの思います。

もし昔のミニコンポのスピーカーを完全made in Japanで再現すると

スピーカーを完全made in Japanなどというと大げさに見えますが、30年前なら当たり前のことで、逆に海外生産などは考えられませんでした。

現在は、国内で家庭で楽しむような優れた製品が日本国内で生産することができないことに寂しさを感じます。

それはさておき、もし昔のミニコンポのスピーカーを完全日本国内で完全made in Japanで生産すれば、どれぐらいの価格がするかを推論してみたいと思います。

現在スピーカーを設計してもエンクロージャー以外は、日本国内で生産することは大変難しい状況です。

なぜならばかつてスピーカーユニットを製造していた日本に中小企業は、ほとんど存在しないために実質的にスピーカーユニットに生産が出来ない状況だからです。

20年前のミニコンポ用スピーカー Victor DC-5500(MADE-IN-JAPAN)の写真
20年前のミニコンポ用スピーカー(MADE IN JAPAN)

20年前の日本の工業の状況では、スピーカーユニットを製作している大手の家電メーカーの下請けという工場が多く存在していたために、スピーカーユニットの設計図が上げれば直ぐに製作にかかることができました。

長い間、大手のスピーカーメーカーから下請けとしてスピーカーユニットを製作していると、多く製造ノウハウを蓄積しているので敏速に低コストの製作が可能でした。

しかし、現在では日本国内でスピーカーユニットを製作できる技術をもっていても、低価格で生産することは大変難しい状況です。

なぜならば、もし現在、国内でスピーカーユニットを生産するとなると、スピーカーユニットの金型を1から製作しなければならなく、新たにユニットを設計してから製品になるまで大きなコストがかかるからです。

本当に良いウーハースピーカーユニットを1本を製作するためには、現在では1個1000万円ぐらいはかかると考えらます。

もちろん品質を問わない形だけスピーカーユニットを製作するだけなら、製造コストは大幅に下がりますが、そのような製品の存在価値があるとも思えません。

いろいろなことを検討していけば、20年前のミニコンポ用のスピーカーを現在、オール日本国内生産でで実現すると、実際に販売できるか別にして販売価格は、恐らく1本65万円ぐらいになるのではないかと思います。

少しオーバーに設定した価格かも知れませんが、現在の日本での生産の技術力はこれぐらいだと思って良いでしょう。

現在、何かあるごとに日本のものづくりや日本の技術力といわれますが、それは日本国内で生産を継続してきた企業だけの技術力であって、海外で生産している会社の技術力は、低コストで国内生産できるぐらい技術力などはありません。

ただ設計だけの技術であれば、日本は技術力があるといえるかも知れませんが、国内で低コストで高品質の生産する技術力は皆無に近い状況だと思います。

海外に出た企業は、自らものを造らないので、何れ設計する技術の失うものだと予想します。

これは、時間の問題だと思いますが、予測が大きく外れることを期待しています。

恐らくこのミニコンポのスピーカーが、65万円もすると誰も購入する人はほとんどいないでしょう。

だから需要があって、望まれていても国内生産できないことに大きく失望しています。

日本の工業は、政府・企業の政策の指導によりグローバルを推進した結果、国内で生産する技術を大幅に下げてしまいました。

スピーカーを日本国内で技術的には生産できたとしても、生産コスト的に生産できないのが日本の産業の現状だと思います。

低レベルなスピーカーでも製作できない現況が寂しい

現在は、日本企業のグローバル推進により、スピーカーユニットを製作できる企業が日本からなくなり、単純な電化製品といえるスピーカーを日本国内で安価で製作することができなくなりました。

このような低レベルなスピーカーといえども、日本国内では生産できない現状は寂しい限りです。

日本の技術者の方たちは、

   

『何の為に学校で技術を学んできたのだろう』

   

と考えさせられてしまいます。

恐らく真面目に技術を学んできた技術者たちには、責任はないと思います。

政府や企業が日本の技術者たちにお金のみを求め、本当に誇りのある仕事をさせたがらないのが大きな責任ではないかと考えています。

現在の日本の家電などの技術者の仕事は、海外の他社で製作さたた製品の評価など、実際の設計して製品に仕上げていくことはほとんどできません。

技術者たちが製品の品質を上げようにも自社生産してないので、品質を上げることは容易ではありません。

ほとんどは、国内で設計だけして生産は海外という構図です。

設計は技術者にとって大切なお仕事だと思いますが、設計した製品の製造工程まで目を向けていくことで、自分やチームで製作した製品に気持ちが入ってきます。

出来上がった

  

『製品に心が入り血が通う』

  

と表現したらよいでしょうか。

自分の製作した製品に自然と想いや愛情が出てきます。

そのような製品を手がけるようになれば、万一不良が発生しした場合でも他社に丸投げしたりはしないで、自ら対策にのりだすものだと思います。

それにより消費者に信頼を得て日本の技術者が、本当に誇りのある仕事ができるものだと思います。

政府や企業は、日本の技術者たちに誇をもった責任ある仕事をサポートしていくことが重要だと思います。

このようなことは短期的には上手くいかなくても、長期的に見れば消費者の信頼を得て必ず企業の力になっていくものでしょう。

このままいけば、日本の将来が危ぶまれます。

今回は、1980年代でいえば比較的低レベルのスピーカーといえるものを調べてみましたが、かつては普通に国内で生産できた低レベルと思われるスピーカーでも、現在の日本では国内で生産できないのが非常に寂しく思います。

高級なオーディオのノウハウがあって、初めて安価で良質なものが製作できる。  つづく


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