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美しい音と果実の甘み
高級オーディオで美しい音は、たいへん魅力があり、どのような音楽も美しく視聴できることは良いことですが、あまり美しい音を求めすぎると音楽の楽しみが半減してしまうように思います。
美しいを音が良いという考えは、果実でいうと甘さのみを求めているという感じで
『糖度が高ければ高いほど美味しい』
という考えと同じだと思います。
果実が甘ければ甘いほど美味しいと感じられるなら、ある意味、幸せなことだと思います。
オーディオの音も『美しい音』のみを追っていれば、十分に満足できるということ同じです。
しかし果実は、甘み以外に酸味や渋みなどがあり、それらの全てがバランスされているからこそ、果実が美味しく感じられるのではないかと思います。
私は、糖度の高さだけが果実の美味しさではないと考えており、テレビのなどで美味しい果実の紹介する時に糖度計で測った糖度の高さ見せているのをみると、そんなに糖度が高いものが良いなら、採れた果実に直接砂糖でもかければ良いのにと思ってしまいます。
最近のオーディオは、オーディオ機器、ハイレゾ音源のソフトウエアに至るまで、果実の甘みのように美しい音を求めているように感じてなりません。
果実の甘みのような美しい音の求めることは、オーディオが趣味の世界の楽しみなので自由なので否定はできませんが、オーディオにもう一段上の音を追求して欲しいように考えています。
オーディオにもう一段上の音を求める
高級オーディオに美しい音質を求めることも良いことだと思いますが、よりリアルな音・音質を追求して欲しいと思っています。
自然界にある音は、大変厳しく、美しい音だけでなく、人の耳からは汚いと思われる破裂音なども存在します。
つまり自然界の音には、オーディオ的な美しい音など存在しないということになります。
オーディオの機器の音・音質を自然フィールドの音と間違えるぐらいな音を追求して欲しいと思っています。
高級オーディオの上品で美しい音質は、大変魅力がありますが、音を正攻法的に捉える努力はオーディオの発展にとって大変重要だと考えています。
自然の厳しい音や音質を追求することは大変難しいことだと思いますが、本質的に良いリアルな音質を求めることの最短距離になると思います。
リアルな音の追求はアーティスト側や録音エンジニアにも、非常に厳しい条件を求められます。
歌手であれば、素の声量や歌唱力が必要になるので録音が大変厳しいものが必要になってきます。
しかし、厳しい録音の為に最高の歌唱力を必要とすることがかえって、声量を歌唱力を備えた本物の声で感動させる歌手を誕生させることもあるように思います。
『リアルな音』の追求は、アーティストには大変厳しい条件で作品を製作することになりますが、その厳しさをクリアーしたアーティストは一流の芸術家として認められ、作品を聴く人々に感動を与えるでしょう。
オーディオには、大変厳しいことかも知れませんが、リアルなサウンドを求めて欲しいものです。