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『リアルな音』の追求の悩み
現在のオーディオの状況から考えるとリアルな音・音質を追求することは大変難しいように思います。
最近のオーディオは、ハイレゾ音源に代表するように高音質化とワイドレンジ再生に進んできています。
スペックの高いハイレゾ音源の音を基準にして、オーディオ機器の高音質化をはかっていくことは、オーディオにとって間違いではありません。
しかし、ハイレゾ音源は、高忠実な音をリアルに捉えるよりも、綺麗な空間や響きのような要素が入っている感じがあるように思います。
ハイレゾ音源といわれるCDを昔のレコードや初期のCDなどと比べると歪が少なくなり高音質化されているのは理解出来ますが、どこか音が広がったような感じがあり、ふわ付いた感じがしてなりません。
ハイレゾ音源は、美しく滑らかな音でBGMとしての最高かも知れませんが、音に緊張感というものが欠けているように思えてなりません。
音に緊張感がないと、どのように美しい音で聴こえても、リアルな感じが乏しくなってしまいます。
自然界のあるようなリアルな音よりもハイレゾ音源の美しい音質は、アーティスト側にも大変なメリットがあり、現在のアーティストも大変好んでしるように思います。
歌手の人が、自身の実力以上に美しい声と声量で録音できることは、曲をヒットさせる可能性があるので大変好まれることでしょう。
それらのことからアーティスト自身が、ハイレゾの音の美しい音質の特徴を上手く取り込んでいると考えられます。
アーティスト側から求められるハイレゾ音源の美しい音の響きは、それらの特徴を引き出すように高級なオーディオ機器が製作されているのではないかと思います。
最近のどのオーディオ機器もハイレゾ音源の美しい音の再生を基準として製作されるので、だんだんとリアルなサウンドの再生から遠ざかるざる得ないように感じられます。
このままいくとハイレゾ音源やオーディオ機器の音・音質に、リアルな音・音質が望めなく大変困った状況になりつつあると思います。
オーディオ機器を製作するための音の基準を、ハイレゾ音源のような美しい音で求めてしまうと自然なリアルな音の追求が出来なくなってしまうので、音に癖が少ないアナログテープ音源など何らかの音の新しい基準が必要になってきているのではないかと考えています。
なるべく早期の内に、ハイレゾ音源のような美しい音質のような癖のない、新しい基準の音を統一して欲しいものです。
おわり