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MDR-CD900STというヘッドホン
日本で20年以上も、ほとんど変わらず発売され続けているヘッドホンというものがあります。
SONYのMDR-CD900STというヘッドホンです。
プロ仕様のヘッドホンとして製作されたヘッドホンですが、オーディオ製品として大変なロングランの製品といえます。
現在は、これだけ長い間、発売されているオーディオ製品は他にはありません。
SONYのMDR-CD900STというヘッドホンといのものは、どのようなヘッドホンであるかを解説していきたいと思います。

MDR-CD900STというヘッドホンとは
MDR-CD900STは、プロユースに向けて日本の標準モニターヘッドホンをして製作されたヘッドホンです。
MDR-CD900STは、ヘッドホンとして音質クオリティの高さもさることながら、頑強な作りで耐久性をもったプロユース仕様のヘッドホンをして信頼性の高い仕上げとなっています。
当時、日本では標準的なモニターヘッドホンというのがない時代に、SONYという日本の企業がモニターヘッドホンにメスを入れた挑戦的な製品だと考えられます。
当時のMDR-CD900STのモニターヘッドホンの開発段階では、CDの普及に対してその音源を正確にモニターできるスタジオヘッドホンが必要だったので、ディジタルオーディオではリーダー的な存在だった当事のSONY社が、プライドをかけて製作をしたモニターヘッドホンだったと思います。
スタジオ・モニターヘッドホンとしてMDR-CD900STの出来栄えが大変優れていたことが知れ渡り、日本のスタジオに瞬く間に広がり、日本の標準モニターヘッドホンとして地位を不動のものになり現在に至っています。

MDR-CD900STが登場する前は、国内のスタジオモニターヘッドホン状況は、AKGやゼンハイザーなどの海外ブランドを使用したり、国内のメーカーを使用したりと多種さまざまなヘッドホンを使用していたものだと思います。
MDR-CD900STが登場してから国内のスタジオが使用するヘッドホンは、MDR-CD900ST一色になってしまいました。
それぐらいプロユースのヘッドホンとしてMDR-CD900STは、音質と実力を備えたおり、日本の多くのスタジオ・エンジニアやアーティストに認めた優れたヘッドホンだったのでしょう。
国内のスタジオの中にもMDR-CD900STをメインのモニターヘッドホンとして使用していないスタジオもあるとは思いますが、サブのモニターヘッドホンとして必ずMDR-CD900STは用意されていると思います。
既に国内のスタジオではモニターヘッドホンとしてのMDR-CD900STは、無視できない存在になっています。
発売されてから20年以上経過した現在でもモニターヘッドホンとして現役で活躍し続けているMDR-CD900STは、尊敬にあたいするヘッドホンであり、日本を代表とするモニターヘッドホンの1つであることは間違いないことだと思います。
MDR-CD900STとコンシューマーオーディオ
MDR-CD900STは、本来プロユース向けに製造されたヘッドホンですが、モニターヘッドホンとしての性能、妥当な価格設定もあり、コンシューマーオーディオの世界でも評価されるようになりました。
発売当事にオーディオショップでMDR-CD900STを視聴したとき、その解像度の高さと音のバランスの良さ、音質クオリティの高さに驚かされたものです。

コンシューマーオーディオでは、MDR-CD900STをベースにコンシューマー仕様としてフォーンジャックを金メッキに施し、ミニプラグに対応したコンシューマー製品のMDR-CD900というのも登場させています。
MDR-CD900は、音質クオリティの高さと解像度の高さから高い評価を得ることができましたが、価格が高かったこなどコンシューマーオーディオでは、以前としてプロユースのMDR-CD900STの方が人気が高かったように思います。