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便利さゆえの物足りなさ
オーディオにCDというディジタル・オーディオが登場して以来、オーディオがアナログからディジタル化が進んで既に数十年が経過しています。
現在では、ほとんどのオーディオにディジタル化が進んで純粋なアナログ・オーディオというのは少なくなってしまいました。
もちろん現在でも昔のようなアナログ・オーディオというものも健在ですが、一般にディジタルオーディオを抜きにしてオーディオは考えられない時代になってきていることは周知の事実だと思います。
ディジタル・オーディオが発展したことでパッケージメディアのCDから、今後は音楽データの受信が可能になったネットオーディオがオーディオの主流になっていくことでしょう。
最近の20代くらいまでの若い人の中には、音楽を楽しむ為にCD(コンパクトディスク)を購入したことがない人がいるというぐらいオーディオではネットオーディオが重要な位置になってきています。
それらの現在の状況を考えると今後は、音楽というものはインターネットを通じてダウンロードして楽しむのが普通となっていくだろうと予想することができます。
オーディオをはじめコンピュータ、データ通信のディジタル技術が発展することによって、様々な音楽を楽しむことが簡単かつ便利でより身近になり、かつてのようにレコード屋さんに行ってCDやレコードを購入することも必要なくなるときが もうすぐそこまで来ていることでしょう。
既に現在ではiPhoneなどの携帯電話の普及により、いろいろな音楽を誰でも何処でも簡単に楽しめる非常に便利な時代になっています。
しかし、昔で考えられないぐらいに大変便利になっていく世の中、何か物足りなさを感じてなりません。
今回のテーマは、大変便利になるオーディオの世界で、簡単、便利さゆえに音楽に何か物足りなさを感じるのは何故であるのかを考えていきたいと思います。
インターネットの発展で高音質の音楽が簡単に手に入るようになった
現代の日本のようなインターンネット環境が発達した社会では、高音質の音楽が簡単にダウンロードして、楽しむことが出来るようになっています。
かつては、CDやアナログレコード、カセットテープなどのパッケージメディアやFM放送でしか音楽を楽しむことが出来ませんでしたが、現在ではiPhoneなどを使用していつでも何処でも音楽を楽しめます。
以前にも高音質で音楽を楽しむ無料のFM放送というものがありましたが、FM放送は一方的に放送が流れてくるだけなので自分の聞きたい曲を選んで聞くことはできませんでした。
従来の音楽を楽しむ方法では、CDを再生するにはCDプレーヤー、アナログレコードを再生するにはレコードプレーヤー、無料放送を楽しむ為にはFMチューナーなどのオーディオ機器が必要でした。
現在の音楽を楽しむということからすれば昔のオーディオは、大変不便だったようにも思えます。
しかし、今ではパソコンやiPhoneのような携帯電話があればインターネットで好きな曲を検索して購入することで音楽を簡単に楽しめる時代になっています。
また、『Youtube』などの動画サイトを利用すれば、全ての音楽ではありませんが無料でそこそこの高音質で多くの音楽を簡単に楽しむこともできます。
『Youtube』の音声が、そこそこの高音質といっても ノイズが入らない音なのでFM放送よりも良いぐらいです。
昔の状況からすれば、この音が無料で聴けることは感動ものといって間違いありません。
昔、音楽を求めてCDなどをレコード店に買いに行ったことを思えば、現在は家にいて、あるいは外出先からでも電波が届く場所にいればiphoneなどの携帯電話さえ持っていると、何処からでも音楽を購入して楽しむことができることは本当に便利になったというしかありません。
しかし、それだけオーディオの環境は良くなってきているのに、音楽を楽しむ上で、何か心の中がすっぽりと抜け落ちた感覚があります。
好きな音楽が、いつ何処でも高音質で手に入れることが可能となった現在、便利さと裏腹に心の中に何か物足りなさを感じてしまうのは、恐らく私だけではないように思います。
音楽を聴くということが、簡単に大変便利になっている現在に贅沢な悩みであるかも知れませんが、音楽を聞く上で自分自身の心に嘘をつくことは出来ません。
現在、音楽を聞く上で何か心の中が、すっぽりと抜け落ちたような感覚について考えていきたいと思います。