File No.056-2 優秀なスピーカーメーカーだったY社の新しいスピーカーについて考える(2) -スピーカー-

NS-5000の音について(オーディオセッション2016 in Osaka)解説しています。

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File No.59 / 02

フルレンジ・スピーカー

フルレンジ・スピーカーとはフルレンジという名称のとうり全帯域を1つのスピーカーユニットでカバーするスピーカーのことを言います。

スピーカーユニット一本をキャビネットに収めた大変シンプルなスピーカーです。

フルレンジ・スピーカーの写真
フルレンジ・スピーカー

フルレンジ・スピーカーは、スピーカーユニット1つのシンプルに構成されているので、位相特性が良く、極端に音が悪く感じるようなことは、ほとんどないスピーカーなので失敗の少ないスピーカーだといえます。

もっともシンプルな構成のスピーカーなので、位相特性の良い大変素直な音が再生されるのが魅力になります。

フルレンジ・スピーカーは、音が素直で失敗の少ないスピーカーですが、1つのユニットで全帯域をカバーする必要があるので広帯域のワイドレンジ再生は難しいのがデメリットになります。

フルレンジ・スピーカーは、原理的にスピーカーユニット1つで構成されており高音から低音まで1つのユニットで再生する必要があるので、超低域から超高音まで再生するには無理があります。

低音の最低再生周波数は、スピーカー口径に左右されます。

低音の再生の拡大すると、高音の再生領域が下がるので口径をあまり大きくすることも出来ません。 低音用のウーハーの口径が大きい理由も、このところにあります。

逆にスピーカー口径を小さくすると、高音の再生レンジは良くなりますが、今度は低音が出なくなってしまいます。

フルレンジ・スピーカーは、スピーカーユニットのサイズが大きすぎても小さすぎても良い音のものができないのでで、適当なサイズに妥協することになります。

最も良いバランスのサイズは16cmぐらいで、それより小さいと低音が不足し、大きいと高音がでません。

つまり低音から高音までフラットにワイドレンジで再生できるフルレンジは、製作できないことを意味します。

このワイドレンジ再生ができないということが、必ずしもフルレンジスピーカーの欠点になっていないとことが、オーディオが奥が深く面白いところでもあります。

フルレンジスピーカーの中には、中央部にサブコーンを配置して再生周波数レンジの拡大を工夫した製品もありますが、周波数帯域を2つに分割した2Wayスピーカーなどに比べると再生周波数レンジは劣ります。 (音が良くないと言っているのではのではありません。)

フルレンジスピーカーは、最もシンプルで構成が簡単なので誰でも製作でき、どんなスピーカーでも、そこそこの音質で再生できる故に、フルレンジスピーカーは高品質で素晴らしい製品から低品質でチープな製品までピンからキリまであります。

全てのフルレンジ・スピーカーが、良い音を再生できる保障はありません。

製造コストが安く構造が簡単な故にあらゆるメーカーが、フルレンジ・スピーカーを製作しており、真剣に音質を追求したフルレンジスピーカーは大変少ないのが現状です。

本質的に音質を追求したフルレンジ・スピーカーは、現在ではほとんど存在しないように感じられます。

フルレンジ・スピーカーは、ユニットが一つというシンプルな故にスピーカーユニットの性能が大変重要になってきます。

フルレンジ・スピーカーで本格的に良い音質を追求するには、フルレンジユニットを自社で研究・開発する必要があり、他社のユニットを適当な箱に入れただけでは、本質的な良いフルレンジスピーカーは製作できません。

困ったことに他社のフルレンジユニットを適当な箱に入れただけでも、それなりの良質な音質が期待できるということです。

このために現在のほとんどのオーディオメーカーは、フルレンジユニットを独自で開発していないのが現状です。

フルレンジ・スピーカーには、他のスピーカーと同様にエンクロージャーに空気を排出するダクトのあるバスレフタイプのスピーカーと全くダクトのない密閉型スピーカーが存在します。

他にタイムドメイン・スピーカーや無指向性型のスピーカーもありますが、これらは基本的にフルレンジ・スピーカーの応用型と考えてもよいと思います。

本格的なフルレンジ・スピーカーというのはスピーカーユニットも大切ですが、エンクロージャーの品質が求められます。

小型のエンクロージャーでもそこそこ良い音が再生できるのですが、本格的なフルレンジスピーカーの能力を体験するためには、重量のある大型のエンクロージャーが必要になってきます。

巨大なキャビネットに入ったフルレンジ・スピーカーの写真
巨大なキャビネットに入ったフルレンジ・スピーカー

スピーカーの方式としてバスレフタイプと密閉型のタイプがありますが、これは各自の音の好みの問題です。

バスレフタイプは、スピーカー後方から放射した音を反転して前面に放射される仕組みで、低音の調整に利用されています。

バスレフタイプの音は、低音が量感が強化されたような音質です。

それに対して密閉型は、フルレンジユニットの性能がそのままの特性になり非常に素直な低音が味わえます。

何れの方式も小型でチープなエンクロージャーでは、良さを味わうことが出来ません。

フルレンジスピーカーで本質的な良い音質を求めるということは、巨大なエンクロジャーが必要になり簡単なことではありまません。

一見単純に見えるフルレンジ・スピーカーでも、本格的な質の高い良い音を求めると大変奥が深いことが分かります。

残念ながら現在発売されているフルレンジ・スピーカーは、巨大なエンクロジャーを採用したスピーカーがほとんどなく、フルレンジ・スピーカーの本当の音の良さを体験することが出来ません。

特に重量のある大型エンクロージャーのフルレンジ・スピーカーの良質な音質を聴くことはほとんどできないのが現状だと思います。

重量のある大型エンクロージャーのフルレンジ・スピーカーの良質な音を視聴すると、ワイドレンジ再生がどうのこうのというようなことが愚かにかんじられるぐらい音に説得力がありフルレンジスピーカーの音に感動することでしょう。

それぐらい良質なフルレンジ・スピーカーの音は、素晴らしいものなのです。

フルレンジ・スピーカーは、構造が簡単で最も製作しやすいスピーカーですが、本格的に良い音を求めると他のスピーカー同様に簡単ではありません。

フルレンジ・スピーカーは、スピーカーの基本中の基本であり、決してあなどれない存在で、大変奥が深いスピーカーです。

スピーカーは、フルレンジで始まりフルレンジに終わると言われるぐらい、ユニット一本のフルレンジ・スピーカーというものは、たいへん奥が深いものです。

フルレンジ・スピーカーユニットの名機の写真
フルレンジ・スピーカーユニットの名機

○メリット

手軽に高音質が望める

位相特性の良い素直な音が再生できる

ネットワークを必要としないで音に癖がつきにくい

極端ものを選ばない限り失敗しない

●デメリット

ワイドレンジ再生が望めない

中音域が中心なので超高音や重低音の再生が出来ない。

大口径のユニットであれば再生音が低音よりになりハイが落ち、小口径ユニットなら高音よりになり低音が不足がちになる。

ユニットの性能が大変重要になる

品質はピンからきりまである

最高の音質を求めるには自作の巨大なキャビネットが必要になる

2Wayスピーカー(2ウェイスピーカー)  つづく


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