File No.059-6 スピーカーの種類と選び方(6) -スピーカー-

ホーン・スピーカーについて解説しています。

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File No.59 / 06

ホーン・スピーカー

ホーン・スピーカーとはホーンの付いたスピーカーシステムのことをいいます。

ホーン・スピーカーの写真
ホーン・スピーカー

全てのスピーカーユニットにホーンを使用したオールホーンというスピーカーシステムもありますが、オーディオでは中高音の再生にツイーターがホーンを利用して低音部分の再生にはダイナミック型の大型コーンを使用したものが普通です。

高音と低音に分割した2Wayスピーカーが基本ですが、中高音再生部分を2つ分割した3Wayスピーカーやさらに中低音再生部分にミッドバスを使用した4Wayスピーカーというものもあります。

ホーン・スピーカーは、中高音再生にホーンを取り付けているのが他のスピーカーとは違います。

ホーン効果で音の音圧レベルが上がるので、他のスピーカーよりも能率が高くなるのが普通です。

もともとホーン・スピーカーは、ホーンの効果で利用して音を遠くへ飛ばす為に考えられたもので、シアタースピーカーや野外コンサート用のPAスピーカーとして利用されていおり、業務用スピーカー多く利用されています。

ホーン・スピーカーは、ホーンの効果により他のコーン型スピーカーやドーム型スピーカーとは音の感じが異なります。

ホーン・スピーカーは、中音域の密度が高く音が前面に飛び出したような音がします。

この中音域の音の飛び出した音が好きな人と嫌いな人で、ホーンスピーカーの好き嫌いが分かれるところです。

ホーン・スピーカーの好きな人は、中音域の密度が高く生演奏ののように飛び出した音に魅力を感じるようです。

JAZZ音楽などの熱気がリアルに再現されるのが、ホーン・スピーカーの魅力といえるでしょう。

しかし、ホーン・スピーカーの嫌いな人にはホーンの中高音がきつく感じられ、ホーン・スピーカーの再生音が苦手のようです。

私自身は、ホーン・スピーカーの音には魅力を感じています。

スピーカーの理想は、人の視聴帯域である20~20,000 Hz全てをフラットに再生することですが、ホーンスピーカーは構造上再生音をフラットにすることが大変難しいスピーカーになります。

ホーン・スピーカーは、ホーンの開口部で反射があるので再生周波数に谷ができて再生音を乱してしまうのでフラットレスポンスのスピーカーはなかなか製作できません。

ホーン・スピーカーは、視聴周波数帯域をフラットに再生することは得意ではありませんが、ホーンの効果によって、ボーカルなどの声がリアルに聴こえるというオーディオ的に音に魅力を感じます。

ホーン・スピーカーは、視聴周波数帯域をフラットな再生する目的よりもオーディオ的に魅力的な音を再生するスピーカーだといえます。

このことは私自身ホーン・スピーカーの音を視聴するまでは、全く気づくことが出来ませんでした。

それまでは最高のオーディオ・スピーカーは、視聴周波数帯域を限りなくフラットに再生することが最も優れたスピーカーだと思っていたのですが、ホーン・スピーカーを視聴したときにホーンスピーカーの音の魅力に驚かされました。

このホーン・スピーカーの音の魅力は、私のオーディオの考えを変えた衝撃的な出来事でした。

ホーン・スピーカーの音を聴くとホーンスピーカーを最高とするオーディオファンが、多く存在することが理解できることだと思います。

私自身、ホーン・スピーカーの魅力は、スコーカー(ミッドレンジ*)帯域の密度のある中音再生の音にあると考えています。

もしかすると低音や高音の部分にホーン型でなくても中高音部にホーンを採用するだけでホーン・スピーカーの魅力が味わえるのではないかと考えています。

普通スピーカーは、低音から高音までのユニットの方式を合わす方が良いと考えられていますが、ホーン・スピーカーに関しては中高音の密度の高い音が中心になって魅力になっているので、中高音のホーン・ユニットこそが重要で、それ以外はホーンでなくても妥協ができるのではないかと考えています。

オール・ホーンスピーカーとして低音にホーンを使用することはホーンが大変長くなるのであまり現実的ではありませんが出来ないことはありません。

しかし、数メートルのホーンを利用して低音ホーンを採用しても、ホーンの長さから低音が遅れて聴こえるように思います。

超巨大ホーンの写真
超巨大ホーンのススメ?

確かに低音に数メートルホーンを使用すると雄大な低音のスケール感がでて、他のスピーカーには出せない音が味わえ、音楽ソースによればこれしかないというぐらいというスケールの大きな音を再生するのも事実です。

しかし、低音に巨大なホーンを使用すると低音が広がるために、パルシブな切れのよい低音は苦手なように感じられます。

そのことを考えると中高音はホーンを使用して、低音部分はコーン型で十分ではないかと思います。

さらに超高音部分を再生するのにホーンは、さほど重要ではないように考えています。

大体のホーン・スピーカーといえば、中音域に大きなホーンをつけて、それに合わせて高音部分もホーンを使用して、低音にはコーン型の大型ウーハーが使用されていますが、高音部分の再生はホーンでなくても良いように思います。

なぜなら高音部分をホーンにしてしまうと高音の指向性が鋭くなりすぎて、高音がきつくなりすぎることが考えられるからです。

ボーカル帯域を中心とした中音域をホーンで充実させることができれば、高音部は他の方式のリボン型のツイーターを使用しても、ホーン・スピーカーとしての魅力は失われることはないのではと考えています。

これを確かめるには、実験を繰り返す必要がありますが、現時点実験をしていませんので、このことはあくまでも仮説ということになります。

仮説はともあれ、ホーン・スピーカーの魅力はスコーカー(ミッドレンジ)帯域であることは間違いないと思います。

よってホーン・スピーカーでスコーカー(ミッドレンジ)に大きなホーンが使用されていないスピーカーは、ホーンスピーカーの魅力を半減させているように感じられます。

ホーン・スピーカーを選ぶのは、スコーカー(ミッドレンジ)に大きなホーンが付いているかいないかが大きなポイントになると思います。

最も手軽に購入できるホーン・スピーカーは、プロ仕様の業務用のホーン・スピーカーでPA/SRスピーカーというものがあります。

これらのPA/SRスピーカーは、高音質で再生するというオーディオの目的とは目的が全く異なります。

プロ仕様の業務用のホーン・スピーカーのPA/SRスピーカーは、オーディオのように高音質で再生するのが目的ではなく、音をより遠くへ飛ばすことが重要になります。

この手のPA/SRのホーン・スピーカーでも最近では音質も良くなってきていますが、一番の目的が音をより遠くへ飛ばすことなので音が荒くなるのは否めません。

また、低音用の大型ウーハーユニットで骨格のある低音を出して低音をより遠くへ飛ばすように設計されており、中高音のホーンの大きさ対して大型のウーハーが付いています。

PA/SRのホーン・スピーカーの音は、オーディオ用のスピーカーの音とは考えがことなり設計思想が異なり、オーディオでは音楽の中に入っている空気感などを再現するデリケートさを求めているのに対してPA/SRのホーン・スピーカーは、アナウンスなどの声を遠くまではっきりと伝える音の明瞭度が重視されます。

PA/SRのホーン・スピーカーの写真
PA/SRのホーン・スピーカー

PA/SRのホーン・スピーカーで音楽ソースを再生することはスピーカーであるので可能ですが、オーディオ用スピーカーに比べハイエンドとローエンドは伸びなく雰囲気が違って聴こえます。

PA/SRのホーン・スピーカーの音は、コンサートホールのスピーカーの音を想像していただければよいのですが、ホールで音楽を聴くのと部屋で音楽を聴くのとは雰囲気が違うのでなかなか想像しにくいものだと思います。

PA/SRのホーン・スピーカーをオーディオスピーカーの代わりに使用すると、最初の内はボーカルの声や楽器などの音がハッキリ聴こえ胸に響く低音が伝わり、その音に感動して、 プロ仕様のスピーカーがは、オーディオ・スピーカーより遥かに優れていると思い込むかも知れません。

しかし、PA/SRのホーン・スピーカーで、しばらくいろいろな音楽を視聴しているとハイエンドとローエンドのない音の為に全体の音に伸びやかさがなく音が荒く感じてしまいます。

そして、当初感動したはずの胸に響く低音が鼻に付くようになってしまいます。

なぜならPA/SRのホーン・スピーカーの胸に響く低音は、どのような音楽を聴いても付いてまわり、何を聴いてもPA/SRのホーン・スピーカーの特有の同じような音に聴こえてしまうからです。

ここまで来るとボーカルの声や楽器などの音がハッキリしてることが魅力だったはずの音が、思っていたよりもハッキリしていない、いやハッキリはしているがボーカルの声や楽器などの音が固まっているように聴こえてきます。

ハイエンドとローエンドが素直に伸びてないPA/SRのホーン・スピーカーは、音楽の中に入っているデリケートな部分の再現が大変苦手なスピーカーであることが理解できるようになります。

オーディオの高音質を再生するスピーカーは、スピーカーの仕様が大変デリケートになり、スピーカーユニットからキャビネットに至るまで音質を重視して考えられています。

プロ仕様の業務用のホーン・スピーカーのPA/SRスピーカーに、あまりデリケートに高音質を求めすぎると過大入力などによりボイスコイル破損などのトラブルになりかねません。

プロ仕様の業務用のホーン・スピーカーのPA/SRスピーカーは、過酷な状況でも壊れないことが最も重要な課題で、高音質再生は二の次になります。

決してプロ仕様の業務用のPA/SRのホーン・スピーカーに高音質再生を求めていないとはいいませんが、使用の条件から最大入力や最大出力を一番に求めざる得ないのが現状だと思います。

少々音質を犠牲になることが分かっていても、過酷な状況でも壊れないことが重視されるのがPA/SRのホーン・スピーカーになります。

そのためにPA/SRのホーン・スピーカーは、オーディオ用のスピーカーに比べ再生音が荒くなってしまいます。

プロ仕様のホーン・スピーカーであっても、オーディオ再生にも十分以上に使用できるホーン・スピーカーというものがあります。

それはスタジオモニターというプロ仕様のホーン・スピーカーです。

スタジオモニターというプロ仕様のホーン・スピーカーであれば、音楽をシビアにモニターするために製作されたスピーカーなので、オーディオ的にも最高の技術が投入されている高級なスピーカー・システムといえるでしょう。

しかし、スタジオモニターというプロ仕様のホーン・スピーカーが優れた魅力的なスピーカーだと分かっていても、一般のオーディオファンが簡単に購入できるものではないのがプロ仕様のスタジオモニター・スピーカーというものです。

プロ仕様のホーン型スタジオモニター・スピーカーの写真
プロ仕様のホーン型スタジオモニター・スピーカー

○メリット

ホーン・スピーカー独自の音が楽しめる

ボーカルや楽器がのヌケが良い音が楽しめる

ホーンの効果により、音が鮮やかに聴こえる魅力がある

再生周波数特性が良くハイレゾ音源の再生帯域を、完全にカバーできハイレゾ音源を最高の再生が期待できる。

能率が高い

●デメリット

大型ホーンは、たいへん高価になる (バームクーヘンの大型ウッドホーンは、特に高い)

中高音が鋭くなりやすい

中音域に大型ホーンがないと、音の魅力が半減する

PA/SRのホーン・スピーカーは、音が荒くオーディオ再生に向いていない

スタジオモニターのホーン・スピーカーは、入手しにくい

コンデンサー・スピーカー  つづく


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