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サラウンドの音の不自然になる理由は、製作する側にもある。
サラウンドの音が不自然に聴こえるのは、サラウンド音声を製作する側にも理由があります。
まず、サラウンド音源を製作する方法から考えて見るようにします。
単純にサラウンドで高音質録音というものを考えると、スピーカーを配置する方向へ1本ずつ集音マイク設置していく必要があり、5.1chサラウンドなら集音マイク5本、7.1chサラウンドなら集音マイク7本が必要になります。 この際、サブウーハーは低音域の追加のだけなので考えないことにします。
複数のマイクをサラウンド録音のために正確に合わせて録音することは、大掛かりな録音装置を設置しなければならなく、録音するコストもかかるのでよほどサラウンドの音の効果を狙った映画ぐらいしか出来ないでしょう。
しかし、映画にピュアオーディオのようなクオリティを求める人は少なく、もし理想的なサラウンド録音が実現できても、映画の音だけで集客や販売促進を見込めません。
それでは、どのようにサラウンドの録音しているかといえば、普通のステレオマイクで収録するのがほとんどだと思います。
その普通のステレオマイク録音したステレオ音源を、コンピューターあるいはDSPのシュミレーションで映像に合わせて疑義的にサラウンドを実現しています。
もちろん映画の編集になれば、多くの効果音をミックスしたり、いろいろな作業が加わりのでピュアな高音質は望むすべもありません。
普通の録音したステレオ音源に多くの加工した後に、サラウンド再生用に加工されるので音が不自然にならないわけがありません。
いろいろな理由からサラウンド再生の音は、不自然に聴こえる為にピュアなオーディオには向かないと思います。
ビデオカメラのサラウンド録音
家庭用の高価なビデオカメラの本体に多数のマイク本体についていて、何もしないでもサラウンド録音されるものがあります。
そのサラウンド録音用の複数のマイクは、ビデオカメラのボディ本体の上部の位置についています。
空間のある音を捉えるように設計されていると思いますが、このサラウンド録音できるビデオカメラに意味があるように思えません。
なぜなら、複数のマイクが上にビデオカメラの上部についているので、空間の音が捕らえることができても、前面の音がボケてしまうからです。
この手のビデオカメラの音は、前からの音がシャープにとれないのので音質が悪いように感じてしまいます。
私は、ビデオカメラで複数のマイクでサラウンドで集音するよりも、前面の音を2チャンネルステレオでしっかりと集音した方が遥かに良い音で収録でき、リアルな音で録画できると思います。
リアルな音で録画できると、再生したとき映像の印象が全く変わってきます。
家庭用のビデオカメラで収録したものが、テレビ放送されている映像に比べ説得力に欠けるのは、画質の差もありますが、音質の差も大きく関係していると思います。
音質によって映像に説得力がでてくることが理解するには、プロ仕様のビデオカメラのマイクがどうなっているかを知ると良いと思います。
簡易取材用のプロ仕様のビデオカメラは、家庭用ビデオカメラを強化したような製品で、画質はそれほど違いはありません。
プロ仕様のビデオカメラと家庭用ビデオカメラの一番大きな違いは、音声を収録する部分だと思います。
プロ仕様のビデオカメラは、家庭用のビデオカメラについているマイクよりも遥かに大きく高性能なステレオマイクが前面に向けて取り付けられています。 プロ仕様のビデオカメラに付いているマイクは、2チャンネルステレオマイクでサラウンド録音用のマイクではありません。
これはどういう意味があるかを考えるとプロの撮る映像というものが理解できると思います。
プロの映像の音には、前面の音を明瞭度の高いクリアな音で収録する必要が最も重要で、サラウンド録音などは必要でありません。 前面の音を明瞭度の高いクリアな音で収録さえしていれば、後は目的にあわせて好きなように加工・編集できるからです。

家庭用のビデオカメラのようにわざわざ余分な空間の音(サラウンド録音)を収録しまうと、前面の音に明瞭度がなくなってしまうので映像に説得力がなくなってしまいます。
どれだけ前面の音を明瞭度の高い音質で撮ることで再生される映像に影響するのか、プロの映像製作会社やプロ仕様のビデオカメラを製作している企業は完全に理解しているものだと思います。
そのことをから考えてみると、もしかすれば家庭用ビデオカメラとプロ仕様のビデオカメラの音声の収録方法を故意に変えているのかも知れません。
明瞭度の高いリアルな音質で録画した動画は、非常に映像もリアルに感じられます。
家庭用ビデオカメラでも外部マイクを取付けて収録した映像と普通に録画した映像を比べて見ると映像に説得力が出てくることが理解できると思います。
プロの映像にはサラウンド録音の必要ないように、家庭用ビデオカメラにも必要なく、プロの映像と同様に、家庭用ビデオカメラでも前面の2チャンネルステレオの音質が重要だと考えています。