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1980年代にNS-1000Mは、大きく変更され後継機が登場した。
1980年になりオーディオにCDというディジタルオーディオが登場したことで、アナログでは難しかった低音がフラットに再生できるようになり、低音のレンジが拡大したことによりNS-1000Mに大きな改良が余儀なくされました。
1980年代の日本のスピーカーは、スピーカーのバッフルの角を丸めるというラウンドバッフルとデザインが主流だったので、NS-1000Mの四角いエンクロージャーのデザインでは時代を感じさせました。
もともと音響特性の音の反射を改善する目的で登場したラウンドバッフルでしたが、バッフルの角を丸めたデザインのスピーカーは美しく感じられ、ラウンドバッフルはデザイン的に多くのスピーカーに採用されるようになったと思います。
Y社は、新しくディジタル音源を再生に対応したNS-2000という優れた高級スピーカーを発売しており、NS-1000Mと同じクラスのスピーカーの必要性もあり、NS-1000Mの後継機としてNS-1000Xへと大きくモデルチェンジすることになりました。
NS-1000Mの後継機のNS-1000Xは、低音再生用のウーファーー部分に大きな変更が加えられました。
先発売のNS-2000のウーファーに採用されたピュアカーボンコーン型がNS-1000Xにも採用されました。
ピュアカーボンコーン・ウーファーは、低音の量感よりも質を重視したウーファーで、クリアーで明快な低音が得ることができます。

NS-1000Xは、NS-1000Mの中高音の質やエンクロージャーの強度などを細部まで大きく見直され、低音再生能力の大幅な改良がおこなわれて登場になりました。
NS-1000Xの音は、ピアノメーカーのYらしい中高音の響きが大変美しく、クリアーで明快な低音を持ったスピーカーでした。
NS-1000Xは、NS-1000Mに変わる優秀なスピーカーだったと思います。
しかし、NS-1000Xが発売されてからもNS-1000Mは人気があり、新しくNS-1000Mの後継機のNS-1000X登場しても尚、NS-1000Mは当分の間、販売され続けました。
NS-1000Mへのオーディオファンの人気ぶりには凄いものがあります。
NS-1000MとNS-1000X
NS-1000MからNS-1000Xになって、低音の再生能力部分のウーファーが大きく改良されています。
NS-1000Mの後継機のNS1000Xのウーハーは、ピュアカーボンファイバーをラミネート加工してウーファーコーンの大幅な強化がおこなわれています。
ピュアカーボンウーファーの採用は、オーディオにCDが登場したことが伺えます。

低音域の音がフラットに再生されるCDに対応して、クリアーで明快な低音を再生することが目的で新しくウーファーを新素材の紙よりも遥かに強度の高いカーボンを採用したものだと考えられます。
ウーファーコーンの改善は、スピーカー製作の正攻法的な方法で好感がもてます。
NS-1000Xは、NS-1000Mに比べて明らかに低音がクリアーで明快で、低音の質が上がっています。
しかし、このNS-1000Mから低音の再生音域の強化のNS-1000Xは、NS-1000Mの音を好んだいた古くからのオーディオファンに大きな戸惑いが生じたようです。
NS-1000Xはより、以前のNS-1000Mの方が音が良かったというオーディオファンも多くいるようです。
なぜ、このようなことが発生したのは、NS-1000Mがあまりにも長い間、変わることなく発売されていたスピーカーだったので、多くのオーディオファンにNS-1000Mの音が大変馴染んでいたこともあると思います。
もうひとつの理由は、NS-1000Xの強化されたカーボンウーファーをドライブすることが大変難しいことがあげられます。
NS-1000Xは、解像度の高い低音再生するスピーカーなのですが、強化されたカーボンウーファーの最良にドライブさせるにはアンプの低音再生能力の強化が必要になりました。
このようなアンプの低音の再生能力がこれまで必要になったのは、NS-1000Xのスピーカーだけでなく、1980年代に発売されたハイテク素材でウーファーが製作された日本の高級スピーカーに全てにいえることです。
NS-1000Xを良い音で再生させるには、アンプの性能が向上が必要ということになります。
NS-1000Xに対してNS-1000Mは、低音のドライブしやすさがあり、比較的簡単に高音質を得ることができます。
NS-1000Mは、特に低音がNS-1000Xに比べて遥かにドライブし易いスピーカーです。
このところがNS-1000MとNS-1000Xの評価が分かれたところだと思います。
私自身は、NS-1000Mの音も大変好きですが、未来志向へスピーカーを導いたNS1000Xの音も大変良いと評価しています。
NS-1000Xは、保守的なNS-1000Mに比べて、大変挑戦的なスピーカーだったといえますが、保守的なNS-1000Mと言っても、NS-1000Mが登場した当初は、NS-1000Mが未来志向の挑戦的なスピーカーだったと思います。
NS-1000Xを設計したY社の技術者は、NS-1000Mの未来志向で挑戦的なスピーカーの製作を引き継いだものだといえます。
NS-1000Xは、Y社らしい未来志向の大変優れたスピーカーで魅力があるスピーカーの一つだったといえます。
あまりにもNS-1000Mというスピーカーが、ロングランしてので日本国内のオーディオファンから伝説的なスピーカーとなってしまったので、NS-1000Xの存在は影の薄いスピーカーになっていますが、一部の海外のオーディオファンにはNS-1000Xを大変評価しているようです。
NS-1000MとNS-1000X共に優れたスピーカーは、時代を超えて存在し世界のオーディオファンに愛され続けることは素晴らしいことだと思います。
NS-1000MやNS-1000Xを設計した技術者、この世に出し多くのオーディオファンを幸せにしたY社の栄光だと思います。
