File No.69-2  CD(コンパクトディスク)が登場した時のこと(2) -コラム-

初めて購入したCDプレーヤーについて解説しています。

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File No.69 / 02

初めて購入したCDプレーヤー

私が初めてCDプレーヤーと言うものを購入したのは、マランツのCD-34というCDプレーヤーでした。

当時最も安価なCDプレーヤー(確か59800円だったと思います)だったのですが、最も低価格のCDプレーヤーにもかかわらず、高級CDプレーヤーにも少なかったアルミダイキャストシャーシを搭載しており総重量が7Kgもある低価格のCDプレーヤーとは思えない内容の製品でした。

何故、CD-34を購入したかというと、当時最も価格が安かったことと、当時私が好んで読んでいた『サウンドトップス』『レコパル』などのオーディオ雑誌がCD-34を絶賛していたからです。

CD-34を購入する時、お店で視聴させてもらいましたが、当時の私にはCDプレーヤーの音を判断する能力もなく、オーディオ雑誌の評価を優先して購入に至りました。

CDプレーヤーのブランドはマランツでしたが、中身はCDの規格したメーカーの一員だったフィリップ社の製造だったと思います。

Marantz CD-34の写真
Marantz CD-34

CD-34のデザインは、ミニコンポサイズだったので、他のオーディオ機器と一緒に置くとバランスが悪くなるのがネックでした。

CD-34の表示などはシンプルで、操作は大きなボタン1つで再生・停止・サーチ・早送り・早戻しができるようになっていました。

CD-34にはリモコンが付属していないので本体を直接操作する必要があります。

操作性は、大きなボタンを上手く押せないときがあり、操作性がイマイチな感覚でした。

本体に電源コードとピンケーブルは直付けされていて、交換することはできなかったと思います。

このマランツのCD-34の特徴は、D/Aコンバーター部に他のCDプレーヤーに採用された16bit型とは異なり、フィリップ社製の14bitが使用されていることだと思います。

フィリップ社製の14bitのD/Aコンバータこそが、CD-34の音質の特徴になっているのかも知れません。

このCD-34は、私のCD第一号機で思い出のある機種ですが、現在、既に手元にはありませんので実機から詳細を確認することはできません。

マランツのCD-34は、オーディオファンの伝説のCDプレーヤーになっており現在でも、多くのオーディオファンが求めているCDプレーヤーの一つになっているようです。

このCD-34を求めるオーディオファンに釘をさすようなことになってしまう(夢を奪ってしまう)かも知れませんが、私が感じたことを正直に掲載してみようと思います。

音質は、低音が比較的しっかりしており、高音から低音までレンジを欲張らない感じの全体のバランスが取れたピラミッドサウンドだったと思います。

CD-34の解像度は、いたって普通のCDプレーヤーなりの解像度程度で、他を群を抜いて良いものではありませんでした。

音質クオリティも他の普及機種と変わらなく、普通のCDクオリティでCD-34が特質クオリティが高いという感じではありません。

このCD-34の優れた部分で評価される点については、再生レンジを欲張らず音楽的に聴く上でバランスが優れていたことだと思います。

恐らくフィリップス(ヨーロッパ人)の技術者が、CD-34のベースになっているCDプレーヤーをスペック以上に音を大切にして設計した結果が、日本の多くのオーディオファンに認められたのではないかと思います。

当時の日本のメーカーのCDプレーヤーは、CDのスペックを重視して設計していた中、スペックを欲張らず音楽を楽しく聴くように設計されたCD-34の音に、当時の多くのオーディオファンに認められたものだと思います。

この点を考えるとCD-34は、その後の多くの日本のメーカーが設計するCDプレーヤーに影響を与えたかも知れません。

しかし私自身は、CD-34の音に再生レンジの狭さと解像度に物足りなさを感じました。

CD-34の再生レンジの狭さと高音域の抜けが足りなく感じたのは、私自身がワイドレンジの高解像度で再生する音が好きだからかも知れませんが、高級CDプレーヤーに比べると顕著に感じられるのではないかと思います。

CD-34を小型スピーカーで再生すると再生レンジの狭さと高音域の抜けの足りなさなどは、全く感じられないレベルなので普通には問題ないレベルだと思います。

CD-34の再生レンジを欲張らないバランスの良いサウンドこそが、多くのオーディオファンの伝説になって、CD-34の過大な評価に繋がっているのではないかと思います。

当時の多くのオーディオ雑誌の評価でCD-34が絶賛されていたことも、少なからず過大な評価の原因になっているのだろうと思います。

CD-34は、大変音質的なバランスが優れたCDプレーヤーだったと思いますが、他の高級CDプレーヤーに比べて音質が圧倒するようなものではなかったと記憶しています。

当時の低価格帯の59800円のCDプレーヤーとして見ればCD-34は、大変優れたCDプレーヤーだったと思いますが、その後、沢山の音の良いCDプレーヤーが登場していることを考えると、元CD-34の所有者の意見として現在、高額の出費をしてまで購入する必要は全くないと思います。

またCD-34は、ピックアップの読み取り性能があまり良くないので、CDによっては良く音飛びが起こったり、なかなかサーチがしなかった記憶があります。

CD-34でCD-Rの再生は、ほぼ無理だと考えて良いでしょう。

このCD-34を知らない新しいオーディオファンには、CDプレーヤーの名機としてCD-34が伝説になっているかも知れませんが、あまりにも普通のCDプレーヤーの音なので期待以上の音が得られずガッカリさせられるのではないかと思います。

それでも、当時の低価格CDプレーヤーの名機としてのレトロ製品の価値は十分あるかも知れません。

インターネットなどの情報から、CD-34に魅力を感じて購入まで検討しているオーディオファンたちの夢を奪ってしまったことは、大変申し訳なく思いますが、かつてCD-34を所有していてCD-34の音を良く知っている私には、CD-34の音に誇大な着色をすることはできませんでした。

(CD-34については、私の当時の記憶から解説していますので表記や内容に間違いがあるかも知れません。 当時私がCD-34について考えていたことを、リアルにそのまま伝えたかったので、あえて整合性をとって説明することを避けています。)

CDの音質の可能性を拡大したA社のCDプレーヤー つづく


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