File No.69-4  CD(コンパクトディスク)が登場した時のこと(4) -コラム-

CDプレーヤーは計算機と同じで、音質に差がない?について解説しています。

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CDプレーヤーは計算機と同じで、音質に差がない?

オーディオキットメーカーの社長が、自身の著書の『オーディオマニア~本』でCDプレーヤーは、計算機と同じで、CDプレーヤーの機種による音の違いはなく、高級なCDプレーヤーは、お金の無駄なようなことが記載されていました。

オーディオマニアが頼りにする本の写真
Cキットを製作・販売していた社長の著書

オーディオキットメーカー(Cキット)の社長は、オーディオメーカーの高額すぎるオーディオ機器にうんざりして、自身でオーディオアンプやマルチセルラー・ホーンを設計して、安価に良い音質で音楽を楽しことを考案し、手頃な価格でオーディオアンプキットを販売していました。

Cキットの社長は、非常に個性的な人で、アンプキットを購入するために電話で『当社のアンプキットの音は良いですか?』と質問すると、内は『悪い物は売っていません!』と言って怒られます。

お客さんからすると、『買うのに何で怒られないといけないんだ!』と言う気持ちにさせられたそうです。

しかし、社長に誠意を持って話しかけると、非常に気前良く話しかけてくれたそうです。

Cキットの社長は、非常にとっつき難い人柄だったのですが、結構、人が良く、話している内に社長の人柄、個性に魅力を感じたオーディオファンも多く存在しました。

時代によってオーディオアンプが真空管からトランジスタに移行していくことに準じて、真空管は過去の産物のようにコケ下ろして、トランジスタアンプの方が遥かに優れているということを強烈にアピールするという感じの社長です。

でも、自身の著書の『オーディオマニア~本』を読んでいると、なぜか嫌いになれないキャラクターなんですよね。

アンプキットについては多くのオーディオファンから、結構、音が良いということで評判でした。

このCキットのアンプの音が素晴らしいということで、生涯、このキットアンプを愛し続けたオーディオファンも多く存在しています。

Chriskitの写真
Chriskit

Cキットの魅力は、社長自身そのものだったのだと思います。

個性のある社長が設計したCキットは、大変妥当な価格で販売されており、こういう製品があったことが、平和で幸せを感じざる得ません。

(Cキットは、大手のオーディオメーカーのM社のデットコピーだったと言われていますが、実際のことは知りません。)

そのCキットの社長が、CDプレーヤーの音について、自身の著書の『オーディオマニア~本』で語っていました。

オーディオアンプのキット販売メーカーの社長が、CDは計算機と同じで、CDプレーヤーには音の良し悪しは存在しないようなことを本に書いてありましたが、それは間違いであると言わざる得ません。

中身のない高額すぎるCDプレーヤーが、馬鹿らしいのは理解出来ますが、CDプレーヤーによっての音の良し悪しは、自身の経験から必ず存在します。

社長は、自身の著書で当時高級アンプメーカーのA社がリリースしていた前述のCDトランスポート部とD/Aコンバータ部を分けた当時としては画期的なアイデアだったCDプレーヤーについて、DAコンバータ部の処理を1チップではなくトランジスターを並べて抵抗を調整していたことについて、全く無意味であると語っています。

しかし、私はそのCDプレーヤーの音を長く視聴してきたので言えることですが、安価なCDプレーヤーとは音の解像度、再生レンジ感、音の品質が一線を画するぐらい素晴らしい音質だったことを記憶しています。

そのことから考えるとCDプレーヤーの違いによる音質差は、必ず存在すると言えます。

確かにCDプレーヤーであれば、どのCDプレーヤーを聴いてもノイズがないので音質的に問題のある製品は全く皆無であるのは理解出来ます。

社長が、CDプレーヤーによる音質差がないと言うのは、言いすぎではなかったかと言わざるえません。

恐らくCキットの社長は、自身の著書の『オーディオマニア~本』で、CDプレーヤーについて、市場がバカ高いCDプレーヤーばかりになるのをけん制して少し誇張して書いたのだと思います。

しかし、オーディオアンプのキット販売メーカーの社長が言っていたオーディオの合理的な考えは、ある程度賛成せざる得ない部分も多くあり、単調にオーディオアンプのキット販売メーカーの社長の言い分を完全に否定することも出来ません。

Cキットの社長は、既にお亡くなりになっているので、このCDプレーヤーの音質の考えについて現在は修正することはできません。

Cキットの社長が生きていても、今でも考えを修正することはないでしょう。

それがCキットの社長であって、社長の強烈な個性だったと思います。

それでも、Cキットの社長を認めてしまうのは、Cキットの社長が音楽を心から愛し、オーディオ好きだったからかも知れません。

このような昭和の匂いがする個性的な社長は、オーディオを大変面白い世界へと導いた一人として、感謝すべく存在だっと思います。

現在のようなさっぱりとしたビジネス志向のオーディオより昭和の個性的なオーディオは、遥かに楽しい世界があり、現在のオーディオに限らず、日本の家電製品に大きく欠けている要因ではないかと考えています。

》》》補足 Cキットの社長がCDプレーヤーについて語っていたのは、『オーディオマニア~本』ではなく、もしかしたら『ステレオ装置の合理的なまとめ方』の方だったかも知れません。

CD(コンパクトディスク)以前のディジタル録音(一般編) つづく


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