File No.69-3  CD(コンパクトディスク)が登場した時のこと(3) -コラム-

CDの音質の可能性を拡大したA社のCDプレーヤーについて解説しています。

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CDの音質の可能性を拡大したA社のCDプレーヤー

最初にCDプレーヤーが発売されてから3年ぐらい経過してから、高級アンプメーカーのA社から、大変優れた音質のセパレートタイプのCDプレーヤーが発売されました。 (経過について、世界初のCDプレーヤーが発売されたのは、1982年10月1日のSONYの『CDP-101』で、A社のセパレートCDプレーヤーは、1986年7月発売なので正確には4年になります。感覚的な表現を重視しています。)

CDトランスポートからディジタル信号を出力して、D/Aコンバータでアナログ信号に変換するというセパレートタイプのCDプレーヤーです。

セパレートタイプのCDプレーヤーの考えは、A社のCDプレーヤーが最初というのではなく、ソニーや日立のCDプレーヤーに存在しましたが、ディジタル信号を転送する方法に光ファイバーを最初に使用したのがA社のCDプレーヤーでした。

Accuphase-DP-80+DC-81の写真
CDの音の可能性を拡大したA社のCDプレーヤー
A社のセパレート型CDプレーヤーは、セットで60万円以上もする非常に高級CDプレーヤーでしたが、世界初のディスクリート方式のD/Aコンバータを使用したCDプレーヤーで、音質や内容から高価でも納得できる本物の製品だったと思います。

ディスクリート方式のD/Aコンバータは、海外の高級オーディオメーカーにも大きく影響して、海外製の最高級CDプレーヤーに採用されるまでになりました。

このCDプレーヤーの素晴らしさは、A社の独自の回路技術以上に、A社のCDの音質への徹底した拘りによって、圧倒的なワイドレンジと解像度をもった高品位な音を実現したことで これまで以上にCDの音の可能性を開いたことだと思います。

低音から高音までワイドレンジ且つ高解像度で非常に鮮明な音でありながら、ボーカルなどの音に温度感があり品位が感じられ、音の見通しが大変よく低音から高音まで非常に高度にまとめられたバランスの優れた音で、CDの音質への可能性を大きく広げたCDプレーヤーだと思います。

私が良く知っているA社のセパレート型CDプレーヤーは、次の世代のDP-80L+DA-81Lと言う製品というものです。

初期のA社のセパレート型CDプレーヤーDP-80から発展した次の世代のDC-80Lは、より高解像度化とワイドレンジ化されており性能と音質のアップがはかられております。

DP-80LのCDドライブのメカニズムはCD開発メーカのソニーから供給されたものです。

この時代のソニーは、信頼性の高いCDドライブを他社に供給していました。

このA社のセパレートCDプレーヤーのメカニズムの安定と信頼性とピックアップの性能には素晴らしいものがありました。

A社のDP-80Lよりも前に発売されたDP-70というA社の一体型のCDプレーヤーも良く知っていますが、このA社の二代目セパレートCDプレーヤーDP-80Lのピックアップの読み取り性能は、DP-70と全く別物と言えるぐらい格段に性能が向上しています。

DP-80Lが登場した時代は、CD-Rというものが普及しておらず、CDプレーヤーには反射率の悪いCD-Rを読み取れる性能を要求されていませんでしたが、この時代に登場したのにかかわらずDP-80LはCD-Rを遜色なく読み取ることが可能でした。

そのことを考慮してもA社のDP-80LのCDドライブの性能の優秀さを伺えます。

A社のDP-80LのCDドライブ部のメカニズムは、CD開発メーカーのSONY社が供給したものですが、SONY社が供給したものでもDP-80Lは、最高の性能を誇っていたのではないかと思います。

DP-80Lが発売されてから30年以上経過した現在でも、メンテナンスを一度もしないで現役で活躍しているのを見かけるぐらいDP-80LのCDドライブ部の性能は、SONY社が供給したもので耐久性・信頼性は、歴代ナンバー1だったかも知れません。

DP-80Lの後に供給されたSONY社が供給したCDドライブは、コストダウンからか設計ミスからかは分かりませんが、トレイが出なくなるトラブルが頻発しDP-80LのCDドライブの性能には遠く及びませんでした。

Accuphase-DP-80L+DC-81L.jpgの写真
多くのオーディオファンにリファレンスとして愛されたCDプレーヤー
D/Aコンバータ部のDA-81Lのディジタル入力は、光3入力と同軸3入力と多く、ディジタルアウトがある機器であればDA-81Lの音質を楽しむことができます。

DVDプレーヤーなどのディジタル機器を、DA-81Lに繋ぐことで音質アップすることが実感できると思います。

DC-81Lの音は、非常に鮮明でクッキリしているのでDVDプレーヤーやブルーレイプレーヤーの何処かぼやけたような音をDA-81Lによって完全に不満を解消することができるでしょう。

現在のSACDプレーヤーにある音の傾向とDA-81Lの音の違いは、SACDプレーヤーの音の傾向としてSACDプレーヤーの、音場が広くが全体に柔らかく上品である音質に対して、DA-81Lは、一音一音の音が力強く鮮明でクッキリしており、ボーカルの声などが非常にリアルに感じられます。

SACDプレーヤーでは、アーティストの作品を上品な音に仕上げるためにボーカルの声が、非常にまろやかで美しく聴けるのに対して、DA-81Lではボーカルの声が力強く再現されるので喉下が見えるようなパワフルな音質で表現されます。

もちろん楽器の演奏なども、DA-81Lでは一音一音の音が力強く鮮明でクッキリとパワフルい表現されます。

SACDプレーヤーのなどの美しく上品な音質に慣れていれば、DA-81Lの音のようなガッツのあるような音は、荒々しく感じられるかも知れません。

音には各自リスナーの好き嫌いがあるのでDA-81Lが、現在のSACDプレーヤーの音よりも良いとは言いませんが、一つ確実にいえることは現在販売されているSACDプレーヤーとは、全く傾向が異なる音をDA-81Lによって体験することはできることは間違いありません。

現在、ICチップ発展と構造の簡単さから、ほとんどのCDプレーヤーが1ビット方式になっていますが、この時代のA社のマルチビット方式の力強い音質には今でも魅力が薄れることはありません。

どのような原因であるかは解明されていませんがマルチビット方式の音は、1ビット方式の音に比べて音が力強くガッツのある音になる傾向があるようです。

現在でも昔のCDプレーヤーの音を好むオーディオファンがいるのは、現在のCDプレーヤーにはないマルチビット方式の音が力強くガッツのある音を好んでいるのではないかと考えています。

現在のSACDのように情報を高速で処理しなければならなくなった時代には、DAコンバータのディスクリートにトランジスタを並べて抵抗を調整していくという贅沢なマルチビット方式は、もう実現することができなくなりました。

ついでにDA-81Lのマイナス面ですが、初期のDA-81Lには、部屋が寒い時に電源を入れても動作しないことや高音にノイズがのるなどの不良がありましたが、A社はDA-81Lの症状を紳士に受け止め直ぐに対策してくれたので、現在中古市場で出回っているDA-81Lには、そのような症状がでることはないと思います。

CDプレーヤーは計算機と同じで、音質に差がない? つづく


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