File No.046-3 『音づくりに生きる』 - ロボットと名人芸の結晶『ダイアトーン』開発物語(3) -スピーカー-

DIATONE DS-5000とDIATONE DS-1000について解説しています。

Home >loudspeaker >File No.46-3

07/03
loudspeaker_tag
File No.46 / 03

DIATONE DS-5000

DS-5000というスピーカーは、オーディオ評論の中にはダイアトーンの技術の集大成の最高傑作のように語られているのが多いと思います。

DS-5000は、1980年代当時の大型のオーディオショップには必ずといってよいほど展示されていたので何度も視聴する機会がありました。

しかし残念ながら私は、DS-5000を何度も視聴したにもかかわらず、DS-5000というスピーカーの音にあまり良かったという記憶をもっていません。

DS-5000に対して良い印象がないことについては、これだけ大型フロア型スピーカーを視聴するのにスピーカーとの距離を十分にとることができなかったことや、広い視聴室でゆっくりと視聴したことがないことが原因かもしれません。

もう少し条件の良い場所でDS-5000を視聴する機会があれば、私のDS-5000に対しての音の評価や想いというものの変わっていたかもしれません。

DS-5000は、他のDS-1000やDS-3000などのスピーカーの音とはあきらかに傾向が違う感じがします。

DS-5000は、DS-1000やDS-3000よりも以前に開発されたもので、DS-1000やDS-3000の張り詰めたような鮮やかな高解像度の音に比べて、おおらかなでゆったりとした音の傾向があるように感じました。

DAIATONE DS-5000の写真
DAIATONE DS-5000 4 way speaker system

DS-5000の音は、解像度や周波数レンジのバランスなどは大変優れた優秀な音だと思いますが、DS-1000やDS-3000などの音に比べると、どこか音の出方自体に物足りなさを感じさせるように思います。

DS-5000のスピーカーサイズを意識して人気のあったJBLのスタジオモニター・スピーカーのサイズと同じ大きさにしたことも、DS-5000というスピーカーの独自の個性を抑えてしまっているのかも知れません。

恐らくJBLのスタジオモニターの音を好むオーディオファンにとって、ダイアトーンのDS-5000は全体に解像度が高く非常に優秀なスピーカーと理解出来たとしても、今ひとつ音に個性が感じられず、つまらない音に感じたのではないでしょうか。

私自身は、DS-5000の後に発売されたDS-1000やDS-3000あるいはDS-2000というダイアトーンのスピーカーの音に強烈な印象と想いが頭にあった為か、DS-5000の音の優れたところが今ひとつ理解出来なかったようです。

DS-5000のユニットなどは、当時のDS-1000、DS-2000、DS-3000とコンセプトはさほど変わらないように思われますが、DS-5000の音の感じが全く異なるためにDS-1000、DS-2000、DS-3000の音の上位にある機種というようには全く感じられないように思いました。

このように同じメーカーで同じようなコンセプトのスピーカーでも、このように音が異なるということのは、ある意味、オーディオというもの奥が深く、大変楽しい世界であると思います。

DIATONE DS-1000

DS-1000は、オーディオ雑誌などによく高密度で解像度の高い音と載っていますが、これは視聴しない限りいまいち高密度で解像度の高い音というものを想像することはできないでしょう。

私自身も、オーディオ雑誌の評価に

  

『このスピーカー中高域の密度と解像度が非常に高い』

  

と載っていても、何が高密度で高解像度なのか?良く理解出来なかったのが実際のところです。

初めてDS-1000というスピーカーを視聴したとき

  

『高密度・高解像度とは何なのか』

  

というのがはっきりと理解することが出来ました。

そのときの衝撃は、今でも覚えています。

DAIATONE DS-1000の写真
DAIATONE DS-1000 3 way speaker system

初めてDS-1000を視聴したのは、地方の大型家電店のオーディオ展示コーナーでした。

当時の地方のほとんどの大型家電店は、オーディオ展示コーナーがありました。 オーディオ展示コーナーには多数スピーカーが積み上げられて並べて展示してあり、スピーカーセレクターで切り替えていろいろなスピーカーを視聴することができるようになっていました。

いろいろなスピーカーが鳴らされているときに、スピーカーセレクターでDS-1000に切り替えた瞬間、音が粒が見えそうな感じの中高域が再生されました。

DS-1000で再生される音は、他のスピーカーから再生される音とは次元が違い中高域が非常に明快でした。

初めて視聴したDS-1000の中高域の密度と解像度の高い音質に 非常に衝撃を受けた限りです。

DS-1000の中高音の高密度と高解像度という音は、今でも忘れられないぐらい衝撃でした。

そのときに

  

『これが、高密度・高解像度の音』

ということが、はっきりと理解することができました。

それぐらいダイアトーンのDS-1000の音に驚かされ、高密度・高解像度の音というものに感動させられました。

また、この初期のダイアトーンのDS-1000の音は、歴代の1000シリーズの中でも最も個性的な音で魅力があります。

まず、初代ダイアトーンDS-1000の特徴ですが、1本10万円クラスのスピーカーとは思えないぐらい最低音が出ません。

このDS-1000の最低音が弱いということは、決してDS-1000の欠点ではなく、DS-1000の音の特徴で強烈な個性となっています。

ダイアトーン・スピーカーの中でも初代のDS-1000ほどの個性的な音は、なかなかないのではないか思います。

初代のDS-1000は、重低音を犠牲にしているもののハイスピードで明快な低音というものが味わえます。

この初代のDS-1000のハイスピードな明快な低音は、カラットした乾いたような低音で低音楽器の音が上に定位する特徴があります。

このハイスピードで低音楽器の音が上に定位する音が、初代DS-1000スピーカーの最大の特徴でDS-1000の強烈な個性になっているものだと思います。

確かに初代DS-1000の音は、最低音が弱いので音楽ソースを選ばない万能的なスピーカーとはいえないかも知れませが、高解像度でハイスピードでエネルギッシュな音は、どの音楽も元気に再生するので、一度視聴すれば忘れられない強烈で個性的な音です。

私は、この初代DS-1000の音をもう一度、視聴して見たいと思うぐらい思い入れのあるスピーカーのひとつです。

DIATONE DS-3000  つづく/em>


loudspeaker_tag
 
Site Search