File No.046(全7ページ) 『音づくりに生きる』 - ロボットと名人芸の結晶『ダイアトーン』開発物語(1) -スピーカー-

『音づくりに生きる』 - ロボットと名人芸の結晶『ダイアトーン』開発物語ついて解説しています。

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音づくりに生きる

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File No.46 / 01

音づくりに生きる - ロボットと名人芸の結晶『ダイアトーン』開発物語

『音づくりに生きる』というタイトルの本は、1980年代に存在した日本のスピーカーメーカーのスピーカー開発を題材にしたドキュメンタリーの物語です。

スピーカー開発物語といっても、スピーカー開発者が直接スピーカー開発について語っているのではなく、ダイアトーン・スピーカー開発に携わったメーカーのエンジニアへの取材から物語になっています。

『音づくりに生きる』の本が販売されているのは知っていましたが、著者がメーカーのスピーカー開発に直接携わったの人でなかったので、いまいちの内容かなと思い購入するのを後回しにしているうち忘れてしまっていたオーディオ関係の本の一つです。

久しぶりにインターネットでオーディオ関係の本を検索していたら、中古で『音づくりに生きる』という本を見かけたので、この本の存在を思い出しました。 もともと『音づくりに生きる』という本にに興味を持っていたので、この機会に購入してみることにしました。

この『音づくりに生きる』という本は、ダイアトーンという日本の代表的なスピーカーブランドが誕生してから約40周年の1980年代に出版された本です。

音づくりに生きる-ロボットと名人芸の結晶『ダイアトーン』開発物語の本の写真
音づくりに生きる - ロボットと名人芸の結晶『ダイアトーン』開発物語 著者 米山義男/後藤慶一

1980年代のオーディオは、日本のスピーカーブランドがスピーカー製作に求めた誠実な姿勢が実り、オーディオの中でも最も趣味性の高いスピーカーを日本のスピーカーという位置づけを確立した時代でもあります。

日本のスピーカーは、良い音を再生するする為に最先端の技術を導入したのが特徴であり、当時多数存在した日本のオーディオ・メーカーのスピーカー製造の研究と技術力は世界一を誇っていました。

この『音づくりに生きる』という本は、日本のオーディオのスピーカーが最も活気があった時期に出版されたので私自身大変を気になっていた本だったのですが、著者自身がダイアトーンの直接の技術者ではなかったのが引っかかり、物語の内容が、ただ単にダイアトーンというスピーカーを外から見ただけの表面的なものであれば読む価値も少ないだろうと考えていました。 『音づくりに生きる』が、表面的な読み物の可能性も十分に考えられたので、この本をなかなか購入するにはいたりませんでした。

今回、『音づくりに生きる』を購入して 物語を読みにすすめると自分が想像していた内容よりも遥かに素晴らしい内容が書かれていたので、もっと『音づくりに生きる』を早く購入していれば良かったと素直に思いました。

この『音づくりに生きる』-(ロボットと名人芸の結晶『ダイアトーン』開発物語)は、ダイアトーンのスピーカー開発者たちに丁寧に取材をしてから書かれた本で大変好感の持てる内容のでした。

『音づくりに生きる』という本をを、私の勝手な想像によって過小評価していたことを申し分けなく思った限りです。

『音づくりに生きる』は、日本のスピーカーメーカーのダイアトーンののスピーカーを開発の苦労話を開発技術者へ直々にインタビューすることにより、ダイアトーンのスピーカーの誕生から開発についての物語りが書かれてあります。

ダイアトーン初期のフルレンジユニットの名器P-62F(後にP-610に引き継がれる)からダイアトーン誕生から40年を迎えたときに発売された名器のDS-10000の開発についても説明されており、この本の中には私が日本のスピーカー・メーカーに求めていたことが記載されていました。

残念ながら『音づくりに生きる』の中にはスピーカーの技術的な詳しい内容については、あまり述べられていませんでしたが、それでもボロン・ツイーターの元になる素材は、チタン素材で成型しているなどの情報も載っており、スピーカーをユニットから開発するものにとっては参考になる部分も多くあるのではないかと思いました。

ダイアトーンのスピーカーが誕生してから約40年が経過しました。 その間にオーディオに革命的なCDなどのディジタルオーディオが登場することでスピーカーの状況も大きく変化してきました。

ディジタルオーディオをより良くに再生する為にダイアトーンは、早い段階からスピーカーユニットの性能向上に努力しており、アラミッドハニカムやボロンなどの新素材を積極的に採用してしいました。

ダイアトーンのスピーカーの研究・開発の努力の成果が実り、ディジタルオーディオの再生するスピーカーの中では当時のダイアトーンのスピーカーは、他のメーカーに比べて一歩リードしていました。 (他の日本のスピーカー・メーカーも直ぐにダイアトーンのスピーカーを追いかけるように、ディジタルオーディオを再生するのに最適なスピーカーを登場させてきました。 他の日本のスピーカーメーカーが、ダイアトーンのスピーカーの研究・開発に大きく刺激を受けたことは間違いない事実だと思います。)

日本のスピーカーは、海外のスピーカーにあるような自社の音の前面的に主張していくダイプのスピーカーでなく、すべての周波数帯域をフラットに再生させることが目的のスピーカーが多かったように思います。

日本のスピーカーが、設計思想としている広い帯域をフラットに再生することが目的のスピーカーは、スピーカーのサイズ以上の広い周波数帯域を再生できる特徴があるのですが、海外のスピーカーに比べると音が真面目すぎて面白くなく、スピーカーとしての音の主張が弱く個性が今ひとつの部分があり、音に魅力が欠けるところがありました。

しかし、スピーカーの性能を真面目に追及することこそが、日本製のスピーカーの魅力であり、性能の改善の為に振動板に積極的な新素材の導入したり、当時では珍しかったコンピュータを使用してエンクロージャーを解析や分析などをして、良い音を再生することに対して誠実に取り込む姿勢がありました。

1980年、当時の日本のオーディオメーカーの音の追求に対しての姿勢は、海外のスピーカーメーカーを遥かに上回っていました。

このように良い音質を目指してスピーカーの開発を真面目に追及していく姿勢こそが、日本のオーディオメーカーが製造するスピーカーの個性そのものだったとように思います。

日本のスピーカーは、海外で個性が足りないといわれていたとしても、音に対して真面目に追及を続けることで、何れ日本的な考えのスピーカーの音が評価されるのは時間の問題でした。

恐らく1980年代の海外のスピーカーのメーカーは、日本のスピーカーメーカーが注目する以上に日本のスピーカーに対して興味と評価をしていたのかも知れません。 (日本のオーディオメーカーが、国内でスピーカーを生産を終了した後に、海外スピーカー・メーカーが日本のスピーカーと同じようなハイテク素材を利用し性能を追及したスピーカーが多数発売さたことを考えると納得できると思います。)

『音づくりに生きる』は、ダイアトーンのスピーカーが舞台になっていますが、日本のオーディオに最も活気のある時期に出版された本なので、当時の日本のスピーカー製作とは、どのようなもので状態であったか良く理解できると思います。

最近のオーディオファンは、世界に誇れるような優れたスピーカーが日本国内で製作されていたことすら知らないかも知れません。

『音づくりに生きる』という本は、現在のオーディオファンにかつての日本に存在したオーディオの実態を少しでも知ることができる良い機会になると思います。

また、各日本のオーディオメーカーには既に忘れさられてしまったスピーカーの開発の意気込みや、オーディオの開発の心構えなどを『音づくりに生きる』から、もう一度思い出して欲しいと考えています。

『音づくりに生きる』のテーマになったダイアトーン・スピーカーについては、私自身に多くの想いがあります。 特に1980年がた登場したDS-1000番シリーズは、ダイアトーンの顔をなすスピーカーになりました。 次のページから『音づくりに生きる』のテーマのダイアトーン・スピーカーの記憶になるスピーカーについて掲載したいと思います。

ダイアトーン・スピーカーについて全く知らない最近のオーディオファンの方が、少しでも参考にすることができれば良いと思います。

DIATONE P-610(P-62F)の後継機 つづ



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