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オーディオが、ステレオになったことで大きく変貌した。
オーディオにステレオが登場したことによって多くのオーディオファンは、音場の音の広がりに快感を求めるようになりました。
初期のステレオアナログレコードは、モノラルと音の違いを大きく見せるために大きな広がりを持ったものが多く存在しました。
ステレオ感を求めすぎて大きな広がりを求めすぎると、音が不自然になったり中央のモノラル成分が少なくなり音が薄くなる特徴があります。
ステレオで中央のモノラル成分が少なくなると、音の迫力が欠けてしまうことがあり、そのことを嫌ったアーティストも多く存在しました。
当初のステレオの音を気に入らなかったビートルズやストーンズなどは、ステレオで録音よりモノラル録音を好んで録音したようです。
ステレオは、広がりがあり立体的な音響を再生することに大変魅力がありますが、あまりにステレオの広がりを求めすぎると音がスカスカになってしまいます。
良い音のするアンプ
かなり以前のことになりますが、国産高級アンプメーカーのA社の最も低価格プリメインアンプの音が大変良いと感じました。
A社のプリメインアンプは、そのときの同クラスのプリメインアンプと比べて、小型のスピーカーを切り替えると直ぐに分かるぐらい差があるのは明らかでした。
当事のA社のアンプは、ドライブ段をMOS-FETが使用されており、A社はMOS-FETのアンプを推進していました。
確かにA社の推進するMOS-FETのアンプは、解像度が高く質の高い高音を持ち、音の抜けの良さなど素晴らしいものがありました。
このA社のプリメインアンプの解像度と密度が高くかつ大変引き締まった音質は、他社の同クラスのプリメインアンプを圧倒していたように思います。
確かにA社のプリメインアンプは、解像度と密度が高く大変引き締まった音質でMOS-FETの質の高い高音の抜けの良さが音の良さの理由なのですが、それ以外に音の良い原因が何かあるのではないかと思っていました。
『なぜ、このA社のプリメインアンプの音が他の製品より良く聴こえるのか!』
その原因が、長い間見つかりませんでした。
A社のプリメインアンプの視聴していると、ある時、A社のプリメインアンプの音にある特徴があることが分かりました。
このA社のプリメインアンプには、ステレオの横に広がりが少ないという特徴があることに気づきました。
ステレオの音が横に広がりが少ないことで、中央の音の密度感があがる為に音が大変力強く感じられます。
ステレオの音が横に広がりが少ないことが、A社のプリメインアンプの音が良く感じる要因でした。
ステレオといえば音が大きく広がる方が音が良いように思われるかもしれませんが、ステレオの広がりを多く求めると全体の音が薄まり、音のコントラストが弱くなりがちになります。
ステレオ音源であっても中央のモノラル成分は、音を良し悪しを決める重要なポイントです。
ステレオ音源といえども、基本はモノラル音源の要素が重要であるということは間違いないことでしょう。
良い音のするオーディオアンプ選らぶには、余計なステレオの広がり感が少ないものを選ぶと良いと思います。
ナローな感じの方が、音が良いという不思議?
本題である『ナローな感じの方が、音が良いという不思議?』について戻しますが、最近いろいろなアナログレコードを再生していて気づいたことがありました。
古いアナログレコードを視聴しているとレンジ感や音場感、ステレオの広がり感などは、ハイレゾ音源には遠く及ばないのですが、音が自然で無理がないように感じられました。
ハイレゾ音源は、広いダイナミックレンジ、広い周波数レンジと広い音場を持ち音質クオリティも大変高いのですが、何処か再生される音が押し付けがましいように思われます。
ハイレゾ音源を視聴していると、いかにも
『ハイレゾ音源は、こんなに音が良い!』
というような主張のようなものが感じてしまいます。
その部分が、ハイレゾ音源の音に不自然さや、何処か押しつけがましさを感じさるものだと思います。
もちろんナローな感じといっても、電話ぐらいの周波数レンジのナローな音ではなくて、最低限アナログレコードぐらいの周波数レンジやダイナミックレンジは必要です。
アナログレコードぐらいの周波数レンジやダイナミックレンジがあれば、ハイレゾ音源のような広い音場を持つ音よりも音が自然で、音・音質も良く感じられるように思います。
最新のハイレゾ音源よりも、ナローな感じのアナログレコードの音の方が、音が良いと感じられるオーディオの不思議なところです。
ナローな感じの方が、音が良いという不思議について、少しでも理解の役立つのではないかと考え、ナローな感じのアナログレコードのサンプル音源を製作しました。