File No.65-6 ディジタル・レコーディングの音質管理は難しい(6)  -ディジタル-

技術系の人たちの落とし穴について解説しています。

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File No.65 / 06

技術系の人たちの落とし穴

電子工学を学んだ技術者たちのがオーディオを科学的に追求していくことは素晴らしいことだと思います。

極端に技術至高主義になってしまうと、オーディオの全ての現象を現在の技術的に説明できるものだと考えるように陥ります。

オーディオは、電子回路などの動作の部分については技術的に解明されていることが多く、オーディオに技術的な要因は無視することは出来ません。

しかし、オーディオは技術的な部分以外に音という人の感性の関わる部分が存在します。

この音に対しての人の感性の部分は、決して小さいものではありません。

電気的に性能が優れていて歪が少ない設計であっても、視聴上の音がイマイチ良いとは思えないことが多々あります。

オーディオ回路の設計上の問題で歪みが発生しているから、その機器の音が悪いとは必ずしもいえないこともあります。

技術系の人の中には、CDをパソコンのハードディスクに取り込むと、ジッターがなくなりCDよりも遥かに性格に音楽データを呼び出せるので、音がCDプレーヤーなどに比べ遥かに音質が良いと豪語する方もいます。

このようなことを書いている方は、実際にCDプレーヤーとパソコンの音を比べたことがあるのだろうか?と疑いたくなります。

確かにハードディスクに取り込んだパソコンのCDのデータよりも、CDプレーヤーの再生する方がデータの再現に対する正確性は劣っていると思いますが、実際に再生される音は、音の力強さ、雰囲気などCDプレーヤー方が遥かに圧倒している場合がほとんどです。

もちろんデータがの正確性や再現性が、良い音への再現する要因ではあるのは間違いないのですが、どんなにパソコンでデータが正確であったとしても、正確な再現性イコール良い音・音質とはならないのが、オーディオの不思議なところです。

技術系の方たちの落とし穴は、データが正確であれば再生される音も正確であるという仮定をしてしまうことです。

人の感性に踊らされずにデータの正確性などの技術的な要因を求めることは良いことだと思いますが、それが全てであると考えると間違いを犯す可能性があります。

データの正確性を求めつつ、実際の再生音を視聴して比べ、疑問をもつことが必要だと思います。

パソコンで再生することでジッターが少ない音が再生されるから『音質が良いのは間違いがない』と単純に結論付けることは、大きな間違いする危険があります。

ジッターが少ない音が再生できたとしても、視聴した音に不満や疑問が発生すれば、何らかの他の要因が音を劣化させている可能性があると素直に考えなければなりません。

技術系の方たちは、技術の追求と人の感性の部分のバランスが必要です。

音が劣化していると技術的に考えられなくても、実際の音が悪く感じれれば原因を追究していくことが、本当の意味で技術者だといえると思います。

オーディオが、他の電化製品に比べ面白く楽しいのは、ただ単に設計した性能道理のものを再現するのではなく、オーディオの技術的な部分以外に人の感性の部分が含まれているからです。

人の感性の領域まで扱うのがオーディオです。

だからオーディオは、奥が深く至福の楽しみを与えてくれるものだと思います。

オーディオは、技術と共に感性の領域を考えなければならない。

オーディオに技術的な要素を無視して考えることはできません。

しかし、オーディオの技術のみに傾倒してしまうと、良い音を求めるオーディオの感性の領域を軽視してしまいます。

かつて、オーディオの世界にCD(コンパクト・ディスク)が登場した時、多くの技術者たちは、『CDはディジタルデータなので、アナログレコードのような個体差が少なく、どの機器を使用しても差が少ない』ということをいっていましたが、現在ではそのようなことをいう人はいません。

また、オーディオアンプに必要以上に大きな電源トランスを使用することの無意味さを訴える技術者も多くいました。(コストを考えたのではなく、設計から必要ないという結論。)

しかし、現在の高級オーディオでは余裕のある大型の電源トランスを搭載されるのが常識です。

このように技術的な要素だけを全てだとすると、必ず間違いを犯してしまうことは、オーディオの歴史からいえると思います。

オーディオは、技術と共に人の感性の領域とのバランスをを考えて制作しなければならなく、技術に傾倒しても、感性に傾倒しても、良いものは出来ません。

本質的には、技術的に追及しながら人の感性の領域まで考えるのが、本当の意味で技術といえるものだと思います。

音楽信号は、データを送るよりも遥かにシビアなものである。 つづく


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