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B&W 800というスピーカーについて
このスピーカーの特徴は、ダブルウーハーで低音を強化している3ウエイ構成のスピーカーです。
高級大型スピーカーからすると低音再生に比較的小型のウーハーを使用しているので、大口径ウーハーを使用している高級スピーカーに比べて反応の良い低音が再生できるようになっています。
小型のダブルウーハーで強化された低音で3ウエイの構成されたB&W 800は、音がやせてしまうことがなく非常に安定した音を再生します。
中古音から上の帯域の再生は、非常に上品で暖かくリッチなサウンドがする、さすがに一流のハイエンドスピーカーといえる出来栄えだと思います。
全帯域を上品で暖かくリッチに再生するサウンドは、今までヨーロッパの方で製作された優れたスピーカーの共通しており、ヨーロッパの人が大変好むサウンドだといえるでしょう。

もともと3ウェイで構成された良く出来たスピーカーは、音のバランスが優れており全体の音を上手くまとめてしまう特徴があります。
3ウエイで構成されたB&W 800には、オーディオ機器の音の弱点を上手く吸収して、バランスの良いB&W 800の音にしてしまいます。
実際に低音が薄いと思われるオーディオアンプであっても、低音が薄くなることなく再生されます。
このB&W 800のオーディオ機器の音の弱点を上手く吸収してバランスのとれた非常に良い音を再生することが、オーディオファンからハイエンドスピーカーとして支持されているものだと思います。
また、B&W 800の特徴であるダブルウーハー方式は、1つのウーハーのスピーカーよりも低音が増強されて再生される特徴を持ちます。
ダブルウーハーで低音が増強されて再生されることで、低音が痩せることなく再生できるので低音不足になることは無縁のスピーカーです。
しかしバランスが良く申し分のない高音質の優れたスピーカーのB&W 800ですが、オーディオアンプなどの音を調整したり音決めに使用することは必ずしも良い方法であるとはいえないと考えています。
なぜ、B&W 800がオーディオ機器を調整するのに向かないかについて考察して見ようと思います。
なぜ、B&W 800がオーディオ機器を調整するのに向かないか?
B&W 800というスピーカーは、音が良いスピーカーなのですが、オーディオ機器の音を上手くバランスよくまとめてしまいます。
B&W 800のスピーカー独自の音でオーディオ機器の音の弱点を上手くまとめてしまうことが、良い音質を生み出す要素とも言えるのですが、B&W 800の良い音にまとめてしまう要素こそがオーディオ機器の音をシビアに判断することが難しくしてしまいます。
また、B&W 800にはダブルウーハーが採用されており低音が痩せないよう工夫がこらされているので、どのようなオーディオアンプを使用しても、そこそこの量感のある低音を確保することが出来ます。
この低音が痩せないダブルウーハー型のスピーカーは、オーディオアンプの本来の実力以上の低音が再生されてしまいますので、オーディオアンプの本来の低音に対してシビアな判断をしにくくしてしまう要因があります。
どのようなオーディオ機器を繋いでみても、良い意味でB&W 800のキャラクターの優れた音に染まってしまうということです。
B&W 800のキャラクター自体は、たいへん優れていると思いますが、そのたいへん優れているキャラクターがオーディオ機器の音をシビアな判断を阻害してしまうのではないかと考えています。
音が良いスピーカーが、必ずしもオーディオ機器の調整や最終の音決めに向いていないと思います。
ここで疑問がでると思います。
なぜならばB&W 800は、世界中の一流のスタジオで使用されている実績があるということです。
ということは、世界の一流のプロのエンジニアたちやアーティストたちから認められた優れたスタジオモニタースピーカーであるということがいえます。
このB&W 800の音を聴いて、プロのエンジニアたちやアーティストたちが数々のアルバムのミックスをしています。 そのモニタースピーカーが、オーディオ機器の音の調整に向かないことは不思議なことであると思われることでしょう。
スタジオモニタースピーカーとして優秀なB&W 800でも、オーディオ機器の音を判別するためのモニタースピーカーには最適適とはいえないと考えています。
B&W 800を使用してオーディオ機器の音をモニターすると、B&W 800の良いキャラクターが音に出てしまうのでオーディオ機器の音の判別が難しくなってしまうからです。
B&W 800の3ウェイスピーカーによるまとまりの良い音は、オーディオ機器の細部の音を良い音でまとめてしまうので、オーディオアンプなどの細部の音の部分の差が解りずらくしてしまいます。
また、ダブルウーハーによる低音の増強は、オーディオ機器の低音のコントラストや低音にかけての細部の解像度の部分を曖昧にしてしまうことがあるからです。
その為にB&W 800が良い音のするモニタースピーカーであっても、オーディオ機器の調整するスピーカーとしては最適とはいえないと考えています。
良い音のするモニタースピーカーがオーディオ機器を調整するスピーカーとして最適でない理由について2つほど事例を紹介していきたいと思います。
1つはあるディジタル記録テープを製作していたメーカーの事例で、もう1つは私の経験によるものです。