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音の良いスピーカーが、オーディオを調整する最適なスピーカーとはいえない。
私は2つの事例やオーディオの経験から音の良いスピーカーが、必ずしもオーディオを調整する最適なスピーカーとはいえないと考えるようになりました。
3ウェイスピーカーは、良くも悪くも音がバランス良くまとまってしまい、オーディオ機器の音の判定が難しくなってしまいます。
2ウェイスピーカーになると、3ウェイスピーカー以上に音がバランス良くまとまりやすいので、よりオーディオの音の判定するのを難しくしてしまうように思います。
スピーカーユニットが1つのフルレンジスピーカーになると、完全にスピーカーの音に支配されてオーディオの詳細な音の聞き分けることが難しくなってきます。
しかしフルレンジスピーカーの良い部分も多くあり、位相の判断が他のマルチウェイスピーカーより遥かに解りやすいかと思います。
3ウェイまでのスピーカーは、音をバランス良くまとめてしまう特徴があるので、オーディオ機器の微細な音の調整には向いていないのではないかと思います。
そのことを逆に捕らえれば、3ウェイスピーカーまでは、万人に好む良い音のスピーカーが製作しやすいということになります。
最近の高級オーディオの状況を観察していると、3ウェイと2ウェイスピーカーが大変多く存在することを考えると理解できると思います。
オーディオメーカーが時間とお金をかけて優れた4ウェイスピーカーを製作したとしても、オーディオ機器の音の粗が目立てしまい、スピーカーの音の良い部分がなかなか理解されないからだと考えられます。
また、優れた4ウェイスピーカーの製作は、スピーカーの全ての部分を自社設計・生産する必要があり、技術的にもコスト的ににも採算が合いにくいことも考えられる1つの理由です。 (かつての日本のオーディオメーカーは、数々のタイプの4ウェイスピーカーに挑戦していたことを考えると現在の状況は、たいへん寂しい限りです。)
3ウェイスピーカーまでは、バランスの良い良い音のスピーカーを製作しやすく、音の良いスピーカーが大変多いと思いますが、その音の良さが逆に最適にオーディオ機器お音を調整し難くしているのではないかと考えられます。
オーディオ機器のエンジニアとスタジオエンジニアとの違い
優秀なスタジオモニタースピーカーが、オーディオ機器の音を調整することに向かないということを述べてきました。
スタジオでは優秀なスタジオモニターを使用してプロのアーティストやプロのマスタリングエンジニアがアルバム製作にミックスしたりして活用しています。
しかし、プロのアーティストやプロのマスタリングエンジニアが使用するスタジオモニタースピーカーであってもオーディオの機器の音の調整に向かないと思います。
プロのアーティストやプロのマスタリングエンジニアが使用するスタジオモニタースピーカーが、オーディオの機器の音の調整に向かないということに疑問があると思います。
しかしオーディオの機器の音の調整は、プロのアーティストやプロのマスタリングエンジニアがアルバム製作にする音の調整とは大きく異なっているからです。
プロのアーティストやプロの録音エンジニアの方たちは、オーディオ機器メーカーから提供されるオーディオシステムを使用してミックスやマスタリングをする必要があります。
音を調整するスタジオモニターなどは、基本的にスタジオに備わったものを使用しなければならなく、作業をする本人が音の調整のしやすいと思うスピーカーを選ぶことはほとんどできません。
そのためにプロのアーティストやプロの録音エンジニアの方は、スタジオに備わっているスタジオモニターの音の癖を頭に入れてから音を調整していく必要があります。
多少スタジオモニターの音が調整に合わなかったとしても、最終的に再生される音を想像してアルバムのミックスをしなければなりません。
また、あまり細部の音のこだわり過ぎると作品の表現の意図がずれてしまうことが起こりかねません。
プロのアーティストやプロの録音エンジニアは、オーディオの音を求めるのではなく作品を制作することが最も大切な作業になります。
オーディオメーカーから提供された機器をプロのアーティストやプロの録音エンジニアの方が、使いこなすことこそがプロの仕事ということになります。
プロのアーティストやプロの録音エンジニアの方がスタジオモニターを使用して音を調整するのとオーディオの音の調整は全くことなる作業であることが理解できたと思います。
オーディオ機器のエンジニアとスタジオエンジニアよりも上にいる必要がある。
スタジオであれば、エンジニアがモニタースピーカーの特徴を精通して使用しているので問題なくモニタースピーカーで利用することができます。
しかし、オーディオ機器を提供するオーディオメーカーの技術者たちは、スタジオのエンジニアよりも音や音質についての追求は常に上の存在である必要があります。
スタジオのエンジニアがオーディオ機器を使いこなして作品を制作するのに対してオーディオ機器を製作するメーカーは、より良い音質を追及していく必要があります。
もちろんプロのアーティストやスタジオエンジニアなどの意見を参考にして、オーディオ機器を製作する必要がありますが、音や音質などについてはアーティストやスタジオエンジニアよりも常に先を進んでいなければなりません。

音や音質の調整についてオーディオメーカーは、プロのアーティストやスタジオエンジニアよりシビアな調整する必要があると思います。
オーディオ機器のエンジニアは、スタジオエンジニアよりも音や音質に対してのこだわりをもつ必要があります。
オーディオ機器のエンジニアが、常に音や音質に対してのこだわりがない限り、優れた音のオーディオ機器を提供することはできません。
オーディオ機器のエンジニアとスタジオエンジニアより、遥かに音、音質というものを追求して、こだわっていく必要があると思います。