File No.41 / 07
オーディオ調整に最適な4ウェイスピーカー
ここで例として紹介する4ウェイスピーカーは、あくまでもオーディオ機器の音の調整や最終的な音決めに向いているだろうというスピーカーであり、音が良いスピーカーということではありません。
しかし、これらの4ウェイスピーカーで良い音が再生できれば、間違いなくそのオーディオ機器の音質は優れていると思います。
ここに紹介する4ウェイスピーカーは、スピーカー製作メーカーの技術の結晶のような製品です。

こちらのD社の4ウェイスピーカーの場合は、量産型なのであらゆる部分が最高とはいえないものの、オーディオ機器の音の違い、音の質感など明確に再生します。
ボーカルなどの声が少しでも膨らんでいたりしたら、その膨らみ具合がはっきりと音の現れ確認することができます。 高音の伸びが足りない、どの帯域の音の密度が薄いなどが良く分かり、低音のしまりなどもしっかりと判定が出来ます。
このD社の4ウェイスピーカーは、低音のコントラストを再生するのが難しいのですが、良く設計されたオーディオアンプでは低音の輪郭を上手く再生して、素晴らしい音を楽しめます。
このD社の上手く再生するのが難しい4ウェイスピーカーを良い音で再生することができれば、他のどのスピーカーでも良い音で再生することが可能だと思います。
しかしD社の4ウェイスピーカーは、オーディオ機器などの音を調べるには大変優れたスピーカーだと思いますが、あまりにも細部の音がはっきりと再生されてしまうのでオーディオのリスナーにとっては音がハッキリしすぎて疲れるスピーカーになってしまうかもしれません。 このへんはオーディオファンの好みの問題になるでしょう。
こちらのV社の4ウェイスピーカーは、受注生産で当時1本80万円もした最高級の4ウェイスピーカーです。
D社の量産タイプの4ウェイスピーカーとは異なり、このスピーカーを製作するためだけのオリジナルのカスタムパーツを使用した大変贅沢な4ウェイスピーカーです。
このV社の4ウェイスピーカーも、CDの音の中の情報をすべて再生するのが目的で製作されたものだと思います。

V社の4ウェイスピーカーは、超高級仕様のスピーカーなのでバイワイヤリングに対応していますが、オーディオ機器を調整には使用しない方が良いでしょう。
このような良質な4ウェイスピーカーで視聴すると、オーディオ機器の詳細な音の違いを知ることができるので良い音のオーディオ機器を製作しやすくなると思います。
D社とV社4ウェイスピーカーを両方を使用してオーディオ機器の音を調整すると、良い音のオーディオ機器を製作できることは間違いないでしょう。
かつてこれらのスピーカーを最終の音調整、音決めに使用していたオーディオメーカーがありました。
日本を代表する高級オーディオアンプメーカーのA社です。
当時のA社は、1000Wのオーディオアンプや100Wの純A級オーディオアンプなど発表するなど、オーディオを製作する企業のなかで世界ナンバーワンの企業だったと思います。
A社が発表したオーディオアンプの後を追うように、世界のハイエンドオーディオメーカーが発表する状況でもありました。 当時のA社は、オーディオアンプの製作する会社のなかで間違いなく世界一のオーディオメーカーだったと思います。
このことは高級オーディオアンプメーカーのA社が上記の4ウェイスピーカーを使用してオーディオアンプの最終の調整や音決めに使用していたこに少なからず関係しているのではないかと思います。
現在、オーディオ機器の音を調整する最適と思えるスピーカーが存在しない。
良質な4ウェイスピーカーがオーディオ機器の音の調整に大変向いているのですが、困ったことに現在、オーディオ機器の音を調整する最適と思える4ウェイスピーカーが見当たりません。
かつて優れた4ウェイスピーカーを製作していた日本のオーディオメーカーも、現在では存在しないか、自社製造、研究開発の良質なスピーカーを製作しなくなりました。
かつて良質な4ウェイスピーカーを製作していたオーディオメーカーのブランド名は有してしても、30年以前に製作していた4ウェイスピーカーの技術やノウハウのすべて失ってしまっているようです。
残念ながら現在は、美しい外観などのデザインのスピーカーが出来たとしても、一からスピーカーユニットの設計・製作できるメーカーは国内には存在しない状況になりました。
4ウェイスピーカーというものは、スピーカーで最も製作するのが難しい製品で、4つのスピーカーユニットを適当な箱にいれただけでは優れた4ウェイスピーカーにはなりません。
4ウェイスピーカーには異なった素材でできた各ユニットの音色をあわせたり、各帯域の周波数をどの帯域で切るなど高度な技術を要します。
独自の設計でない他社の汎用のスピーカーユニットを適当な箱に入れただけでは、本当に良い4ウェイスピーカーを製作することは不可能です。
かつては優れた4ウェイスピーカーを製作すすることが、オーディオメーカーの技術の結晶だとして、実力のあるオーディオメーカーは競いあって製作していたものです。
優れた4ウェイスピーカーを製作すれば、その企業のオーディオ技術の実力を証明したようなもので、一流オーディオブランドとして評価されたものです。
今日では優れた4ウェイスピーカーを製作できる国内のオーディオメーカーは存在しなく、30年前には普通に国内のオーディオメーカー製作していたことなので残念でなりません。
現在流行のグローバル化を推進するというものは、目先のお金だけしか見えていなく、かつて長い研究の末にオーディオメーカーが獲得した独自の技術力を放棄することなのかと思えてしまいます。
オーディオメーカーとしてのプライドというものは、何処にいってしまったのでしょうか?
グローバル化というものは、利益になればなんでも良く、製造できる技術を引き継ぐことは重視されていないように思います。
現在のオーディオメーカーは、良い製品の消費者に提供することについて、一から考え直して創業者の思いや理念を実現して欲しいものです。
私は、ただ良い音が鳴るだけのオーディオが欲しいのではなく、オーディオメーカーの魂やブライドの入った製品が欲しいと思っています。
これは、すべてのオーディオファンに共通する想いではないでしょうか?
オーディオメーカーの魂やブライドがなくなれば、その企業のオーディオ製品でなくても良いことになり、何れその付けは清算させられることになるでしょう。
オーディオメーカーと名乗るのではあれば、かつてのようにオーディオの音を真剣に考え設計・開発して言って欲しいものです。
もう一度、日本のオーディオ・メーカーに優れた4ウェイスピーカーを製作することを心より望んでいます。