File No.61 / 06
真空管オーディオアンプの音について
最近のオーディオは、真空管オーディオアンプが大変人気があるようです。
真空管アンプの音は、シングル、プッシュプル、差動プッシュプルに若干の差はあるものの、温かく非常に滑らかで独自の空間が広がる共通の要素をもっています。
真空管アンプの音には、音の線が太く声や楽器の音の血が通っている感じの温度感があります。
大変、魅力的な音がするのが出来のよい真空管アンプだと思います。
真空管アンプを好むオーディオファンが真空管アンプの独自のサウンドに魅力を感じているのだと思います。
私自身も真空管アンプの音にも大変魅力を感じています。
多くのプロの演奏家や歌手の方も、真空管アンプの音を好む方が多いように思います。
真空管アンプの音
ここから真空管アンプの音について、掲載していきたいと思います。
優れた真空管アンプの音質は、美しく滑らかで大変上品でリッチな線の太い音が楽しめ、大変魅力があります。
上質な真空管アンプは、半導体アンプでは得られないオーディオに最高の贅沢を与えてくれるでしょう。
私自身、真空管オーディオアンプの音質は大変魅力に感じていますが、ここであえて真空管オーディオアンプの音について私個人的に感じたことを述べていきたいと思います。
ここで私が真空管アンプに感じることを真空管アンプの音の好きなオーディオファンにとって、少し不快になられるかも知れません。
誤解のないようにしていただきたいのが、私自身、真空管オーディオアンプの音・音質は、大変好きで魅力を感じています。
また、今後、真空管アンプを製作しようとも考えていますし、何らかの方法で真空管アンプを、これから手に入れたいとも考えているぐらいです。
それぐらい真空管オーディオアンプの音には個人的にも魅力を感じており、真空管アンプの音を否定するつもりなどは微塵も考えていません。
しかし、真空管アンプの音について世間が感じているような魅力的な音以外に私個人として、真空管アンプの音に感じられる正直な感想を述べていきたいと思います。
あくまでも、私の個人的な真空管アンプの音に対する感想になりますので、あまり気になさらずに聞いてください。
私が真空管アンプの音を聴くと、どうしても音に薄っすらとコンプレッサーがかかった音のように聴こえてしまいます。
アナログテープの時代にあった音にテープテンションがかかったような音とでも言ったら良いでしょうか、ほんの僅かコンプレッサーのかけられたプレゼンス感のある音を真空管アンプの音に感じてしまいます。
真空管アンプの音に薄っすらとコンプレッサーがかかった音に聴こえるという感覚は、私だけの特別な感覚かもしれません。
コンプレッサーというのは音を圧縮することで音圧を上げる技術で、ほとんどの音楽アルバム製作には使用されている技術です。
もしコンプレッサーがなく音楽のアルバムを製作すると、音に音圧が稼げないので音が平べったくなって全面に音が飛び出すことがなくなるので、迫力のない音になってしまいます。
このことは、アマチュアでバンドなどを組んでいる人には理解しやすいでしょう。
アマチュア・バンドで集まって演奏した音をフィールドレコーダーなどで記録して、後で記録した音を再生してみると、実際に演奏していた時の音とは比べ物にならないぐらい音に迫力がなくなっていることに気づきます。
演奏した音をそのままコンプレッサーで圧縮しないで再生すると、表現したかった迫力のある音とは違い、全く迫力のない音になることが多々あります。
録音した音を圧縮することで音圧を上げて迫力のある音に仕上げるのが、コンプレッサーの役割です。
真空管ギターアンプでは、真空管のオーバードライブによって、自然にコンプレッサーがかかる部分を極端に利用して真空管ギターアンプの音色を決めているところがあります。
一方、真空管マイクロフォンでは、真空管によって自然に薄っすらとコンプレッサーがかかることで、中音域の線が痩せずオープンになるところを利用して録音する感じがあります。
真空管オーディオアンプの音が、極端にコンプレッサーがかかった音であるとは言いませんが、私の個人的な感覚では薄っすらとコンプレッサーかかったサウンドに聴こえてしまいます。

このコンプレッサーというのは、音を圧縮して音に音圧を稼ぐ以外に薄っすらかけることでの相乗効果として、音の角が丸まり音の鋭さを和らげる効果があり、音の線が太くなります。
薄っすらとかかったコンプレッサーの音を柔らけ音の線を太くするという効果が、真空管オーディオアンプの滑らかで美しく品位のある音に貢献しているのではないかと考えています。
真空管オーディオアンプでコンプレッサーの音を柔らけ音の線を太くする効果は、真空管からだけでなく、コイルを巻いて作られている出力トランスからも生じている可能性は十分に考えられます。
出力トランスを交換すると真空管アンプの音が、大きく変わるといわれていることを考えれば、出力トランスによってコンプレッサーのように音を柔らけ音の線を太くする効果があるということにうなずけるのではないでしょうか。
真空管アンプの音が、半導体アンプに比べて滑らかで美しく上品になるのは、頭ごなしで真空管だから音が良いと考えるのではなく、それ相応の理由が存在するからだからだと思います。
何度も申しますが誤解がないようにして欲しいのですが、私自身決して真空管アンプの音を否定しているものではありません。
真空管アンプの音だからと頭ごなしに良い音と考えるのではなく、真空管アンプの音の特徴、魅力を知って、真空管アンプに挑むことがオーディオにとって良いことだと考えているから、真空管アンプの音の正直な感想を述べさせていただきました。