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真空管アンプと半導体アンプ
真空管アンプには、半導体アンプでは再現できない音があり、オーディオで真空管アンプが現在に至っても人気が衰えていません。
優れた真空管アンプの音は、線が太く滑らかで美しく上品な音が楽しめ、真空管アンプからでた暖かい音は、音に生命が宿ったような錯覚すら覚えてしまいます。
真空管アンプは、真空管のヒーターが熱せらられることで、ほのかな光を発するので、視聴的に見た目に暖かく感じられ、増幅素子である真空管を直接見て音楽を楽しむことができます。
半導体でも見ることは出来ますが、光らない半導体を見ながら音楽を楽しめる人は少ないと思います。
真空管アンプをの真空管のほのかな光を見ながら音楽を楽しむと、ただのオーディオ機器でなのに、心が和むように感じられます。
このような感覚は、他の方式のオーディオアンプではなかなか得ることが出来なく、真空管アンプの最大の魅力になっているように思われます。

真空管オーディオアンプの最大の弱点は、半導体アンプのように大きなパワーを得にくいところにあります。
出力50Wの半導体アンプを製作することは容易で、むしろ半導体アンプ中で50W以下のアンプ探すのが難しいぐらいです。
真空管アンプで半導体アンプのような出力を得ることは、非常に大変で大掛かりな機器になってしまいます。
真空管アンプでも半導体アンプのように、数百ワットの出力のアンプを製作は可能ですが、重量が100Kgを超えるような大掛かりなものになるので現実的ではありません。
真空管アンプの音が気に入っていても、低能率のスピーカーなどドライブするために出力が必要になってくると、半導体アンプしか選びようがありません。
一方、半導体オーディオアンプは、真空管オーディオアンプの音に比べて音がスッキリしており全体にあっさりしている感じがあります。
業務用の半導体オーディオアンプの音を聴くと、音のクオリティや再生周波数レンジや解像度などには全く問題ないのですが、音がスッキリしており全体にあっさりしている感じがあり、何かそっけない音に聴こえます。

高級な半導体オーディオアンプは、真空管オーディオアンプの音にあるような音の肌触りの良さや暖かさを求めているように感じられ、真空管の良い部分を再現しようと努力しているように思われます。
半導体アンプは、真空管よりも出力に遥かに余裕があり、低インピーダンスの低能率スピーカーになれば、半導体アンプしか選択の余地がありません。
最近では半導体アンプにディジタルアンプというものが登場していますが、ディジタルアンプは、音がクリアーでハッキリしていることは間違いないと思いますが、今ひとつオーディオファンには支持されていない感じがあります。
オーディオファンにディジタルアンプの音が不人気なのは、人でいうと体温のようなもので音に生命感が乏しく、クオリティが高くても音が死んでいるように聴こえるからではないかと思われます。
その点が、現在でも真空管アンプや以前からの半導体アンプがオーディオファンに支持されつづける理由だと思います。
クオリティが高くても音に生命感を感じなければ、音楽を聴いていても楽しくありません。
真空管アンプとハイレゾ音源
現在の最先端の広帯域再生であるハイレゾ音源と電子製品の骨董品と言っても良いと思われる真空管アンプの組み合わせは、水と油の関係のように場違いのように思われるかも知れません。
なぜなら真空管アンプとハイレゾ音源は、馬車と新幹線ぐらい開きがあるように感じられるからです。
広い再生周波数レンジをもっているハイレゾ音源を真空管アンプで再生すると、ハイレゾ音源の良さが失われてしまうのではないかと考えられます。
しかし、考えられないかも知れませんが結論から言うと、真空管アンプとハイレゾ音源の相性は非常に良いのではと思います。
なぜならば、ハイレゾ音源の滑らかで温かく柔らかい音場の雰囲気は、出来の良い真空管アンプの目指している音に近い感じがします。
ハイレゾ音源のジャズボーカルの作品などを聴いていると、真空管アンプの美しくなめらかな音と大変似ているように感じられます。
もしかすると真空管アンプは、昔のアナログレコードよりも、最先端のSACDなどのハイレゾ音源の方が相性が良いかも知れません。
それぐらい真空管アンプ音は、ハイレゾ音源と相性が良いように思います。
真空管オーディオ・アンプでハードロックを聴く
良く出来た真空管オーディオ・アンプは、美しく滑らかで、こってりとした上品な音質を聴かせてくれます。
真空管オーディオ・アンプの美しく滑らかで、こってりとした上品な音質が、ハードロックやヘビーメタルなどの激しい音楽で楽しめるのだろうかという疑問になります。
良く出来た真空管アンプの音の特徴として、滑らかで上品で音に潤いがあり、ハードロックのギターのソロの部分などは、美しく優雅で魅力的な音を聴くことができます。
一応、真空管オーディオアンプでハードロックやヘビーメタルでも十分楽しめると思います。
しかし、真空管オーディオアンプではハードロックの低音の歯切れの良さを再現するのはかなり大変なことかも知れません。
大変良くできた真空管アンプであっても低音の歯切れ良さは、半導体アンプに遠く及ばないように感じられます。
真空管アンプのダンピングファクターの性能が、半導体アンプには遠く及ばないないのは間違いない事実ですが、そのことが原因で低音の制動が甘くなり、低音の切れが半導体アンプに及ばないといわれていますが、このことが原因であるのかは正直なことところ分かりません。
個人的な意見になりますが、ハードロックやヘビーメタルなどの音楽は、しっとりとした上品な音よりも、スピード感のある切れのあるサウンドが合っているように思います。
全てではないと思いますが、真空管アンプの音は、しっとりした潤いがる少し湿った感じするのに対して、半導体アンプの音は、スッキリととして少し乾いた感じの音がします。
個人的には、ハードロックやヘビーメタルに関していうと、少し乾いた感じの音がする半導体アンプの方かあっている感じがします。
ハードロックやヘビーメタルのアルバム製作には真空管ギターアンプはかかせないのですが、再生に真空管アンプを使用すると真空管ギターアンプで録音されたマイルドな感じのサウンドが、よりマイルドになってしまい、特にギターのオーーバードライブやディストーションなどの歪みの硬質な部分が和らいでしまう感じがあり、ギターの切れが悪くなる感じがあります。
これらのことは絶対に言えることではなく、ハードロックたヘビーメタルを楽しむのに真空管アンプの音の方が好きなオーディオファンも多くいるので、あくまでも個人的な見解ということになります。
ハードロックやヘビーメタルが半導体アンプの音が向いているといって、真空管アンプに半導体アンプのような音や特徴を求めても良いものなのか疑問です。
次に真空管アンプに半導体アンプの音を求めることは良いことだろうかについて、考えていきたいと思います。