File No.64-4  音楽について考える(4) -コラム-

高度だけが素晴らしいのではないことについて解説しています。

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File No.64 / 04

高度な音楽だけが、素晴らしいのではない。

音楽や芸術の世界は、高度なものが好まれるのが確かにあります。

確かにクラッシックやジャズなどの高度な演奏は、芸術として素晴らしいのは間違いないことでしょう。

しかし、芸術というのは高度なものが全てではないと思います。

クラッシックやジャズなど音楽を好む人の中には、ロックやポピュラー音楽などは、安っぽい大衆音楽のように考え、全く興味を持たない人がいます。

音楽のジャンルの好き嫌いは、本人の趣味の世界のことなので、他人がとやかくいうことはできませんが、ロックやポピュラー音楽を聴かずに否定することは、大変もったいないように思います。

ロックやポピュラー音楽には、高度な音楽演奏以上に情熱やエネルギーを感じさせるものがあります。

たとえ高度な音楽でなくても、情熱やエネルギーを感じさせる音楽は、人の心に響き、感動を呼びます。

音楽は、高度なもの以外でも、アーティストの気持ちや叫びを魂を込めて表現することができれば、それは既に芸術の領域に達しているように思います。

恐らく現在では全く聴かれなくなった昔の音楽で、あまり知られていないアーティストの音楽の中にも、素晴らしく心を打つものが多く存在することでしょう。

オーディオを楽しむ上で、たまにいろいろな昔の音楽を聴いてみるのも良いのではないかと思います。

高度な音楽でなくても、気持ちが伝わり感度するような音楽に必ず出会えるでしょう。

若いときジョージ・ハリソンの音楽が理解出来なかった。

私は、ビートルズのサウンドが好きで、若いときからビートルズのファンでした。

ビートルズの曲の中に入っているジョージ・ハリソン(George Harrison)の曲は素晴らしいと思ったのですが、 ソロになってからの音楽は、非常に独自で変わっていて苦手でした。

ソロは、どうしてもジョン・レノン(John Lennon)やポール・マッカートニー(Paul McCartney)の方を好んで聴いてしまいます。

そのようなことで若いときにはソロのジョージ・ハリソンの音楽を、ほとんど聴くことはありませんでした。

ジョージ・ハリソン(George Harrison)の写真
ジョージ・ハリソン(George Harrison)

それから十数年たち、あるとき車に乗っているときにラジオから音楽が流れてきた時に、曲名が分からなかったのですが、曲の雰囲気からジョージ・ハリソンの音楽であるということがすぐに分かりました。(『YOU』という曲でした。)

ジョージ・ハリソンの音楽は、ジョージ・ハリスンの独自の世界の音楽の雰囲気があり、何を聴いてもジョージ・ハリスンなのです。

このときジョージ・ハリスンの音楽には、自分の芸術の世界を追及して、決して流行などに媚びない良さがあるのに気づきました。

そのとき、初めてジョージ・ハリスンの音楽に魅力を理解することができたように思いました。

周りがどのような状況でも、自分の音楽の世界を求める芸術というものの良さがわかりました。

このジョージ・ハリスンの音楽に向ける姿勢が、ギターリストだった友人のエリック・クラプトン(Eric Clapton)の刺激になって、エリック・クラプトン自身もマイクを取り歌うようになったと想像します。

ジョージ・ハリソンとエリック・クラプトンの写真
George Harrison & Eric Clapton

アーティストが製作する音楽芸術には、他に媚びない精神というものが必要であるのかも知れません。

ジョージ・ハリスンの音楽には、ジョージ・ハリスン独自の世界があり、大変個性的で一般には受け入れがたい部分があると思いますが、この部分こそがジョージ・ハリスンそのもので、ジョージ・ハリスンの芸術で魅力そのものだったと思います。

音楽に求めるものが変わってきているのかも知れない。

アーティストの音楽を求める人たちの音楽への想いが、昔のように深く求めることがなくなってきているのかも知れません。

好きなアーティストのヒット曲をダウンロードして、一時的に熱狂的に聴いていても、その曲が流行らなくなれば全く聴かなくなるのが、現在の音楽には多いように感じられます。

国内のアーティストで、最新アルバムがビックヒットしているのに、そのアーティストの昔のアルバムは、中古のワゴンセールで100円で普通に販売されていたりします。

ほんの一部の例ですが、従来のビートルズやローリング・ストーンズ、レッド・ツェペリンなどアーティストのオリジナル作品のCDは、何度もリマスターなどにより再リリースされて登場しており、中古CDも多く販売されていますが100円で販売されているのを見たことがありません。

クラッシック、ジャズもしかり、昔のアーティストの作品は、どのように時代が経過しても一定以上の評価があり、世代にわたり愛されているのだと思います。

そのことを考えると、最近の音楽にはインスタントな感じてしまいます。

最近は、音楽に求める感性そのものが変わってきているのかも知れません。

逆に最近のアーティストの流行らなくなった音楽を、もっと視聴して、より愛することでアーティスト自身の気持ちが向上し、より良い作品を製続けるようになるのではないかと思います。

音楽をダウンロードなど便利に簡単にインスタントに入手できるようになると、アーティストの芸術作品もインスタントになっていくような皮肉な現実があるように感じます。

アーティストには輝いている時代がある。 つづく


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