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『WALTZ FOR DEBBY』のCDを視聴した結果(結論)
様々な『WALTZ FOR DEBBY』CDを視聴して音に良い印象が残ったCDは、
■ 日本盤の初期のCD(VDJ-1536)
■ ドイツ盤CD
■ デジパックドイツ盤CD
■ DO!JAZZ-Who said JAZZ isn't easy(20bitK2サンプル非売品CD)
■ 日本盤アナログLPレコード
■ ジャケット違い日本盤アナログLPレコード
■ Complete Village Vanguard Recordings 1961
良い印象をもてなかった『WALTZ FOR DEBBY』
■ ワルツ・フォー・デビィ+4 [XRCD]
■ Anarogue Production(限定ゴールドCD)
■ Anarogue Production(Super Audio CD)SACD
でした。
その他はCDは、悪くは感じませんでしたが深い印象は残りませんでした。
◆ 良い印象が残った『WALTZ FOR DEBBY』
日本盤の初期のCDは、上品でおとなしい感じの音で非常に静かな空間で音があまり左右上下に広がりません。 レコードとは違う感じの音なのですが、私はこの日本盤の初期のCDの音にCDでしか聴けない上品な音質は魅力を感じています。
デジパックドイツ盤CDは、音の鮮度が高いように思いました。 音は良いのですがCDの曲順の編集が気に入りません。
DO!JAZZのサンプルCDは、音の鮮度に魅力があります。 このCDの曲は編集されているので、この鮮度の完全な曲のCDが欲しいものです。
日本盤LPは、日本LPだけといわずレコードの音の出方はCDにない魅力があります。 全てのレコードの音がCDの音より上回るとはいいませんが、レコードの音には音が生きているように感じてしまいます。
アナログレコードの音に慣れてくると、僅かなスクラッチノイズやチリチリノイズは気にならなくなります。
アナログレコードは、不思議なものでCDと同じディジタルマスターを使用したレコードを視聴しても違う音に聴こえ魅力を感じます。
『WALTZ FOR DEBBY』のアナログレコードは、オリジナルが最も良いと思いますがなかなかオリジナルは高価で所有できませんが、何か1枚でも『WALTZ FOR DEBBY』のアナログレコードを持っておきたいものです。
Complete Village Vanguard Recordings 1961は、作品としての『WALTZ FOR DEBBY』と違う意味合いがあり、『WALTZ FOR DEBBY』が製作された元の大変貴重な音源です。
この音源を視聴できることが大変嬉しく感じました。
この音源から『WALTZ FOR DEBBY』が製作されたことを考えながら視聴すると感動をさせられます。 私は『Complete Village Vanguard Recordings 1961』を視聴して『WALTZ FOR DEBBY』というアルバムがより好きになりました。
◆ 良くない印象の『WALTZ FOR DEBBY』
ワルツ・フォー・デビィ+4 [XRCD]の最高のリマスターをしたといわれるXRCDは、メーカーの説明によると完全なアナログクオリティを再現したと説明されています。
裏ジャケットのリマスターの経緯が記載されており、機材などが確認できるのが良いところです。
しかし、コンセプトは裏腹に音が良く感じられません。 アナログの音を完全に再現したということも、音を聴いた限りは理解に苦しみます。
私の推測では、XRCDは良いものを製作しよう音に懲りすぎたために失敗した感じがします。
アナログの滑らかさやテープヒスノイズの軽減を求めすぎたために音の鮮度が失われてしまった感じがしてなりません。
エンジニアのアナログの音のセンスが良くなかったように思います。 もっと1インチオープンリールなどのマスターテープの音を検討して欲しかったように思います。
XRCDの音を最高傑作と評価するオーディオファンも多くいますが、アナログレコードの音が嫌いなのか、ディジタルの音しか視聴したことがないのかもしれないと考えています。
『WALTZ FOR DEBBY』のXRCDは特に音が良くなく感じ、その他のタイトルXRCDはそこまで悪く感じませんでしたが、音が特に良いとも思えませんでした。
あくまでもXRCDに対しての私自身の個人的な考えなのでご了承お願いいたします。
『WALTZ FOR DEBBY』のCDを視聴して思ったこと
同じアルバムが何度も新たにリマスターされてCD化されていく現状で、新しくリマスターされたCDの音があまり良く感じないのはなぜであろうか?
この現象は、ハイレゾ音源やSACDが主流になっても変わることはないと思われます。
ここでこのような状況がおこる理由を推測してみることにします。
アナログレコードは、プレス場所が異なる各国のレコード盤に
◆ アメリカ盤は、軽快な音だが盤質が悪いものがある。
◆ イギリス盤は、暗いが緻密で盤質は普通
◆ ドイツ盤は、鮮度が高く盤質も良い
◆ 日本盤は、ノイズがほとんどなく盤質は最高
◆ オランダ盤、盤質が良く音の良いものの多い
などの特徴がありました、 (この特徴は、年代により変わり、おおまかな特徴で必ずしも一致するものではありまん。)
しかし、オーディオがアナログからディジタルになり、世界がグローバル化に進み音楽関連企業の合理化が進んでいった結果、レコードの時代のようにアメリカ盤、ドイツ盤、日本盤などの音の違いが大変少なくなっているように思います。
音に違いが少なくなるのは、世界統一のディジタルマスターを使用してCDが製作されることも原因ですが、合理化が推進していくにつれてCDをプレスする会社が集約してきているように思います。
かつては、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、イギリスというように全ての国でレコードが製作されていましたが、EUが統合されて以来、最近ではEU諸国のCDのプレスは、ほとんどがドイツでプレスされているように思います。
そのような理由から、場所によるCDの音の特徴が少なくなってように思います。
こもまま進めばもっと合理化されて、CDのプレスは人件費の安い国に移行していきつつあります。
これでは、各国盤の音の違いが楽しめなくなるので、オーディオの楽しみ薄れてしまいます。
また、CD音の違いが少なくなるもう一つ考えられる原因は、コンピュータの発達により 録音した音楽のデータを簡単に編集してプレスマスターを製作できるようになり、CDを製作にいたるまでが、各国がほとんど同じになってしまっていることだと思います。
かつては、マスターを持っている国(会社)からマスターをダビングしてもらい空輸でCD製作会社に届けてもらったり、マスターテープを直接借り受けたりしてCDを製作していました。
現在ではディジタル化されているので、マスターテープを物理的に空輸などする必要がなく、インターネットのネットワークをつかって簡単に相手先にマスターテープのデータ送れるようになりました。
このような合理的利便性の向上にプラス同じような機器(コンピュータ)を使用して製作されていくので、各国のCDなどの音の差が少なくなっていってきているのだと思います。
オーディオにディジタルが登場して以来、音楽関連企業にディジタル化が見る見る発展していきました。
ディジタルの登場が、今までにない音楽産業の合理化が進んだのですが、ディジタルゆえに各国の音の考え方の違いが楽しめなくなってしまっているように思います。
各国でCDを製作するのに統一されたマスターを使用されてたり、同じような機器でCD化される中、各国の音の個性がなくなってしまってしまい、これはオーディオファンにとって各国のオーディオソフトに違いによって、オーディオ楽しむことが少なくなるので大変残念なことだと思います。
非合理であっても、各国が独自の機器でマスターテープから音楽CDを製作して欲しいものです。
音楽業界が大きな資金を生み出す巨大産業になり、より合理化されていくことで、音楽というものがより見せるエンターテイメントの色が強くなりつつある中、音楽芸術が衰退してきているように思います。
音楽業界やアーティストの作品のあり方自体を考え直すときがきているように感じてなりません。
作品の好き嫌いは別にして、現在の音楽市場にビル・エヴァンスの『WALTZ FOR DEBBY』のような芸術を追求した作品が登場することを望みたいところです。
おわり