File No.21-3 タイムドメイン・スピーカーについて(3)  -スピーカー-

グランドセプター(GrandSepter GS-1)について

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スグランドセプター(GrandSepter GS-1)について

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グランドセプター(GrandSepter GS-1)

GS-1は、日本のオーディオが絶頂期の時代に、大阪のO社が超高級スピーカーとして発売したものです。

O社は、現在でも名前は健在ですが、1980年代のO社とは実質的に大きく異なると思います。

当時のO社は、恐らくスピーカーブランドとして世界最大級の工場を所有していたのではないかと思います。 O社のスピーカーの生産能力は、ずば抜けていて、ほとんどのオーディオブランドにスピーカーを供給していた実力のあるメーカーでした。 O社は、大証2部上場しており、ほぼスピーカー専門といえる会社で、家電大手のブランドより知名度は低かったと思いますが、車載のスピーカーや家電などあらゆるスピーカーを生産。供給していた影の実力をもつメーカーでした。

当時のO社は、大阪(梅田)の一等地の高層ビル(グランドビル)の30階ぐらいにショールームも構え自社のコンシューマー(民生用)・オーディオを展示していました。 現在の日本で一等地にショールームを構えることなど想像できないことだと思いますが、 当時の日本のオーディオは本当に活発で、そのショールームに行けばいつでもO社の製品を視聴できるようになっていました。 土曜日と日曜日には、オーディオ説明会があり、毎週オーディオショウ開催をしている感じです。

O社は、スピーカーで初めにカーボンウーハーを採用したメーカーだったと思います。 当時のO社は活気があり、民生用のオーディオの普及価格の製品を引っ張っていくリーダー的な存在でした。 とにかく、スピーカーやアンプにとてつもなく物量を投入し、他のオーディオメーカーを刺激し、その結果として普及帯のオーディオの品質・性能が底上げがされたので、オーディオファンには大変良い時代だったといえるでしょう。

GS-1は、オーディオ絶頂期のO社の考える最高のオーディオというものスピーカーに対しての思いを形にしたものだと思います。

タイムドメインの記事を読んでいると、GS-1は今では伝説的なスピーカーとして評価されていますが、当時を知る私からすると、そのようなイメージではありませんでした。

当時の私のO社のイメージは、ウーハーにハイテク素材のカーボンを使用したメーカーというところにあり、それらをいち早く普及帯のD77(59800円)のスピーカーに採用したところにあります。

このO社のD-77は、贅沢に物量を投入した重量が重いスピーカーで、この価格帯のスピーカーで最も売れたスピーカーだと思います。

また、O社の主力のスピーカーは、D-77だけでなくモニター(MOMITOR)2000という主力のスピーカーがありました。 MOMITOR2000は、高級スピーカーとしての価格帯が良かったのと、名前がモニターということで人気があり大変良く売れたスピーカーでした。

このMOMITOR2000は、モニターといいながらモニタースピーカーの要素が全くなく、実に音楽的な音で全体に滑らかで柔らかい音質でした。

O社と対抗していたのは、D社の中高域にボロンのドーム型ユニットと低音域にアラミドハニカムを使用した高解像度で歯切れのある音のスピーカーや、Y社のべリリリウムのスコーカーと低音域にカーボンラミネートウーハーを使用した繊細な音質のスピーカーの音でした。

O社の製品全体の音は、音楽を暖かくおおらかに音楽的に再生するというコンセプトで、当時の主流だった高解像度を求めた音ではありませんでした。 恐らくD社の高解像度の音を好む人は、C社の音楽的な音は好みではなかったと思います。 Y社は、ちょうどD社とC社の間ぐらいの音でした。

実は、私は当時、O社の音はあまり好きではありませんでした。

O社の音は、低音から高音までしなやかで柔らかく暖かい音で、低音も良くでました。 O社は、ウーハーにハイテク素材のカーボンを使用していましたが、他社のように硬性を出すためにガチガチに固めるのではなく、比較的薄いカーボンを使用して低音のしなやかさを重視した感じがしました。 これは、O社の音に対するポリシーだと思います。

この音は、アンプを選ばない良さはありましたが、その良さが全体の音に甘さみたいのが感じられました。 全体の音に甘さというのは、音のクオリティが悪いというわけではありません。

D社のスピーカーは、高解像志向でアンプを選ぶ難しいスピーカーでしたが、上手く組み合わせれば音像がビシッと決まる良さがありましたが、C社のスピーカーは、どのようなアンプと組み合わせてもそつなくこなす実力がありましたが、それが一線を越えてくるような音がしない感じが私はあり好きにはなれませんでした。

O社のそれらの音の系統をついで登場してきたのが、

最高級の

   

『GS-1 GrandSepter GS-1』

   

だったと思います。

これは、当時O社の最高と考える音を形にしたスピーカーだと思います。

最初にスピーカー1台の価格が100万円するということに驚かされました。 当時の国産品の民生用で100万円もするスピーカーは、異例中の異例だったと思います。

昔の100万円は、インフレの影響で良く今の300万円ぐらいの価値があったといわれますが、そのようなことを感じたことはありません。 私からすれば、今の300万円以上する製品でも、昔の100万円より製品が遥かに劣っているように思います。 各オーディオメーカーが技術的な競争がなくなった現在は、製品の内容の価値よりも価格の方が遥かに上昇しているように思います。

最近の100万円以上する高価なスピーカーを見た時に、

   

『本当に、この内容で100万円もするのか?』

          

『昔なら、20~20万円以下でもっと内容の良いものがあった!』

       

『もしかしたら、昔の10万円の内容より劣っている。』

   

と思わされます。

よく、かつての贅沢なオーディオ製品ををバブリーな時代の製品という人が多くいますが、 私から見れば、現在の方が遥かにオーディオはバブリーに見えます。 当時は、内容にたいして価格が一致しており、現在は、内容もないのに価格だけが最高級 な感じが否めません。 日本のオーディオが衰退した理由は、内容に対しての対価が低いからだと思います。

         

日本のオーディオメーカーが競い合っている当時に『100万円』を付けることは、メーカーの考えやアイデア、製作努力が製品に詰まっており価値は凄いものだったと思います。 昔の日本のオーディオ製品を知っている私にとって現在のオーディオは、内容が薄く価格だけ超高級品というオーディオが多く困惑してしまいます。

その時代の『100万円』の価格がついたスピーカーが、どのようなものかイメージできたのではないでしょうか?

O社の『GS-1』を始めて見た時、変わっているスピーカーだなと思いました。 GS-1は、オールホーンシステムのスピーカーで、民生用のスピーカーではたいへん珍しいものでした。

また、当時のスピーカーの傾向は、オーディオで新しく登場してきたCDの音をすべて再生することを争っていたのでスピーカー・ユニットを3つや4つに分けていく傾向でした。

大型フロア型スピーカーというよりも、ブックシェルフ型スピーカーが大型化していく方向です。 (その時すでにブックシェルフ型というスピーカーは、本棚に置ける小さなサイズではありませんでしたが、メーカーの分類としていたようです。)

GS-1の特徴

GS-1は、中高域コンプレッションドライバホーンと低音域は縦に並んだダブルコーン型ウーハーという構成の2WAYのオールホーンシステムというものです。

グランドセプター(GrandSepter GS-1)2の画像
グランドセプター(GrandSepter GS-1)の写真

GS-1の特徴は、低音域にプロ仕様のスピーカーにあるような38cm以上の大型コーンウーハーではなく28cmの小型ウーハーを使用して、低音の応答速度を上げていることです。 28cmの小型ウーハーでは低音の量感が出にくいので、ダブルにして量感を補っているようです。 GS-1は、低音ホーンになっていますが、ホーンの長さが短いので低域帯域を下げることはできないので、ハッシシブイコライザーで低音域を広げています。 この低音はホーンの効果を利用したというより、中高音のホーンと指向性を合わせるために低音の指向性をコントロールするホーンだと思います。

このGS-1は、中高音のドライバのボイスコイルとウーハーのボイスコイルの距離を合わせたタイムアラインになっおり、0社の70年代高級スピカーに採用されているので、この方法を採用することにかなりのこだわりがあったと思います。

またGS-1の能率は、プロ仕様のホーンスピーカーのあるような100dBを超える高能率ではなく、ホーン型のスピーカーでは異例といえる88dBという低い能率です。 バイワイヤリングに対応したスピーカーなので、マルチアンプでドライブすれば100dBを確保できるようになっています。

GS-1の音

初めてGS-1を聴いた人にとっては、普通のスピーカーから出る音からは想像できない音場の中に包みこまれるような深い音に驚かれるに違いないことでしょう。

GS-1は、プロ仕様のホーンと大型ウーハーにあるような中高音のホーンの鋭さはなく、 胸に響いてくるような強力な低音もなく、ホーンスピーカーとは思えないぐらい控えめな音でですが、ホーンスピーカーに良くある中高音と低音が完全に分離された感じはなく、音の繋がりがよく一体感がある音が楽しめます。

独自の深い音場のから出てくるスケールのある音は、暖かく非常に滑らかなでたいへん魅力的で、GS-1でオーケストラを聴くと深い音場からスケールのある音が全体展開され、まるでコンサートホールで聴いている雰囲気が味わえます。

他のブックシェルフのスピーカーからは絶対に得られることがない、たいへん深い音場の音こそが、GS-1の魅力で狙いだと思います。

しかしGS-1は、どのような音楽でも最高に披露できる万能といえるスピーカーでなく、 クラッシックなど広い音場のスケール感のある音を得意とし、パワフルで荒っぽく迫ってくるロックやジャズは音が上品すぎて物足なく感じてしまうと思います。

また、GS-1の能率が低いを解消する為にマルチアンプにすると、本来のGS-1の良さを失ってしまいます。

GS-1にあったソースでは他では味わえないくらいの最高の音が楽しめますが、合わないソースでは、GS-1特有の音場の癖が目立ってしまいます。

それらを差し引いてもGS-1は、O社の考える音の結晶、技術的結晶の産物として魅力があることは間違いありません。

GS-1の弱点

このGS-1は、ホーンスピーカーの良さを取り入れ、ホーンの荒さや音のキツさを極力 押さえ込んで、美しい音場を再現しようとしたものだと思います。 低音域は、大型ウーハーにより重低音をパワフルに押さえ込んでくる音より丁寧な滑らかな低音を求め、そのため低音域のウーハーは、比較的小口径のウーハーを2個使用して反応の良い滑らかでスケールのある音に仕上げています。 小口径のウーハーでは反応の良い低音は期待できますが、最低音は出にくいのでパッシブイコライザーにより低音特性を強制的に下げています。

低音をパッシブイコライザーで低音域を音域を強制的に下げたことが、低音域に無理があり聴くソースによっては不自然さを感じてしまうことがあります。

GS-1の最大の魅力である深い音場感のある音が強い個性になるので、それが音の癖となって、再生にあわないソースが出てきます。

クラッシックなどの音楽ソースは、深い音場感のある音が非常に魅力的に再生されますが、ロックやジャズなどを再生するとGS-1の深い音場感が返って上品過ぎるように再生されます。

ロックやジャズの接近した馬力感のある音楽では、GS-1の上品さよりも荒々しい臨場感のようなものがほしいように思います。 (これは私が個人的にGS-1の音に感じたことです。)

これらが、GS-1の音の弱点といえます。

他では得られない魅力的なGS-1の音にも欠点があり、万能的なスピーカーはないと言うことです。 このGS-1の音が、あまりにも伝説的になっているので、正直に掲載させていただきました。

GS-1とタイムドメイン

開発者いわくGS-1とタイムドメイン・スピーカーは、同じスタイルであると解説しています。

しかし、私自身はどの部分が同じスタイルなのか理解することができなく、贅沢に物量をつぎ込んだオール・ホーンスピーカーシステムのGS-1と比較的安い素材の樹脂性の無指向性スピーカーあるいはフルレンジスピーカーのタイムドメイン・スピーカーは全く異なるスタイルのスピーカーだと考えています。

もし、GS-1とタイムドメインの共通点があるとしたら、再生レンジの拡大を求めず音場を利用して雰囲気を楽しむタイプのスピーカーぐらいです。

卵型のタイムドメインになれば、GS-1共通点はほとんど見つかりません。 あえて共通点を探すとGS-1のウーハーを小型にしたことでインパルス応答評価が良いので共通点といえないことはないですが、それでもGS-1は28cmもあるウーハーをダブル使用して、ツイーターと音を二つに分ける2WAY方式のホーンスピーカーなので実質的には異なるものと思います。

このGS-1の音を聴いたことのないオーディオファンが、開発者の技術的な考えを聞いているとGS-1の音とタイムドメインスピーカーの音と似ているだろう期待されるだろうと思いますが

  

『GS-1とタイムドメインの音は、全く違います。』

  
GrandSepter GS-1とタイムドメイン・スピーカーの画像
GrandSepter GS-1とタイムドメイン・スピーカー
          

もし、比較的低価格で販売されているタイムドメイン・スピーカーで最高級スピーカーのGS-1の音が得られるなら、オーディオファンにとってこれほど幸運はありません。

しかし期待に反して、残念ながら

  

『タイムドメインではGS-1の音は、絶対に得ることはできません。』

  

これは、物理的な常識から考えれば当り前のことだと思います。

自社で研究して贅沢に100Kg以上の物量を投じて自社生産された大型のホーンスピーカーと、有り触れたフルレンジユニットをアイデアで改造したスピーカーと同じような音がするなら奇跡しかありません。 タイムドメインにGS-1の音を期待しているオーディオファンには、たいへん申し分けないことですがそのような奇跡は起こることは絶対にありません。

タイムドメイン・スピーカーの考えや存在を否定するつもりは全くありませんが、オーディオファンにGS-1と同じように思われることは反対です。

タイムドメイン・スピーカーを評価する場合は、GS-1と異なるものとしてタイムドメインというものを考えて評価されることを望みます。

GS-1の思い込み

GS-1の思い込みが生じたのは、GS-1が1本100万円もしたスピーカーだからだと思います。 当時、国産スピーカーで1本100万円もするスピーカーは珍しく、オーディオファンはその魅力は認識していたもの実際に購入した人はたいへん少なかったのではないかと思います。 また100万円もするスピーカーには、他にJBLやインフィニティなどライバルも多かったように思います。 (信じられないかも知れませんがインフィニティは、1980年代アメリカのハイエンドスピーカーとして評価されていました。)

また、半額でソースを選ばない日本の最高級スピーカー存在しました。 (日本のB社は、最新の技術力を注いだ4WAYスピーカーを80万円で受注生産でしていましたが話題になったことはありませんでした。)

GS-1は、オーディオ雑誌などではで紹介されているものの、当時オーディオファンが、ものすごく注目したスピーカーでありませんでした。 これは残存する当時のオーディオ雑誌を隈なく調べていけば、GS-1がどれぐらいの位置にあったか理解できると思います。

しかしGS-1が100万円もする高価なスピーカーでありながら、どこのオーディオショップにも置いてありましたが、GS-1を実際に購入した恵めれたオーディオファンは少なかっただろうと思います。

GS-1の購入者や実際の音を聴いた人が少ないので、GS-1というスピーカーの内容がほとんど知らないところに、GS-1開発者であるY氏がタイムドメインの開発秘話の中にGS-1の開発についての物語があるので、

  

『GS-1というスピーカーが、伝説的になり思い込みが発生した。』

  

ものだと考えます。

スピーカーの頂点としてのGS-1

かなり辛口にGS-1というスピーカーを評価させていただきましたが、私は

  

『GS-1というスピーカーを尊敬の念を持っています。』

  

オーディオメーカー、オーディオ技術者、製作者が魂を込めて製作した結果、当時のスピーカーの頂点・傑作が

  

『GrandSepter GS-1』

  

だったと思います。

  

GS-1の音が、自分の好き嫌いにかかわらず非常に崇高さ感じます。

いま現在、『GS-1』のような魂の入った魅力のあるスピーカーが、どれほど存在するでしょうか?

オーディオメーカーは、オーディオ不況や家電不況などと言い訳するぐらいなら『GS-1』のような魂の入った本物の製品を製作してからいってもらいたいものです。

グランドセプター(GrandSepter GS-1)の構造の画像
グランドセプター(GrandSepter GS-1)の構造

タイムドメインというもの混乱させたもの  つづく


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