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タイムドメインを否定するつもりはありません。
タイムドメインの考えやタイムドメイン・スピーカーの音を、否定や批判するつもりはありません。
タイムドメイン・スピーカーは、たいへんユニークな考えで製作されたスピーカーとして魅力のあるスピーカーだと思います。 特にデザイン面では、他のにないスマートなデザインで関心させられます。
しかしタイムドメイン理論では、
『今までのオーディオの考えを完全に否定できる』
ものではありません。

また、
『今まで製作されてきたスピーカーをすべて否定できる』
ような高性能や夢のスピーカーシステムといえるものではありません。
タイムドメイン理論は、実際のところ
『オーディオの考えの1つの中に、タイムドメイン理論が存在する』
ぐらいのものだと思います。
いくら世界的に大成功したB・G氏が
『自分の7000万円のオーディオセットより良い』
といったからいっても、スピーカー自体の根本的な性能が良くなるわけではありません。
タイムドメイン理論というものはオーディオで完全絶対的な存在ではなく、オーディオの1つの考えとして見る目を持つことが重要だと思います。
もし、オーディオファンがタイムドメイン理論というオーディオを冷静に考えて見る目がなくなれば、今後のオーディオの発展及び良いオーディオは期待することはできないでしょう。
これでは、より良い音質を求めて真面目にオーディオを学術的に研究する技術者が存在することができなくなってしまいます。 今後オーディオ技術者になった方が、スピーカーに良い音質を求める目標がなくなれば悲劇だと思います。
オーディオ技術者は、タイムドメイン理論を最高と考えるのではなくオーディオの考えの1つの中にが存在すると考え、オーディオを研究・開発することを深く望みます。
タイムドメインに妄信的になる
私は、オーディオファンの方々が、タイムドメインスピーカーの音を
『今までになかった最高の音』
『演奏家のニュアンスまで伝える唯一のスピーカー』
『ほかのオーディオの理論は間違っている』
『他のスピーカーからタイムドメインにするとすばらしく音質が良くなった』
『はじめて出会った本物の音』
というようなことを真面目に語っていることを聞かされると、オーディオファンの私には少し悲しくなってきます。
タイムドメインの音が良いと感じるのは個人の自由なので、批判することはありません。
タイムドメインスピーカーの音が、他のすべてのスピーカーを音を否定するぐらい圧倒的優れていると考えるオーディオファンが存在することに驚かされました。
それらのオーディオファンたちは、
『他の音の良いスピーカーを、聴いたことがあるのだろうか?』
と疑ってしまいたくなります。
タイムドメインスピーカーについて、タイムドメインは何であるかをある程度理解して評価することは全く問題はありません。 しかしタイムドメインの理論の考えが他のすべての考えを圧倒して良いと考えているオーディオファンが多く存在すことが大変な問題だと思います。
タイムドメイン理論・タイムドメイン・スピーカーの考えの良さは認めるものの
『タイムドメイン・スピーカーに妄信的になる』
ことは、決してオーディオファンや今後のオーディオとっても良いこととは思えません。
オーディオファンは、タイムドメイン理論というものを妄信的に信じるのではなくて、いろいろなスピーカーを実際に視聴して自分自身で良い音を考えて判断してほしいです。