File No.21-5 タイムドメイン・スピーカーについて(5)  -スピーカー-

結論!タイムドメインは、フルレンジスピーカー?

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File No.21 / 05

結論!タイムドメインは、フルレンジスピーカー?

タイムドメイン・スピーカーといわれるスピーカーの類は、タイムドメイン理論にとらわれずに考えると

結論として

タイムドメイン・スピーカーは

    

『無指向性スピーカー』

              

あるいは

         

『フルレンジ・スピーカー』

    

ではないかと考えています。

細かくいうとタイムドメイン理論で製作されているといわれるスピーカーは、

    

『フルレンジスピーカー型の無指向性スピーカー』

         

あるいは、

         

『フルレンジスピーカーの変形型』

      

ではないかと考えています。

タイムドメイン・スピーカーを特殊なスピーカーで、今までのスピーカーにない原音を100%再生するスピーカーと期待されているオーディオファンには大変申し訳ないですが 、私はこの結論を変えることはできそうにありません。

製作者の意欲やタイムドメイン理論の優位性は、ある程度は理解と納得できるのですが、実際にタイムドメイン・スピーカーで再生される音には現れていないように思いました。

私自身オーディオでスピーカーが最も好きなので、これまでいろいろなスピーカーを視聴してきましたが、タイムドメイン・スピーカーから再生される音が、今ままでどこにも存在したかった原音を100%再生するスピーカーと感じることができませんでした。 また、特殊な方式のスピーカーとも思われませんでした。

タイムドメイン・スピーカーとフルレンジ・ユニットの画像
タイムドメイン・スピーカーの音源発生源は、フルレンジ・ユニット(イメージ図)
  

私がタイムドメイン・スピーカーを視聴して感じたことは、

良くも悪くも

 

『小型フルレンジ・ユニットを使用した無志向性のスピーカー』

       

あるいは

     

『フルレンジ・スピーカー』

 

であって、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。

どのタイムドメイン・スピーカーで再生される音は、間違いなくコーン型のフルレンジ・ユニットの音でした。 タイムドメイン・スピーカーの子気味の良い音が良いのは大いに認めますが、少なくとも私の耳で視聴する限りは、どのように視聴してもフルレンジ・スピーカーの音にしか聴こえませんでした。

タイムドメイン・スピーカーは、小型フルレンジスピーカーの変形のアイデア型のユニークスピーカーではないかと思います。

タイムドメイン・スピーカーとフルレンジ・スピーカーの画像
タイムドメイン・スピーカーとフルレンジ・スピーカー
  

タイムドメインが評価された理由

タイムドメイン・スピーカーが評価された理由として、現在の音楽の背景があると思います。

最近の音楽アーティストは、非常に生々しいリアルすぎる音よりも雰囲気ののある音場から滑らかな音を好んでいる感じがします。

ほとんどの歌が上手いといわれる歌手のボーカルの音は、非常に分厚く滑らかで美しく感じられます。 これは女性歌手、男性歌手でも同じで本人の生の歌以上に良く聴こえる感じがあります。

これは、滑らかな音場の入った声にプレゼンス(エコー)がかかった感じの音です。

最近のSACDなどのハイレゾ音源をソースを聴くと、ほとんど架空の音場のようなものが入っておりたいへん滑らで柔らかい音に聴こえます。

このような音が悪いとは思いませんが、レコーディングで美しい音場がある音が造られた感じがします。

このような音が主流になってきた理由は、架空の音場でもアーティストにとって実際の声量以上に声が広がり滑らかで上手く聴こえるため、好んでこのような音を録音しているように思います。

これはレコーディングがディジタルに移行してから、低音が歪まずに録音することが出来るようになったからだと思います。

低音が歪まずに録音できるようになることは大変良いことですが、それだけでなくアーティストにとって『声が分厚く美しく聴こえる』という思わぬ嬉しい副産物ができたものだと思います。

ディジタル録音を上手く利用すると低音域に向けて柔らかい音場ができるので、ボーカルの声の低音部が厚く滑らかに広がり、声が痩せることなく実際以上の声量のある声が録音できます。

このような音が、ボーカルなどを主体とするアーティストにとって、どれぐらい魅力があるのか現在のSACDやハイレゾ音源のほとんどの録音が美しく分厚く広がる声で録音されていることを考えれば十分に理解できると思います。

これらの音場に柔らかく広がる音は、実際のようなリアルな鋭い音を再現する必要がないので小型のスピーカーでも大変良く聴こえるというメリットがあります。

アーティストからは、実力以上の滑らかで良い音で録音できて、オーディオメーカー側から小型スピーカーで良いのでコストがかけなくて良くなり一石二鳥です。

ほとんどのオーディオメーカー(日本のスピーカーを製造していたメーカーのほぼすべて)は、コストのかかる本格的な大型スピーカーの研究と自社での開発やめて、コストの安い外国のアッセンブリーメーカーのユニットを使用した小型スピーカーを販売するようになりました。

自社開発をやめたオーディオメーカーは、自社の個性だす為に必要以上の重低音がでる小型スピーカーなど販売するようになりました。 これは、他社の安いユニットで小型スピーカーを製造しているので、音にあまりこだわらなくなったのかもしれません。

重低音がでる小型スピーカーとは低音をブーストさせて輪郭のない低音です。 (最近の重低音がでるヘッドホンにもこのような低音をブーストさせている製品が多いです。)

これらの重低音志向はオーディオメーカーだけでなく、視聴するユーザーがオーディオに重低音のある再生を望んだからかも知れません。

昔は輪郭のない低音はブーミーな音として、オーディオファンからたいへん嫌われた音なのですが、ハイレゾ・ディジタル最盛期の時代になって復活してしまったのが皮肉で残念でなりません。

このように現在販売されているほとんどの小型スピーカーの音は、迫力だけの輪郭のないブーミーな音で音抜けの悪いものばかりでした。

このような状況の中に新しくタイムドメイン・スピーカーというものが登場してきたものだと思います。

タイムドメイン・スピーカーは、小型スピーカーのある低音をブーストさせた欲張ったような音ではありませんでした。

これはタイムドメイン理論とは関係ありません。

タイムドメイン・スピーカーの音は、普通のフルレンジ・スピーカーの音だったのです。

このようにタイムドメイン・スピーカーが低音が欲張っていない分、他の小型スピーカーより音抜けが良く聴こえ自然な音に聴こえたものだと思いいます。

他の小型スピーカーが似たり寄ったりの状況で、新しいオーディオ理論を展開しているユニークなアイデアのタイムドメイン・スピーカーは、素直で新鮮さを感じたのだと思います。

また、最近の音楽が柔らかい音場のあるBGMのような音を好んでいるのが幸いし 、クッキリとした輪郭のある音は必要がないのもタイムドメイン・スピーカーを評価をあげる理由だったと考えられます。

それから他のオーディオファンに人気ののあるJBLやB&Wに代表される大型高級スピーカーなどは低音に迫力があり大変優れたスピーカーだと思いますが、どこか低音が押し付けがましいような音に感られタイムドメイン・スピーカーの音が素直に感じたこともあるかもしれません。

これらの最近の音楽事情や他の小型スピーカーや高級大型スピーカーの事情から、タイムドメイン・スピーカーというものが必要以上に非常にオーディオファンに高い評価がなされたものだと思います。

また、世界的なOS会社の創立者B・Gさんがタイムドメイン・スピーカーの音を聴いて

    

『自分の家の7000万円をかけたオーディオシステムより良い音だ!』

     

といったと噂になっていることもタイムドメイン・スピーカーの評価を上げている理由の一つだと考えられます。。 (このエピソードの真相は不明です。本当??)

いずれにしてもタイムドメイン・スピーカーの考えなどのある程度の良さは理解できますが、必要以上にタイムドメインというものが評価が高いように思います。

いろいろなオーディオ・スピーカーを聴いてきた私からすればタイムドメイン・スピーカーというものは、無志向性の音場型スピーカーあるいはフルレンジ・スピーカーしか思えないのですが、最近のオーディオ事情や音楽事情からタイムドメイン・スピーカーを多くオーディオファンの方が新鮮ですばらしい音質に感じたのではないかと考えています。

タイムドメイン・スピーカーの弱点  つづく


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