File No.21-6 タイムドメイン・スピーカーについて(6)  -スピーカー-

タイムドメイン・スピーカーの弱点

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File No.21 / 06

タイムドメイン・スピーカーの弱点

タイムドメイン・スピーカーの弱点は、タイムドメインが理論が理想とする小型のフルレンジ・ユニットを使用してスピーカーを製作していることにあります。

小型のフルレンジ・ユニットは、タイムドメイン理論のいうインパルス応答性能を良くできるのですが、ユニットを小型にするとスピーカーの能率と耐入力が下がります。

高性能のコーン型のフルレンジ・スピーカーの能率から考えると、タイムドメイン・スピーカーの能率は少し低いように思います。

スピーカーの能率や耐入力の問題は、狭い部屋で普通に音楽を視聴する分には問題はありませんが、広い部屋の空間で実際の演奏された音の迫力のある音で再生しようとすると大きな問題を発生します。

特にバスドラムのような低音楽器の音を実際の音のように再生しようとすると無理がでます。

小型のフルレンジ・ユニットをフローテングしてエンクロージャーの影響を少なくしているので、実際の演奏のような低音の音圧のある音の再生は難しく、低音の音圧を上げるためにボリュームを上げていくとスピーカーを破損させてしまう可能性があります。

近くで実際の演奏されたような音圧感のある重低音の再生が難しいのが、タイムドメイン・スピーカーの弱点になります。

実際のタイムドメイン・スピーカーを視聴して(弱点2)

オーディオショウの中のタイムドメイン・スピーカーの視聴会で、タイムドメイン・スピーカーの音を視聴して感じたことを報告したいと思います。

オーディオショウでは、タイムドメイン理論をオルゴールを使ってタイムドメイン理論について説明していました。

オルゴールの音を壁に付けずにそのまま流した時の音と、壁に付けて流した時の音を聴き比べる実験です。 オルゴールの音を壁に付けずにそのまま流した時の音は小さく、壁に付けて流した時の音は壁を振動して大きく響き音が大きくなりました。

これは、スピーカーのエンクロージャーの振動がどれだけ音を濁してしまうということを説明してを、壁を利用しての説明です、

視聴会に参加している方々は、この説明に素直に納得しているようでした。

私自身は、スピーカーのエンクロージャーの振動があるから豊かな音が出ると考えていますので、この説明の方法にはあまり説得力はありませんでした。

オルゴールでのタイムドメイン理論の説明が終わるとタイムドメイン・スピーカーの音を実際に体験してもらうということで視聴会に進みました。

このオーディオショウはホテルの会場で、40畳ぐらいの広さに大きな60インチぐらいのモニターを挟んで卵形のドメインスピーカーと下にスーパーウーハーがセッティングされていました。

オーディオショウでのタイムドメイン・スピーカーのセッティングの説明画像
オーディオショウで視聴したタイムドメイン・スピーカーのセッティング
 

大きなモニターにジャズのコンサート映像がモニターに映し出せれて、その音を視聴することになりました。

このときの卵形のドメインスピーカーの音について正直に感想を述べたいと思います。

小型スピーカーの音としては、良くもなく悪くもなく普通です。 しかし、60インチぐらいのモニターでジャズのコンサートの音を流すとこの卵型のスピーカーでは音に無理があるように思いました。

60インチぐらいの大きなモニターで映像を流すと、演奏している映像の人物が実際の人物と同じか、それ以上に映しだされます。 コンサートなどを60インチぐらいの大きなモニターでコンサートのようなライヴを映しだすと、人は無意識のうちに頭に実際の音のような迫力のある音を求めてしまいます。 これは、ニュースやドラマを見てもあまり認識しないことかも知れませんが、60インチぐらいの大きなモニターでオーディオを視聴すること顕著に感じることです。

この卵型のタイムドメイン・スピーカーでは、大きな60インチのモニターで映しだされるようなジャズのコンサートのスケール感のあるリアルな迫力が全く伝わってきませんでした。 別途に販売されているスーパーウーハーも加わった音ですが、それでも迫力は伝わりませんでした。 (そもそもタイムドメイン・スピーカーにスーパーウーハーが用意されていること自体、タイムドメイン理論と矛盾しているように思います。)

特に映像に映し出されているドラマーが、バスドラムを叩いたときの音が薄っぺらに感じられ、迫力が不足しているように思いました。 それがあって、全体に音がペリペリとした感じの薄っぺらく聴こえました。

この小さな口径のスピーカーから出てくる音では、大型モニターに音がついていかず明らかに迫力不足です。

タイムドメイン・スピーカーは、エンクロージャーの共振を伝えないようにしているので、それがかえって音圧のある迫力のある音の再生を難しくしているように思いました。

卵型のタイムドメイン・スピーカーでは、実際の音ような馬力感ある音が前面から迫ってくるような音圧感のある音が再生しにくいようです。

タイムドメイン・スピーカーでは

『馬力感ある音が前面から迫ってくるような音圧感のある音が再生しにくい』

ことがタイムドメイン・スピーカーの音の最大の弱点だと思います。

タイムドメインスピーカーは、小口径で反応が速く付帯音が少なく色づけの少ない音といわれていますが、タイムドメイン・スピーカーのようにエンクロージャーの影響を少なくした小口径のフルレンジユニットでは実際に発する音に近い大きさの音の再生では、音圧が足りなく迫力の不足を生じます。 タイムドメインの理論が理想とする小口径のフルレンジユニットを使用してエンクロージャーの共進を利用しないスピーカーは、低音域にかけてのパワフルな音を再生することが難しいように思いました。

恐らく、普通のフルレンジスピーカーではエンクロージャーを利用して音を大きくするので、大きな音の際にタイムドメイン・スピーカーよりは迫力の不足にはならないと思います。 (もちろん普通のフルレンジスピーカーでもスピーカーユニットの口径サイズも音に大きく依存するので、小型過ぎると迫力の不足が生じます。)

タイムドメインを否定するつもりはありません。  つづく


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