File No.73-2  オーディオは、必ずアナログに回帰する(2) -アナログ-

簡単に手に入れられるものは、感動も薄いことについて解説しています。

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File No.73 / 02

簡単に手に入れられるものは、感動も薄い

オーディオやビデオがディジタル化されてから、かなりの時間が経過しており、現在では、様々なディジタル技術が発展したことで、簡単に高音質や高画質が手に入るようになりました。

オーディオが、まだアナログが主流であった時代では、高音質を実現する為にカセットデッキのアジマス調整やドルビーなどのノイズリダクションシステムを使用したりして、大変な工夫をしていたものです。

VHSビデオやベータマックスビデオのアナログ方式のビデオでは、少しでも画質が良く取れるように画質の良いハイグレードテープを使用したりして、良い画質で録画することを求めたものです。

高音質や高画質を求める為には、性能が良く音の良いオーディオ機器や高画質のビデオ機器を揃えたり、良い品質のテープなどを選ばなければらなく、今では考えられなうぐらいの大変手間とお金がかかりました。

高音質でFM放送を受信する為には、音の良いFMチューナーとは別にFM専用のアンテナを用意する必要があり、高音質を再現するということは大変な労力と作業、お金が必要になったものです。

好きなアーティストの音楽を最良の音質で視聴する為には、苦労していろいろな方法を考えなければならないのが、アナログオーディオというものでした。

現在の若い人たちには信じることが出来ないかも知れませんが、昔の安価のオーディオセットでは、レコードを聴いていると音楽に関係ない無線の声がスピーカーから流れてきて、音楽に集中ができなくなり、楽しみを奪われてしまうこともよくあったものです。

オーディオから無線が聞こえてくるなど、現在では考えられないことだと思います。

当時、音楽をカセットテープに録音していた時など本当に最悪でした。

カセットテープに無線の音が、バッチリと音楽と共に録音されていて、やり直しを余儀なくされたこともあります。

カセットテープに音楽を録音していて今日は、なんとか無線が入らずに最後の方まで録音が上手くいきそうだったので、ほっと一安心している時に突如として大きな音で無線が入ってきて、録音がパーになってしまったことなど何度となく経験しています。

そのようなとき、いつも無線の入らない高級オーディオ・コンポが欲しいと心底思った限りです。

もっと昔の小学校時代では、テレビの前にラジカセを置いて、ラジカセの内臓マイクを使用してテレビ番組から流れる音楽を録音したこともあります。

もちろん録音するには、ラジカセの前で声を出さずにじっとしていなければなりませんし、スタートのスイッチを押した時やストップボタンを押した時の『ガチャ』という大きな音もバッチリと録音されてしまいます。

ラジカセの内臓マイクを使用しての録音は、音楽を空間を通して録音しているので録音中に救急車が通ったり、家族から呼ばれたりした声なども、しっかりと録音されてしまい結構、面倒な方法です。

そこまでして出来上がったカセットテープの音というのは、テレビの音楽番組から流れるモノラル音声をラジカセの内臓の安物のマイクで録音したものなので良い訳はありません。

カセットテープを再生すると、ノイズまみれの音の中から音楽が聞こえてくるようなもので、決して褒められた音ではありませんでしたが、それでも、それなりに音楽を楽しむことはできました。

しかし、音の良いオーディオ・コンポというもので聴いてみたいという想いは、いつも持ち続けていたものです。

このように昔は、簡単に高音質というものが手に入れることができないから、高音質の音を手に入れたときの感動は、表現しようもないぐらい嬉しいものでした。

現在のようにインターネットを繋げば簡単に高音質の音楽が降り注いでくるような時代では、かつてのように好きなアーティストの音楽を高音質で手に入れる為に様々な苦労をしなければならなかったということを理解することは、なかなか困難なことかも知れません。

好きなアーティストの音楽を少しでも良い音で聞くために時間をかけて苦労して、やっとのことで得た音楽には、音楽の内容の他に手に入れるまでの経過の記憶が入っており、その音楽への思い入れがより深くなっていくように思います。

音楽を少しでも良い音で聴いてみたいという行動が、好きなアーティストが製作した音楽芸術をより知りたくなり、他の曲にも興味が涌いていきます。

苦労して得た音楽というものに、より愛着がわいてくると言ったら良いでしょうか。

それらに対して、現在のディジタルのように簡単に手に入れられるものは、感動も薄く感じられるように思われます。

ディジタル・オーディオの未来 つづく



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