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純アナログこそが最高の贅沢
アナログこそが最高の贅沢であるということを理解するには、オーディオファンにとって少々時間がかかることかも知れませんが、より良いオーディオを求めていくと、最終的に必ず到達する結論ではないかと思います。
ディジタルオーディオは、高音質というものが簡単に入手でき音の劣化も少なく、大変便利で簡単であるのは間違いない事実でしょう。
また、ディジタル・オーディオ機器は、故障していない限り、アナログオーディオのように高級品と普及品の音質クオリティによる差は大変少なく、低価格な製品でも高いクオリティを持っており、どの製品を選んでも音のクオリティで不満になるような製品は、ほとんどないと言っても良いものです。
ここでいう音質クオリティというのは、ノイズがないことや、左右のチャンネルセパレーション、再生周波数レンジ、ダイナミックレンジのことを指しており、音色などの音の良し悪しについては、人の感性に関わるところなので考えないようにしています。
一方、アナログではオーディオ機器の性能差が、音質の差に大きく表れてきます。
アナログでは高価なオーディオは、明らかに音のクオリティが高く、低価格な製品では音のクオリティが低くなるのが普通です。
アナログ・オーディオの安価な製品の中にも非常に優れたものも多くありますが、アナログの製品のクオリティは、内部の部品のクオリティに大きく影響される部分が多くあり、音質は価格に比例しやすいといえます。
しかし、アナログというものは、高価なパーツが搭載されているオーディオ製品でないと、音質が良くないといような単純なものではありません。
アナログでは、設計したものに高価な部品を置くだけでは高音質は望めません。
設計した回路から実際に試作品を製作し、様々な問題点を検証し、何度も手直しを繰り返して修正していかなければ音の優れた製品はできません。
このような手間の多さが、良い音質を望めば望むほど時間がかかるために製品の価格に反証してしまいます。
そのような世界が、アナログ・オーディオというものです。
ディジタル・オーディオ機器でもアナログ・オーディオと同じように試作品を作ることは間違いないことですが、ほとんどの処理がパッケージICでおこなわれるディジタル製品ではアナログ製品で音質を追求するよりも、遥かに簡素になっていると考えられます。
アナログでは、設計した回路から電源のクオリティや各部品(パーツ)のクオリティを上手く組み合わせて、さまざまな検証をへた後に、高音質のオーディオ製品が出来あがることになります。
純アナログで高音質を求めることは大変手間がかかり難しいことですが、それをクリアーして登場した製品には、ディジタル製品にはない人の気持ちや情熱が入っているように思います。
アナログの良いオーディオ製品には、エネルギーが注入されていると言ったら良いでしょうか。
そういう意味で、純アナログこそが最高の贅沢だと言えるのではないかと思います。