File No.73-9  オーディオは、必ずアナログに回帰する(9) -アナログ-

オーディオは、必ずアナログに回帰することについて解説しています。

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File No.73 / 09

アナログ・レコーディングに特化したスタジオの登場

オーディオがこのままディジタルへと進んでいき、AIなどに統合されてより便利になっていくことは間違いないことでしょう。

しかし、便利さと共に失うものがあります。

私たちは、簡単や便利さ以上に、心から幸せに思えるような贅沢さを求めています。

ピアノの演奏に感動したりするのは、人が演奏しているからで、それが人の心を打つのだと思います。

同じような演奏を人ではなくAIが自動演奏しても、それほど感動することは無いでしょう。

人が、楽しんだり快感に感じることは、便利さや簡単さ、合理性以上のところに存在するものだからです。

アナログの時計の歯車の動きを見て、美しさを感じれるのも、便利さや簡単さ、合理性ではありません。

時間を正確に表示させるだけなら、ディジタル時計の方が遥かに正確で狂いも少ないでしょう。

しかし、ディジタル時計の表示を見て感動できるのは、精々数分間で、その後は時間を知るだけの道具でしかなくなります。

アナログの時計であれば、時間を知る以外に、たまには機械の動きなど観察したりして、その動きの匠ささに惚れ惚れしたりします。

オーディオにおいても、そこに音が存在するあるいは音楽がそこにあるだけでは、ただ音を聴くだけの機械になり、音楽への感動も薄くなることでしょう。

そして、ネットによる音楽のように簡単に手に入る物は、その中身である音楽すら粗末に扱ってしまいかねません。

アナログのように苦労して良い音を手に入れた音楽には、その音楽の音をより深く聴くようになります。

芸術を堪能するのは、中に入っている音楽が全てで機械ではないと言う反論もありそうですが、本当にそうでしょうか。

簡単に得たものよりも、苦労して得たものの方が、遥かに気持ちが入り、真剣に音楽を視聴するようになるのではないでしょうか。

料理で例えると手間をかけて作った料理ほど深く味わいを楽しむことができますが、インスタント食品では、ただ食べることが目的になるというような感じです。

手料理とインスタントでは、美味しさを味わう感覚が全く異なってくると思います。

もしかすればスペック的にはインスタントの方が美味しく出来ているのかも知れませんが、手料理の方が遥かに美味しく感じることでしょう。

このようなことは、オーディオでもいえることではないかと思います。

アナログのように苦労して良い音を求めたものは、その内容(音楽の中身)まで、深く追求していくようになります。

アナログが、ディジタルより優れているという話ではありません。

ディジタルの方が、高音質への追求よりも、簡単さや利便性の方が発展しやすい特徴を持ちやすいのもだからです。

それらの理由としては特にオーディオなどでは、音質の良し悪しについてディジタルの音の基準が存在していないということが考えられます。

ディジタル・オーディオは、アナログ・オーディオと違いスペック的には、安価な製品でもほぼクリアーしており、製品のスペックからでは音の良し悪しの判断が難しいからです。

また、音質に深く係わる部分がIC化されていることで、音質を調整する部分が少なくなっていることもあげられるでしょう。

よって、ディジタル機器の成熟期では、音質よりも機能性や利便性などが発展しやすくなっています。

ディジタルではアナログでいう音質の基準のスペックは、全てクリアーできているので、その先の音質を求めていくことが、大変難しいように思います。

ディジタルで音質を向上させる方法として、高精度のクロック、エラーの低減、ジッターの低減など様々の方法が試みられていますが、どれだけ音質に影響があるかは、現時点では分かっていない状況です。

そのような理由から、より深い芸術作品を追求するには、既に数々の名作をリリースした実績のあるアナログというものに、関心を持たざる得なくなるでしょう。

現在、音楽や芸術を再現するオーディオが、アナログを求めてきているように思われます。

音楽を製作するアーティストたちは、より良い芸術作品を求めアナログを求めるようになるでしょう。

実は、アナログを求めるという現象は、現在のオーディオの状況から見受けられます。

最近になって、アナログレコードが再販されるようになったり、オーディオファンの間で真空管アンプが見直されつつある状況です。

アナログレコードや真空管アンプは、たいへん不合理で不便なシロモノのですが、求める人が増えていることを考えると理解できるのではないでしょうか。

何か分からないが、アナログレコードや真空管アンプを聴いて見たいという欲求が発生しているものだと思います。

どうのこうのと理由をつけて考えるのではなく、人が本能的にアナログを求めだしているのではないかと考えらるのではないでしょうか。

人は、本能的にアナログを求めるというようなことが、社会的に認識されるようになるのは、ディジタルがより発展した、もっと未来のことかも知れません。

私見になりますがオーディオは、より深い感動や楽しさを求め、必ずアナログに回帰していくと思います。

アナログを知るには、やってみないとわからないだろう つづく



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