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アナログを知るには、やってみないとわからないだろう
現在、音楽が簡単に高音質に聴けるのだから、何の不満があるのだと思われるかも知れません。
昔のようにレコードを買ってきて再生しなくても、現在の音楽を簡単に高音質で聴けるような状況で、わざわざ不便な昔のような方法で音楽を聴くことに何の意味があるのだろうか?と問われることでしょう。そのような不便で不合理なものの意味について、頭の中で考えるだけでは永久に理解することは出来ないのではないかと思います。
しかし、現在において、かつてのアナログの音を聴くというのは大変なことだともいえます。
なぜなら人は、楽で安易な方法が存在するなかで、あえて面倒な方法にトライするには、納得と大きなエネルギーを必要とするからです。
そのような状況でも、昔のような方法で一度でも音楽を聴くという行動をすると、その楽しみというものが何であるが直ぐに理解することができ、その意味するものを深く理解できるようになります。
オーディオというものに真に興味のある人であるならば、人生の内で一度でも良いので試してみることをオススメします。
もう、後戻りが出来なくなるかも知れませんので、責任はもてません。
高価な機器から始めるのではなく、安価な中古機器から始めるのが良いでしょう。
30年前に日本で生産されたオーディオなら、多くの優れた製品が中古で安価に販売されています。
オークションを利用する手もありますが、正常動作品と書かれていても壊れている製品や結構、際どい製品が多くアップされていますので初心者には少し厳しいかも知れません。
昔のアナログ・オーディオの方法をトライしようと考えている初心者が、いきなり故障品を掴まされたりとせっかくの試みの出鼻を挫かれると大幅にテンションがダウンしてしまいますので、慣れるまではオークションでの入手は、あまりオススメできる方法ではありません。 (オークションというものは、例え上級者であっても、数回に一回は、スカを掴まされます。オークションは、単に中古品を売っているのではないということを理解していた方が良いでしょう。)
中古オーディオというものに慣れればオークションは、昔の優れたオーディオを手にする為の優れたツールになることは間違いありません。
インターネットでは、アナログレコードは音が悪いや昔はノイズまみれの音を聞いていたなどの情報があふれています。
ほとんどの若者などは、アナログ・オーディオという機器に接する機会がないので、インターネット等の情報で知るしかありません。
しかし、そのような情報の真意は、自分で実際に経験しないと永久に分からないことでしょう。
勿論、アナログ・オーディオを経験したからといって、直ぐに上手くいくとは限りません。
アナログというものは、ディジタルとは異なり本当に難しく、品質によってクオリティに大きな差があるからです。
だからといってアナログを経験しないことは、オーディオ、音楽に興味を持っている人たちにとって、大変もったいないことだと思います。
アナログというものを経験することで、上手くいった、いかないなど関係なく、何れにしても一つ確実にいえることは、『オーディオの奥の深さと楽しさを知ることができる』ということです。
実際にアナログ・オーディオというものを知ってしまうと、音・音質というものは優れたスペックだけでは語れないことが良く理解できるでしょう。
また、アナログからはディジタル機器ではなかなか得にくい魅力のようなものを感じるのではないかと思います。
インターネットのオーディオ・ブログなどの記事で昔のオーディオアンプを自分で5年かけて修理したというような記事を見かけることがあります。
修理費用は、部品代だけで2万円以上、その他に修理の為に測定器を少しずつ購入したということでした。
これは、新しくオーディオ機器を購入するよりも、遥かにお金がかかることで普通では考えられないことだと思います。
新しくオーディオ機器を購入するよりも、遥かにお金を使って昔のオーディオを修理するということは、一見馬鹿げたことだと思うかも知れませんが、そこまでして修理をする必要があるということは、そのオーディオ機器によほどの愛着があったというしかありません。
昔のオーディオを修理する為に、そこまでしてまで修理する気持ちは、一般のオーディオファンには到底理解できない世界かも知れません。
それぐらいアナログ・オーディオというものは、人を虜にさせる不思議な魅力をもっているものなのです。
しかし、そのようなアナログの人を虜にさせる不思議な魅力というものは、アナログオーディオを知ることで、そのようなオーディオ好きの人たちの気持ちが、良く理解できるようになります。
とにかくアナログを知らない人は、始めの第一歩であるアナログというものを知ることが大変重要なことではないかと思います。
インターネットの情報を鵜呑みするのではなく、実際にアナログと言うものを自分でやってみて経験しないと分からないことでしょう。
もし、アナログを経験すると、今までにはないオーディオの深い楽しみを得ることになると思います。
決して、高価なアナログ製品は必要ありません。
安価な中古機器で十分ですので、人生で一度、アナログというものを経験してみればいかがでしょうか。
オーディオの見方が変わるのではないかと思います。
是非、一度、アナログというものにトライしてみることをオススメいたします。
アナログは、本当に楽しいですよ。
おわり