File No.76-5  スタジオヘッドホン AKG K240 Studio(5) -ヘッドホン-

AKG K240 StudioとSony MDR-CD900STと併用について解説しています。

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File No.76 / 05

AKG K240 StudioとSony MDR-CD900STと併用

AKG K240 Studioをモニターヘッドホン用途でAKG K240 Studioを使用する場合、Sony MDR-CD900STと併用すると良い結果を得ることができると思います。

AKG K240 Studio(左)とSony MDR-CD900ST(右)の写真
AKG K240 Studio(左)とSony MDR-CD900ST(右)の写真

AKG K240 Studioの音のキャラクターとSony MDR-CD900STの音のキャラクターは、大きく異なります。

スタジオ・モニターヘッドホンとして、各メーカーの設計思想の違いやメーカー独自の音・音質への拘りが存在します。

それらの違いを感じとることは、大変面白いことです。

そして、その違いを上手く利用することで、より深く音楽を楽しいものにすることができるのです。

AKG K240 Studioは、音楽の全体を少し離れた所から見渡すようなモニタリングを得意とするスタジオ・モニターヘッドホンです。

特にボーカルの歌声は、耳から少し離れた感じにモニタリングすることができ、ベースは少し盛り上がりますが分解が良くモニタリングできるようになっています。

音楽の全体を少し離れた所から見渡すようにバランスされているAKG K240 Studioは、音楽を冷静にモニタリングができ、スタジオ・モニターヘッドホンとしての優れた性能を有します。

この少し離れた感じの音・音質は、AKGのスタジオ・モニターヘッドホンの伝統(DJ用途などの特殊なヘッドホンの除く)といえるものかも知れません。

AKGのスタジオ・モニターヘッドホンが、よくクラッシック音楽のモニタリングに使用されているのは、音楽の全体を少し離れた所から見渡すようにバランスされていることで、音楽全体から各楽器のバランスなどを見通しやすいからだと思います。

AKG K240 Studioは、バランスが取れた音でスタジオ・モニターヘッドホンとして優れた性能を有していると思いますが、ボーカルの声などを繊細のモニタリングをしたい時に、もう少しボーカルの声を手前に欲しいときがあります。

音楽製作でボーカルの声を繊細にチェックしたいときに、ボーカルの声の部分だけを少しレンズで拡大して、細部をチェックしたい場合があると思います。

そこでボリュームを上げると、AKG K240 Studioではボーカルの声がハッキリしてくるものの、全体の音、特に低音部分が持ち上がってしまうので、ボーカルの声だけを手前において繊細なモニタリングをすることは大変難しく感じてしまいます。

それでも、恐らく慣れればAKG K240 Studioでも、ボーカルの声を繊細にチェックできないことはないと思いますが、かなりの熟練が必要になると思います。

そこでSony MDR-CD900STの登場です。

Sony MDR-CD900STは、特にボーカル帯域の音が繊細にモニタリングできるようにチューニングされています。

それが、Sony MDR-CD900STの特徴といえるもので、ほぼ全ての日本のスタジオに標準装備されている所以だと思います。

勿論、Sony MDR-CD900STは、ボーカルだけでなく、他の楽器も詳細にモニタリングすることも可能になっています。

Sony MDR-CD900STでは、音楽に近づいてボーカルの声や楽器の細部をモニタリングするのが得意なのに対して、AKG K240 Studioは、音楽を少し離れた場所から全体の音楽のバランスを見るようなモニタリングを得意としています。

AKG K240 StudioとSony MDR-CD900STとは、モニタリングのスタイルが大きく異なるので、お互いに得意とするモニタリング部分を利用して、併用して使用することで音楽をより効果的に調整することが可能になると思います。

スタジオヘッドホン Sony MDR-CD900ST(1)の写真
スタジオヘッドホン Sony MDR-CD900ST(1)の写真

今までAKG K240 Studioで音楽を調整していた人が、Sony MDR-CD900STを併用すると全く違う世界が見えるようになり、逆も然りです。

AKG K240 StudioとSony MDR-CD900STと併用することは、音楽エンジニアたちや音楽リスナーにとって、今まで感じていた音楽と全く違う世界が見えるようになるので、大きなメリットになりえます。

AKG K240 StudioとSony MDR-CD900STと併用すると同じ音楽でも、今まで感じていた音楽とは別のイメージが見えてくることでしょう。

今まで聴いていた音楽に新しい発見をしたりするので、1つの音楽が2倍楽しめるようになり、音楽をリスニングすることを一層楽しいものにします。

AKG K240 StudioとSony MDR-CD900STと併用は、同じ音楽に別の顔を見ることができ、音楽をより楽しむことができるようになるので、良い選択になるのではないかと思います。

AKG K240 Studio(中国製)とAKG K271MKII(中国製)との違い

AKG K271MKIIのオリジナルであるオーストリア生産品は、私自身所有したことがなく、確認することはできませんが、現在販売されているAKG K271MKIIの中国生産品は、所有していますので、この所有しているAKG K240 Studio(中国製)をベースにして、AKG K240 Studio(中国製)との違いを書いていきたいとおもいます。

AKG K240 Studio(中国製)とAKG K271MKII(中国製)は、同じメーカーのヘッドホンでありながら、音・音質に大きな違いがあります。

AKG K240 Studioが、ゼミオープンタイプであるのに対して、AKG K271MKIIが密閉型であるという違いはありますが、モニターヘッドホンとして、それ以上に音・音質のキャラクターが全然違うのです。

AKG K240 Studio(左)とAKG K271MKII(右)の写真
AKG K240 Studio(左)とAKG K271MKII(右)

AKG K240 StudioとAKG K271MKIIを比べて何度も視聴した結果、スタジオ・モニターヘッドホンとして考えた場合、AKG K240 StudioよりAKG K271MKIIの方が、音質に高度な品位のある質感というものを感じられ、AKG K271MKIIの方が優れていると思いました。

どう表現したら良いのか難しいのですが、メーカーもキャラクターも全く異なるスタジオ・モニターヘッドホンのSony MDR-CD900STが持っている音・音質に非常に高度な品位のある質感とようなものを、AKG K271MKIIの音からは感じることが出来るのです。

AKG K240 Studio(中国製)は、ボーカルのう歌声も非常にクリアーに再生され、低音の分解能も優れており、ベースラインも良く聞き取れる優れたスタジオ・モニターヘッドホンであることは間違いないのですが、再生される音・音質に高度な品位のある質感というものが少し足りない感じがあります。

音楽を長時間モニタリングする場合、どうしてもAKG K240 Studioよりも、音・音質に高度さを持ち品位ある質感に優れているAKG K271MKIIの方を選んでしまいます。

これは、私の感性だけの問題かも知れません。

非常に不思議なのですが、セミオープンのAKG K240 Studioに対して、密閉型のAKG K271MKIIの方が、明らかに音に開放感があります。

普通であればセミオープンタイプのAKG K240 Studio方が、音に開放感があるはずなのですが、何故か密閉型のAKG K271MKIIの方に音に開放感を感じさせます。

これがAKG K271MKIIがAKG K240 Studioより、音・音質の高度な品位ある質感を感じさせる要因になっているのだと思います。

スタジオヘッドホン AKG K271MKII(2)の写真
スタジオヘッドホン AKG K271MKII(2)の写真

スタジオ・モニターヘッドホンとしてはAKG K240 Studioの方が、AKG K271MKIIよりも有名で知名度もありますが、私なら絶対にAKG K271MKIIを選ぶでしょう。

音楽を長時間モニタリングするのに、AKG K240 StudioよりAKG K271MKIIの方が、音楽を楽しめるからです。

もしAKG K240 StudioとAKG K271MKIIの販売価格が、2~3000円ぐらいの差なら、長く使用することを考えて、少し無理をしてでもAKG K271MKIIを購入することを絶対にオススメします。 (AKG K240 StudioとAKG K271MKIIと価格の差が少ない場合、AKG K271MKIIには予備もベロア製のイヤーパッドや交換用の5mのカールケーブルも付属しているので、絶対AKG K271MKIIの方がお得だと思います。)

Sony MDR-CD900STと併用についても、AKG K240 StudioよりAKG K271MKIIの方がより高度なモニタリングをすることが可能になります。

Sony MDR-CD900STと併用は、AKG K240 Studioよりも、AKG K271MKIIと併用した方が、向いているように思われ、AKG K271MKIIの方が、より良い結果が得られるのではないかと思います。

AKG K240 Studioの裏技ですが、AKG K240 Studioの付属のケーブルをAKG K271MKIIの付属していたケーブルに差し替えると、AKG K240 Studioの中音域に少し滑らかさが増し、低音の硬さが和らぐので音・音質の質感が少し向上し、音の品位が上がります。

AKG K240 Studioの付属のケーブルを交換することでAKG K240 Studioの音全体の品位が、ケーブル交換前より向上していることは確認できたのですが、残念ながらAKG K271MKIIの音・音質の品位ある質感を超えるほどではありません。

つまりケーブルを交換しても、AKG K240 Studioの特有のキャラクターを完全に消すことはできないということです。

また、別途にケーブルを購入するだけでも数千円は必要となり、わざわざAKG K240 Studioの付属のケーブルを別途に交換しなければならないなら、最初から音・音質に品位を持っているAKG K271MKIIを選んだ方が得策ではないかと思います。

AKG K240 Studioについて、ここで誤解しないで欲しいのですが、AKG K240 Studioについて色々と評価しているのは、現在、安価に販売されている中国で生産されているAKG K240 Studioの評価であり、かつてオーストリア生産されていたAKG K240 Studioの評価ではありません。

旧AKG K240 Studio(オーストリア製)については、次の章で詳しく説明しています。

旧AKG K240 Studio(オーストリア製) つづく

スタジオヘッドホン AKG K271MKII(3)の写真
スタジオヘッドホン AKG K271MKII(3)の写真

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