File No.76-11  スタジオヘッドホン AKG K240 Studio(11) -ヘッドホン-

グローバル化によって、プライドや魂を失うことについて解説しています。

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File No.76 / 11

グローバル化によって、プライドや魂を失う

現在は、グローバル化によって多くの電化製品が、アジア諸国で生産されるようになりました。

この傾向は、日本だけでなく世界中で普通の状況になってきています。

スタジオ・モニターヘッドホンのAKG K240 Studioも、かつてはオーストリアで生産されていましたが、現在は中国生産に変更されています。

AKG K240 Studioが、中国生産になったことで、安価になったというメリットはあると思いますが、オーストリアで生産されていたものとは型番が同じでも、製品は全く違うものであるように感じられました。

AKG K240 Studioを中国生産に切り替えたことで、かつてのオーストリアでヘッドホンを生産していた時のようなヘッドホン開発に試行錯誤していた職人的なエンジニアたちは、既に存在しないのだろうと思います。

また、これまでドライバーユニットを生産していた工場も、既にオーストリアには存在しないのでしょう。

中国生産にすれば、安価で生産することが出来るので多く販売できるので企業の利益は、一時的に向上するかもしれません。

しかし、それに引き換え今まで持っていた自社が、独自の技術力や製品に対しての職人のようなプライドというものが失われてきているように思われます。

オーストリアで生産されていたAKG K240 Studioから、アメリカのエンジニアたちとは違うスタジオ・モニターヘッドホンの設計思想、ヨーロッパのエンジニアたちの音・音質へのプライドというものが肌で感じとることができました。

決して流行に左右されない揺るがない考えと伝統が、AKG K240 Studioという、たった1つのヘッドホンから伝わってきたものです。

私は、AKG K240 Studio(中国製)から、AKGのヘッドホンとしてのプライドというものが、失われているように感じました。

誤解がないように言っておきますが、AKG K240 Studio(中国製)は、スタジオ・モニターヘッドホンとして、価格から見ても音質のクオリティも高く、性能の優れたスタジオ・モニターヘッドホンだと思います。

しかし、私からすればAKG K240 Studio(中国製)は、コストパフォーマンスの優れた音の良いヘッドホンの1つであり、ダダそれだけのことなのです。

AKG K240 Studio(中国製)からでは、ヨーロッパの音響エンジニアたちのAKGのスタジオ・モニターヘッドホンとしての音・音質へのプライドというものが全く伝わってこないのです。

音に独自の主張やプライドがない製品は、たとえ音・音質が良くても、何処か楽しくないのです。

企業に自社の製品に魂やプライドが無くなれば、何れ衰退の道をたどることは間違いありません。

あれほど多くのユニークな家電製品を世に出してきた日本企業が、海外生産へ切り替えてからの技術力の低下と衰退を見ても容易に想像ができると思います。

AKGと言う企業も、多くの日本企業と同じような道をたどり、技術力を失い何れ生産国の企業に吸収されていき、AKGのブランドだけが残るのは時間の問題かも知れません。

そのときのオーディオファンたちが『やはりAKGの音だよ!、SHEREの音が断然好みだよ!』などと会話している姿を想像すると悲劇でしか思えません。

企業のグローバル推進によって、残念な結果になることを心配する限りです。

企業が、ただ単にお金だけを求めて、魂やプライドのない製品を大量に生産することによって、本当の幸せを得ることは決して出来ないでしょう。

企業のグローバル推進によって、お金を求めた結果、自社製品に魂やプライドを失うという、あまりにも残念なことではないでしょうか。

グローバル推進によって、失ったものは、計り知れないほど大きかったと言わざるえないと思います。

多くの日本の企業は、グローバル推進によって、国内で生産することが出来なくなり、最終的には、企業そのものまで失ってしまいました。

あれだけ優れたオーディオ製品を開発してきた日本の数多くのメーカーは、今では存在しません。

グローバル推進の結果として、受け止めなければなりません。

今後の日本企業のあり方を真剣に議論して決定していかなければならない時代が、来ているのではないかと思います。

『美しい日本』を求めるなら、お金至上主義を捨て、本当に世界の人々を幸福にするような日本というものを求めて欲しいと思います。

真面目に良い製品を日本国内で生産して、日本人を含め世界の人たちを幸せにすることができることは、日本という魂と誇りが持てるものです。

日本生産だけでなく、各国で独自に生産を目指して争い、お互いに良いところを学びあいながら良い製品を世界に登場させることこそ、世界の人たちを幸せに向かわせることが出来るのではないかと思います。

世界が、お金至高主義を捨て去り、早くグローバルという幻想から目覚めて欲しいものです。

スタジオヘッドホン AKG K240 Studio 中国製(13)の写真
スタジオヘッドホン AKG K240 Studio 中国製(13)の写真

最後に、おことわり

このサイトでは、たまにオーディオ製品のレビューをさせていただいていますが、他のサイトのレビュー記事に対して、これから製品を購入しようとしているオーディオファンの夢を奪ってしまうようなレビューをしてしまっているかも知れません。

本当に申し訳ないと思いますが、私はオーディオが好きで常に良い音を求めてオーディオというものを考えています。

もちろん、私自身の誤解している部分も多くあり、不快になる部分があるかも知れません。

しかし、自分自身が感じたものを歪めるのではなく、正直に真っ直ぐに書いていきたいのです。

ヘッドホンについても、私自身の独自の見解なので、全ての人に当てはまるかどうかは分かりません。

それでも、誠実さだけは失いたくありません。

それが、私の唯一のプライドなのです。

                          おわり

                         

AKG K240 Studio & Robot(2)の写真
AKG K240 Studio & Robot(2)


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